GANG PARADEのメンバーからなるGO TO THE BEDS、PARADISESの2つの新ユニットによるスプリットアルバム「G/P」が4月1日にリリースされた。
GANG PARADEは幾度のメンバー加入脱退などさまざまな試練を乗り越え、昨年5月にメジャーデビューを果たした。メジャーデビュー後は自身最大規模のツアーを行ったり、舞台で役者に挑戦したりと活動の幅を広げていたが、2020年1月にギャンパレの発起人であるカミヤサキが脱退を表明。さらにハルナ・バッ・チーンの突然の脱退、WACK所属グループで回るツアーの新型コロナウイルスの影響による公演中止など、2020年に入ってからも波乱含みの激動にさらされている。
音楽ナタリーでは4月1日をもって2グループに分かれるGANG PARADEからGO TO THE BEDSのヤママチミキ、PARADISESの月ノウサギにインタビュー。2グループ化の目的、これからGANG PARADEはどうなるのか? メンバーはどんな思いで現状と向き合っているのか? 率直な思いを語ってもらった。
取材・文 / 田中和宏 撮影 / 西槇太一
なぜ2グループに分かれたのか?
──率直な疑問ですが、なぜGANG PARADEがGO TO THE BEDS、PARADISESの2グループに分かれることになったんでしょうか?
ヤママチミキ(GO TO THE BEDS) GANG PARADEとして2019年にメジャーデビューさせていただいたんですけど、期待に応えられるような結果を残してこられなかったのが一番にあります。メジャーデビューしてツアーの規模もどんどん大きくなっているので、周りの方々から「順調だね」と言っていただけることも多かったんですけど、自分たちはその言葉にギャップを感じていて、決して順調とは言えない状態なんです。与えていただいたチャンスがいろいろあったのにうまく自分たちらしさを出せず、葛藤の1年でした。これまで何度もやり直してきたグループではあるんですけれども、現状について渡辺(淳之介 / WACK代表)さんやスタッフの皆さんは「このままじゃたぶんギャンパレはダメだよね」と見ていて。自分たちができることを見つめ直してイチから再スタートしたほうが、いいものを作れるんじゃないかという考えに至りました。アクションを起こすための準備に入るための2グループ化なのかなって。
──昨年はメジャーデビュー後に演劇を経験するなど新しいチャレンジをしていましたが、現実は悩ましい状況だったんですね。
ヤママチ 去年1年を過ごしてきて、何かうまくいかないというモヤモヤの原因をちゃんと見つけられないまま、ツアーを回ったりライブをしてきたりする中で、自分たちのよくないと思っている部分がけっこう出てきてしまいました。それがスタッフの皆さんにも伝わって、「じゃあそれをどうしたらいいんだろう」という中でGANG PARADEを2つに分けるという選択に至りました。
月ノウサギ(PARADISES) もともと2つに分かれる話はけっこう前から出ていて、最初の段階ではジャニーズさんのグループ内ユニットみたいなイメージでした。
──V6の20th CenturyとComing Centuryを彷彿とさせる分け方ではありますよね。
ヤママチ その通りです。最初に「トニセン、カミセンみたいなイメージだよ」と伝えてもらってました。「完全に2つに分かれて活動を始めます」という話を聞いたのはサキちゃんの脱退を聞いたタイミングだったので、去年の12月半ばくらい。サキちゃんの口から「私は脱退します」と聞いたあと、渡辺さんの口から「そのあとは2つのグループに分けて活動していくよ」と。
──変化を繰り返してきたGANG PARADEですが、カミヤさんがいなくなることもそうだし、2グループに分かれるというのはこれまででもっとも大きな変化なのかなと思うんですよね。
月ノ そうですね。GANG PARADEという名前こそ残るんですけど、2グループでの活動が本格的に始まったらギャンパレは活動しなくなって存在自体が世から消えることになるので、それはGANG PARADEの今までの歴史を見ても一番大きな変化かなとは思います。
──2グループになることに抵抗はなかったですか?
月ノ 怖さはありました。今までやってこなかった変化でもありますし。でも嫌悪感はないし、「分かれるのは嫌だ!」ということもまったくなくて、ただただ先への期待と未知への恐怖で半々って感じです。
ヤママチ 「このままじゃダメだ」という気持ちがずっとあったのに、自分たち9人でそれを打破できなかったからこその策なので、嫌だとかどうしようみたいなのはなかったです。
──ちなみに2グループの衣装の腕の部分に“老”“若”と書いてありますけど、メンバー編成の基準は?
月ノ わかりやすく活動歴順と言いますか。サキさんが脱退したのちに、経験順に並べて経験値あるグループと、まだ若いグループという感じでわかりやすく分けられた感じです。
ヤママチ 完全に歳のことを言ってますよ、こいつは(笑)。
月ノ 歳じゃないよ(笑)。だって私たちみんな18歳でしょ!
変化の多い季節
──これからスタートするホールツアーはこの2組が出演するんですか?
