番狂わせ連発!10代最強ラッパー決定戦2代目王者が誕生 「第2回 激闘!ラップ甲子園」決勝大会レポート (2/2)

準決勝はハイレベルな攻防に

準決勝 第1試合の対戦表

Sirogarasと楓によって争われた準決勝第1試合は、ハイテンションかつハイレベルな一戦となった。どっしりした巨体と圧の強い声質でときにメロディアスにグルーヴを生み出していくSirogarasに対し、甘いトーンの声をしゃがれさせながらタイトに韻を踏んでいく楓。中盤ではSirogarasが互いの体格を「ビッグキャノン」と「爪楊枝」に例える攻撃を繰り出すも、対する楓が「爪楊枝みたいな失敗を重ねて 今じゃ楓の木一本立ちだぜ」と見事な切り返しで応戦した。

左からSirogaras、楓。

左からSirogaras、楓。

この甲乙つけがたい攻防に下された判定は、3-5で楓の勝利。楓の札を上げた呂布カルマは「すごく迷ったんですけど」と前置きしたうえで「Sirogarasの1ターン目はうまいラップをしていたが攻撃になっていなかった。3ターン通じて攻撃の姿勢を緩めなかった楓が上かな」と評価ポイントを語り、Fuma no KTRは「ラップの好みで言えばSirogaras。でも、3ターン目がちょっと空振っちゃったかな」と指摘する。一方、Sirogarasに票を投じたTKda黒ぶちは彼の多彩なフロウを高く評価したうえで「100-0じゃなくて、すごく僅差だった」と複雑な面持ちでコメントした。

準決勝 第2試合の対戦表

準決勝第2試合は、卓越した滑舌と通りのいい声質を持ち多彩なフロウで畳みかけるテクニシャン・ビシキマと、ラッパーとしての確かな基礎体力と独自の世界観を併せ持つLARK FIENDが激突。ビシキマは得意の高速パッセージを織り交ぜながら中盤で「お前 音ノレてない マジで気持ち悪い」というクリティカルなディスを刺し、相手のプライドを刺激する。これにLARK FIENDはテクニカルなビートアプローチで対抗するなど、ヴァースを追うごとに熱量が上がっていく対決が繰り広げられた。

左からビシキマ、LARK FIEND。

左からビシキマ、LARK FIEND。

判定は8-0でビシキマに軍配。DJ CELORYは「全体を通して強度があった」とビシキマを絶賛し、S-Kaineは「ビシキマはフロウも内容も変えてやってたけど、LARK FIENDはラップの内容が変わらなかった」と分析する。KEN THE 390からは「LARK FIENDくんはノレてないノレてないと言われてたけど全然そんなことなくて、ちゃんとビートにアプローチできてていいなと思った。でも、ビシキマくんがめっちゃよかったっすね」と半ば脱帽するようなコメント。この結果により、ビシキマは1回戦、2回戦、準決勝のすべてを8-0のスコアで勝ち抜いて決勝進出を果たすこととなった。

ニューヒーロー誕生

決勝の対戦表

迎えた決勝戦では、先攻のビシキマが初手から「ネタ仕込みの気持ちわりぃラップばっかしてるMC」「即興でやる度胸もない」と痛烈な先制パンチをお見舞いする。Fuma no KTRが「この1ヴァース目で勝ちは決まってた」と評した通り、楓は得意のきれいな韻を交えながら相手の言葉も拾いつつ応戦するものの、“整えれば整えるほど相手の術中にハマってしまう”という構図から最後まで抜け出すことができなかった。一方のビシキマは1ターン8小節のうち前半の4小節を言葉でえぐる攻撃に使い、後半の4小節でテクニックを存分にアピールするというソツのない戦い方で、フィジカルの強さと引き出しの多さをこれでもかと見せつける。もはや横綱相撲のような貫禄のパフォーマンスを展開した。

左から楓、ビシキマ。

左から楓、ビシキマ。

結果は6-2でビシキマの勝利。この瞬間、彼が2代目チャンピオンの称号を手にすることが決定した。KEN THE 390はそんなビシキマについて「頭1個抜けてるラップが決勝で見られた。チャンピオンにふさわしかったと思う」と手放しでたたえ、呂布カルマも「ラップがうまいやつって“うまいだけ”になりがちなんだけど、ビシキマはちゃんとライムもしてて攻撃性もあって、けっこう完璧だったな」と舌を巻く。一方の楓に票を投じたTKda黒ぶちは「甲乙つけるのが本当に難しかった。めちゃくちゃいい決勝戦を観させてもらいました」と満足げに語り、同じく楓に札を上げたNAIKA MCも「ビシキマには『新しいやつが出てきたな』って感じはしない。『MCバトル強いやつってこういうやつだよな』って感じがしてうれしくなった」と新たな王者へ賛辞を贈った。

左から楓、ビシキマ。

左から楓、ビシキマ。

左から楓、ビシキマ。

左から楓、ビシキマ。

優勝者決定の瞬間。

優勝者決定の瞬間。

優勝したビシキマには、賞品としてTOKYO MX「激闘!ラップ甲子園への道」にて特別番組が制作されることが告げられ、さらにオリジナルキャップ、キットカット1年分などが贈呈された。また、急きょソニー・ミュージックより「ビシキマくんと楓くんにオリジナル曲を作ってもらい、それを番組テーマソングに」という新企画が提案される一幕も。加えて、「第3回 激闘!ラップ甲子園」が2023年3月26日(日)に大阪で行われることも発表された。

大会終了後に撮影した記念写真。

大会終了後に撮影した記念写真。

白熱のトーナメント終幕後には、事前に告知されていた通りBAD HOPによるスペシャルライブが行われた。メンバーが生まれ育った地元・川崎の地で「Kawasaki Drift」を高らかに歌い上げるなど、彼らは約30分にわたって鬼気迫る圧倒的なパフォーマンスを繰り広げ、会場に集まったキッズたちは大興奮。休憩時間を含め4時間を越える長丁場となったヒップホップの祭典は、こうして熱狂のまま幕を下ろした。

BAD HOP

BAD HOP

左からVingo、Yellow Pato、Bark。

左からVingo、Yellow Pato、Bark。

なお本大会の模様は、現在「激闘!ラップ甲子園」のYouTube公式チャンネルにて1戦ずつ順次公開されている。