降幡愛|令和の冬に流れる本気の80's

降幡愛が12月23日に2ndミニアルバム「メイクアップ」をリリースする。

9月にソロデビューミニアルバム「Moonrise」がリリースされてから、わずか3カ月で届けられる本作。デビュー作に引き続き本間昭光をプロデューサーに迎え、80年代の世界観にこだわるソロアーティストとしての方向性はより自由度とディープさを増し、前作以上に多彩な楽曲群で自らを鮮やかに“メイクアップ”することに成功している。

音楽ナタリーでは11月に全8公演のスペシャルライブ「Ai Furihata "Trip to ORIGIN"」を終えたばかりの降幡にインタビュー。ソロ活動の手応えや初ライブの感想、そしてミニアルバムに注ぎ込んだこだわりについてじっくりと話を聞いた。

取材・文 / もりひでゆき

受け入れてもらえているな

──降幡さんのソロプロジェクトが始動してから約半年が経ちました。ご自身の中での手応えはいかがですか?

アーティストデビューを発表した段階でいろいろな反響はありましたけど、私のビジュアル的な部分や80年代サウンドをやるという方向性に関しては、皆さんけっこう意外に思われたようで(笑)。ただ、9月にデビューミニアルバム「Moonrise」をリリースしたことで、「あ、ちゃんと受け入れてもらえているな」っていう実感を得たところもあったんですよね。ラジオから流れてきた「CITY」をきっかけに私のことを知ってくださった方もすごく多かったですし、ミュージックビデオのコメント欄には海外の方からの感想もあったりしたので。そういう意味ではすごく広がりを感じながら活動できていると思います。

──楽曲が響いている年齢層についてはどう感じています?

やっぱり80年代をリアルタイムで過ごしてきた自分の両親くらいの方々に刺さっているような気がします。実際、うちの父も私の曲をけっこう聴いているようなので、ちょっと面白いなって思いつつ(笑)。逆に若い世代の方にも聴いてもらえている実感もあるんですよ。自分と同じ声優業の方から「聴いてるよ」ってコメントをいただいたりもしますし、若い女の子がファッション的な感覚で80年代サウンドを新鮮に楽しんでくださっていたりもして。そういう状況はすごくうれしいですよね。

ハチャメチャにやっちゃうタイプなんだな

──11月にはBillboard Live YOKOHAMAとBillboard Live OSAKAで全8公演のスペシャルライブ「Ai Furihata "Trip to ORIGIN"」も開催されましたね。

コロナ禍でライブがなかなかできない状況にもかかわらず、有観客でライブができたことは本当にありがたかったなと思います。ソロ初としてとても素敵なライブになりました。

──音源同様、ライブでも江口信夫さん、根岸孝旨さん、町田昌弘さん、nishi-kenさん、会原実希さんなど、そうそうたるミュージシャンの方々がバックバンドとして参加されていました。

ヤバかったですよ、ホントに! マジで幸せでした(笑)。皆さん、リハーサルの段階からものすごく優しくしてくださいましたし、そのめちゃくちゃカッコいい演奏からはたくさんのことを学ばせていただきました。早くまたライブでご一緒したいです。

──僕は配信でライブを拝見したのですが、何かが憑依したかのような降幡さんのパフォーマンスにとにかくびっくりしたんですよね。

あははは(笑)。めちゃくちゃ緊張はしていたんですけど、でもホントにただただライブが楽しかったんですよね。目の前にいるお客さんたちの熱であったり、ミュージシャンの方々のグルーヴであったりを受け取ることで、何かが憑依しちゃうんだなって自分でも思いました。最終公演では跪いて歌ってたらしいんで(笑)。とにかく毎公演、「この時間が終わってほしくない」と心の底から思ってましたね。

──ファンからのリクエストによるカバーコーナーでは、杏里さんの「悲しみがとまらない」を歌われていて。ものすごい巻き舌が発動していましたよね。

あんなことをする予定じゃなかったんですけどね(笑)。あの場の空気がそうさせたんだと思います。あの曲って、友達と彼氏を同時に奪われた話なので、「こんなひどい話ってないよな。最悪ー!」って思いながら歌ってたら自然と巻き舌に。やっぱり80年代の曲は歌詞の世界にぐっと入り込めるところが魅力ですね。

──今回のライブを通して、ソロでのライブスタイルについて何か見えたものはありました?

自分ではあまり記憶がないんですけど、けっこうハチャメチャにやっちゃうタイプなんだなってことには気付きました(笑)。声優として作品を背負ってステージに立つときは、立ち位置やフォーメーションなど決められたものの中で表現する楽しさがあるんです。でも、ソロでは自由に、自分の感情のままにパフォーマンスできる楽しさがあるなと思いました。その場その場の空気を味わいながら楽しみ尽くすのが降幡愛のライブスタイルかなって。

──80'sという時代についての愛情はより深まっていますか?

そうですね。歌詞を書くうえで、当時の流行をはじめとする文化的なことについてもより深く勉強するようにはなりました。自分が生きていなかった時代の方たちがどんな考え方で、どんな生活をしていたのかを調べて、それを自分の中にどんどん吸収したいなって思うんですよね。

──そこには今の時代との違いも感じますか?

80年代の方々はとても貪欲だなって思います。私はゆとり世代ですし、今の子たちってあんまり他人と競うことをしてないような気がするんですけど、80年代の人は一流の大学や企業に入るために激しく競い合っていたんですよね。そういった時代の空気が当時の曲にはにじみ出ているようにも思うので、その空気感を表現するために自分も今の生活を見直して、80年代の考え方を持って生きていかなきゃなとは思ってます。

──表面だけではなく、内面も80年代に寄せていくと。

そうそう。今までの自分はわりと一歩引いちゃうタイプでしたけど、これからはもっともっと前に出ていく考え方に変えていきたい気持ちはありますね。それは単純にソロアーティストとして大事なことでもあると思うので。