音楽ナタリー Power Push - フルカワユタカ
無限大ダンスタイム復活! “ドーパンの方法論”で作る新曲のすごさ
1人のスタジオで曲を作り続ける
──バンド解散後はどうしていたんですか?
曲を作ってました。
──あの世田谷のプライベートスタジオで?
はい、1人になってからも1年くらいは借りてたんです。でも家賃が相当な額だったんで、結局は畳んで何もなくなっちゃいましたけど。
──そこで作っていた曲はソロの曲ということですか?
そうですね。でもリリースの予定もないし、メンバーもいないし、メーカーもないし、事務所もないんですけど(笑)。
──そのときの曲が「emotion」(2013年11月リリースの1stソロアルバム)に収録される曲ですか?
いや、結局それは全部捨てたんですよね。「love emotion」って曲と「farewell」って曲はMEGちゃんと須藤(寿)くんにあげて、あとから自分のアルバムにも入れたんですけど、そのほか2、30曲あったのは全部捨てました。
──バンド解散後の活動については、当時どういうビジョンを持っていたんですか?
なんにもなかったです。ただなんかスタジオから離れられなかっただけで。
──ソロアーティストとしてやっていこうという意志は?
それはありました。引退する気はなかったし、自分のやりたいことはまだ途中だったんで。
──新しいバンドを作ろうという発想はなかったんでしょうか?
なかったですね。やっぱりハヤト(Dr)とタロティ(B)と僕はヘタクソなところから3人でやってきて、最後はドラムもベースもすごく上手になってた。だからもしまたバンドをやるとしたら、あれの続きじゃないといけないって気はずっとしてますね。
インディーズには向いてない
──ソロ活動をスタートさせたときには、どういう音楽をやろうと思っていましたか?
1stのときはやっぱり日本語の歌モノですよね。飛び道具とか仕掛けとか音楽性の高さとかをいくら追求しても、歌ひとつの説得力にかなわないってことが、10年ぐらいバンドをやってるうちにわかってきたので。
──手応えはありました?
難しい質問ですね。いや、もちろんいい曲だとは思うんですけど、真新しいことをやってるっていう意識はなかったです。それよりも強いもの、スタンダードなものを作ろうとしてたっていうか。
──1stアルバムリリース後のツアーはどうでしたか?
それがね、そのツアーは基本的に自分1人でやったんですよ。どこの会場を回るとか、機材車の手配とか、メンバーのホテル代をどうするかとか、そういうのも全部自分で考えて、マネージャーもいないから打ち上げの会場を探したりとかね。それが本当にしんどかった。
──音楽以外の細かい仕事が大量にあったんですね。
つらかったです(笑)。そのツアーが終わったのが去年2月ぐらい。で、僕はインディーズには向いてないっていうのがわかったんですよね。自分ではけっこう要領いいほうだと思ってたんだけど、やってみたら全然無理でした(笑)。それで自分は音楽を作ることに集中したほうがいいんだって気が付いて、事務所に戻ることにしたんですよね。
──戻りたいって言って戻れるものなんですね。
ねえ? 五分五分かなって思ってたんですけど、でもそのあと担当の人と話して、これからのいろんな計画みたいなものも考えたりして。去年の6月に戻ったから1年半経つんですけど、今はやりたいことだけやれてるし、ほんとにありがたいなって思ってます。
ドーパンの曲をやりたかった
──そして今年5月の東京・WWWのライブで、ドーパンの楽曲を全面解禁しましたよね。「無限大ダンスタイム」まで披露するサービスぶりでしたが、どういう心境の変化があったんですか?
やっぱりね、やりたかったんですよ。
──ドーパンの曲を?
はい、自分がやりたかった。「emotion」のツアーを回ったときにそれがわかったんです。ソロの曲を歌ってると気持ちいいし、お客さんがちゃんと聴いてくれてるのもわかるんだけど、やっぱり何か違うんですよね。ライブやってても溶けてくような感じがないっていうか。単純に言うと「俺はもっとすごかったよな?」って思って、それがずっと引っかかってたんです。
──ドーパンの曲はフルカワさんにとっても特別なものがあるんですね。
なんでそれまでドーパンの曲をやらなかったかっていったら、それはやっぱりメンバーやファンに気を遣ってたわけですよ。でも逆に言うと理由はそれだけなんです。自分の本音を言えばやりたいんだから早くやればよかったなって、やったあとで思いました。
──メンバーには報告したんですか?
もちろん。発表する前にメールしました。ハヤトからはすぐ返事が来て、タロティは3日くらいしてから「ぜひぜひ」「お気になさらず」って(笑)。
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- ニューアルバム「I don't wanna dance」 / 2015年11月4日発売 / 2160円 / Niw! Records / NIW-113
- ニューアルバム「I don't wanna dance」
収録曲
- I don't wanna dance
- deep sleeper
- slow motion
- 君は神様だったから
- in my dreams
- LIVE at 渋谷WWW 0517(bonus track)
ライブ情報
- 無限大ダンスタイム WEST
- 2015年12月2日(水)大阪府 梅田Shangri-La
- 無限大ダンスタイム EAST
- 2015年12月4日(金)東京都 LIQUIDROOM
サポートメンバー
村田シゲ(B / □□□, CUBISMO GRAFICO FIVE, Circle Darko)
新井弘毅(G / ex. serial TV drama, alice in underground)
カディオ(Dr / QUATTRO)
オフィシャルサイト最終先行抽選予約
2015年11月15日(日)18:00締切
一般発売日:2015年11月21日(土)
フルカワユタカ
1997年にDOPING PANDAを結成。2000年に初の音源となるシングル「Dream is not over」をリリースし、2005年にアルバム「High Fidelity」でメジャーデビューを果たす。個性的なダンスロックサウンドで多くの音楽ファンの注目を集め、4枚のアルバムをリリースして全国各地の夏フェスを席巻した。2012年4月に開催したワンマンライブを最後に解散し、以後はソロ活動を本格始動。2013年11月に初のソロアルバム「emotion」をリリースした。2015年10月に約2年ぶりの音源となるミニアルバム「I don't wanna dance」を発表し、12月には大阪と東京でワンマンライブ「無限大ダンスタイム」を開催する。