月ノ 基本はGANG PARADEのはず……どういう構成ですか?
スタッフ 構成を組み立て中ではあるんですけど、GANG PARADEのコーナー、GO TO THE BEDSのコーナー、PARADISESのコーナーがあるようなイメージでライブをする予定です。まだメンバーに言ってなかったです。
月ノ 聞いてなかった(笑)。
──ではツアーはGANG PARADE本体がメインになるということですね。
月ノ そうですね。9人最後の活動であることは間違いないので、ホールツアーでGANG PARADEの活動はしっかりやりきりたいです。
──ツアーの前に「WACK合同オーディション」がありますけど、その結果によっては新メンバーが加入するっていう可能性も……?
ヤママチ ありますね。
月ノ 特にPARADISESはけっこうまあ、ハルナ(バッ・チーン)の脱退もあって、新メンバー加入が現実的に起こり得るだろうなと。だから今はリアルにそれを考えながら合宿に臨もうと思ってます。候補生と接するうえで、「もしかしたらこの子と一緒に仕事をするかもしれない」っていう目線を持って挑もうという気持ちは強くなりました。
──現時点(3月初旬)でまだ合宿の情報がアナウンスされていませんので、それもまたもどかしい状況ですね。
月ノ やれるかどうかがわからないんですよね……。
──不確定要素の多い中でのインタビューになってしまいましたが、合宿への思いが聞けてよかったです。ツアーのセミファイナル公演がカミヤさんのラストステージになる予定なので、3月に合宿があったとしたら「ファイナルで新しいメンバーが入るのかな?」みたいなところまでは想像してました。
ヤママチ そこもどうなるかわからなくて。4月にはっきりしてるといいんですが……渡辺さんの判断で決まると思います。
月ノ どんな状況でも常にグループにとって一番いい選択をしてくれるのが渡辺さんですから。
この選択が最善であることを証明したい
──WACKにおいてグループを2つに分けるという施策は2期BiSでもあったことですよね。2期BiSは結果的に解散という流れになってしまったこともあって、正直なところファンから不安の声が上がりそうな気がしています。
月ノ 2期BiSのときに思ったことなんですけど、渡辺さんは本当にグループのことを一番に考えていて、グループにとって最善の方法を取ってくださってる方なんですよ。それをいい方向に持っていけるかどうかは私たち次第なので、GANG PARADEというグループを好きな人にはただただ申し訳ないです。でも形が変わっても、お客さんをワクワクさせられるかは自分たち自身の力なのかなと思うので、2つに分かれた先でよりがんばっていきたい気持ちはあります。ただ2期BiSのこともあったので、ネガティブな気持ちになる方もいると思うんですけど、渡辺さんが取ってくださったこの選択は最善だっていうことを私たちは証明したいです。
ヤママチ お客さんはもちろん不安になると思うんですけど、GANG PARADEはいろんな変化を経て成長してきたグループなので、失礼ながらグループの形が変化してしまうことに対して、不安な気持ちは持たないでほしいんです。私たちがここまでこうやって活動してこられたのはお客さんのおかげだし、私はすごくお客さんのことを信頼しています。だからみんなにも信頼してほしいなっていう気持ちは今もずっとあります。
──お客さんの大事さに関して言えば、先日大阪で無観客ライブがありましたがどんな気持ちでしたか?(参照:「WACK FUCKiN'PARTY」生中継決定、中止の大阪公演が“NO AUDiENCE LiVE”に)
ヤママチ 寂しかったです……! 普段はお客さんの熱量を受け取って、自分の気分がさらに高まっていくという感じだったので。いつもはここでお客さんが「わー!」と言ってくれるのにとか、ここで声かけてくれるなと思いながら歌ってました。でも寂しいだけじゃなくて楽しさもあったので、不思議な感覚でした。端っこのほうでほかのグループの子とかスタッフさんがじーっと観ている姿を見て、「あー、手上げてくれないかな」と思ったり(笑)。
月ノ ははは(笑)。
ヤママチ そういう意味では新しい感じがして面白かった。そういえば昔、POP名義で活動していたときはお客さんが本当に全然いなくて、「そういえばこんな感じだったわ」と思いながら(笑)。そういう思いもありつつ、単純にやっぱり寂しかった。ライブ中はいつも以上にお客さんのことを考えてましたし、いつもより冷静に自己分析をしながらライブをできた感じがある。いろいろ得られたことが多かったので、次のライブに生かしたいです。
月ノ 私たちのコンセプトが“みんなの遊び場”で、WACKのほかのグループのどこよりもお客さんには私たちと一緒に楽しんでもらおうと思っているぶん、いつもお客さんに支えられてる力もすごく大きいんだなって。無観客ライブの日はお客さんの大切さを痛感した日でした。曲が終わってシーン……みたいなのはやっぱり寂しかったですし。最近ライブがなかなかできなくてお客さんもいろいろ溜まってると思うので、早く会える日が来たらな……。
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