降幡愛×本間昭光|最強タッグで生み出す“2020年版の80's”

スパルタなやり方

──「CITY」の歌録り作業はいかがでしたか?

降幡 まず最初にプリプロをやったんですけど、そのときはキャラクターではない降幡愛としての歌い方がまだ見えていなかったので、全然歌うことができなかったんですよ。なので2、3カ月くらい時間をかけながら、徐々に自分の思い描いている雰囲気を表現できるようにしていった感じでした。本番のレコーディングでは、大人っぽさ、トレンディ感、まっすぐ芯のある雰囲気っていう部分を意識して歌いましたね。

本間 このプロジェクトのもう1つのこだわりとして、歌のピッチやタイミングに関しては修正しないと決めているんですよ。それってある意味、すごくスパルタではあるんだけど、当時のアーティストはそういうやり方をしていましたからね。妥協せず、時間をかけて後々まで残る音楽を作っていくという。それを降幡さんにもやってもらっています。

降幡 自分自身として歌うということを今まではあまり研究してこなかったので、本当に苦戦はしました。でもソロとして自分のやりたいことや楽曲のイメージは明確にあったので、そこに近づくためにがんばった感じでしたね。ウイスパーっぽく歌ったり、マライア・キャリーっぽい歌い方をしてみたり(笑)、キャラクターソングではできない新しい手法を試せたのも楽しかったです。

本間 現場で出たアイデアをどんどんやってもらって。そういう面白さもありましたよね。で、そういった作業を重ねていくことで、歌に関しては日に日に変化していると思うんですよ。その成長は二次関数的な曲線を描いているので、その変化も含めてファンの皆さんには楽しんでほしいかな。「CITY」のあとに用意されている曲ではまた全然違った表情が楽しめると思うので。

自分たちが楽しむことを大事に

──「CITY」のミュージックビデオも最高の仕上がりだと思います。おでこ全開の降幡さんが新鮮ですし、サビでの振り付けも思わず真似したくなる感じで。

降幡 今までのイメージを打破する意味も込めてオールバックにしたんですよ(笑)。振りに関しては、西城秀樹さんの「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」の振り付けをされた一の宮はじめ先生に考えていただきました。当時っぽい振りがこの曲にはすごくしっくりきてますよね。大人の方はもちろん、ちっちゃい子も真似して踊ってくれたらうれしいです。

本間 歌唱シーンはとにかく本物のミュージシャンの方々を集めようと思って、江口信夫(Dr)さん、根岸孝旨(B)さん、町田昌弘(G)くん、nishi-ken(Key)、会原実希(Cho)に参加してもらいました。みんなで楽しくバックで降幡さんを支えているという(笑)。

降幡 私が好きな音楽を作っていた方たちと同じステージに立てているんだという、不思議な感覚がありましたね……思いを噛み締めながら撮っていました。

本間 ストーリー仕立てにするとか、アニメーションを挿入していくとか、このMVには降幡さんのアイデアが満載だよね。ストーリーの内容に関しても降幡さんのほうから「こういうふうにしたい、ああいうふうにしたい」と指示がありました。ホント、まあまあなプロデューサーですよ、彼女は(笑)。

──「Purple One Star」と降幡さんがここからどんな展開を見せてくれるかが俄然、楽しみになりました。このあと、2020年初秋にミニアルバムのリリースが予定されています。

降幡 はい。パンチのある曲たちがそろったミニアルバムになると思います。

本間 作品通してのバランスではなく、全曲シングル対応できる内容にすることをコンセプトにして作っていますからね。とにかく面白い作品になることは間違いないです。降幡さんのプロジェクトに関しては現状、80'sが1つのキーワードになっていますけど、急に70年代がやりたくなったとか、そういった変化も全然ありだと思うんですよ。何にも縛られず、彼女が今やりたいことを展開していくのが一番面白いから。その都度、真剣にやりたいことを掘り下げて本物を追求する基本姿勢があるから何をやっても大丈夫だと思いますね。

降幡 そうですね。自分たちが楽しむことを大事に活動していきたいです。そうじゃないと皆さんに楽しんでもらうことは絶対できないと思うので。本間さんにはチラッとお話しましたけど、菊池桃子さんのラ・ムーみたいな曲も作ってみたいんですよ(笑)。やりたいことはまだまだいっぱいあるので、いろんな角度から面白いことをどんどん具現化していこうと思います!