降幡愛×本間昭光|最強タッグで生み出す“2020年版の80's”

すべて詞先のプロジェクト

──降幡さんが80年代の音楽を好きになったのは、何がきっかけなんですか?

降幡 再放送で観ていた昔のアニメからの影響が大きいと思います。私は高橋留美子先生が大好きなので「うる星やつら」なんかをよく観ていたんですけど、主題歌がものすごくいいんですよ。あの年代の曲を聴くとどこか懐かしい気持ちになったり、エモーショナルな部分を刺激されるというか。もちろん最近のJ-POPも聴いたりはしますけど、自分の心に刺さるのはやっぱり80年代の曲かなという意識がずっとありますね。なので、ソロとして自分の好きなことをやらせてもらえる環境にいるのであれば、そこに全力で取り組みたいなと。もちろんね、本間さんを含めた素晴らしい方々が、ソロアーティスト降幡愛の“ガワ”を作ってくださるからこそ、安心してそこに乗っかっていられる感じもあるんですけどね(笑)。

本間 いやでもね、降幡さんはすごいんですよ。最初にもらった企画書に、すでに歌詞が書かれていましたからね。

降幡 そうなんです。基本的にモノ作りが好きなので、自発的に歌詞を書いちゃったんですよね。

本間 それを見たことで、改めてスタッフ全員のイメージがバチーンと固まったところもありましたね。降幡愛プロジェクトはすべて詞先で作られているっていうのは大きなポイントだと思います。彼女の書いた歌詞と80'sというキーワードを元に、イメージを膨らませて曲を作っているので。だからやっぱり、やらされている感が一切ないんですよ。大人が無理やり歌わせているようなインチキ80'sじゃないっていうね。

果し合いくらいの気持ち

──降幡さんは「CITY」の歌詞をどのようなイメージで書いていったんですか?

降幡愛「CITY」配信ジャケット

降幡 せっかく80'sをやるんだったら夜のイメージ、大人なイメージの世界観がいいなと思ったんですよね。「トレンディとは何か?」みたいなことを考えて、自分の憧れをたくさん詰め込みながら書いていきました。出だしの「ボンネットは煌めきだしたの」のところは、上京したときに見た東京のキレイな夜景を思い出しながら書いたりもしましたね。憧れだけではなく、自分自身の感覚も忘れずに書くということを意識していたんだと思います。

本間 歌詞は企画書に書かれていたものがそのまま本チャンで使われてますからね。何も変えるところがなかった。サビのコーラス部分、カッコでくくられた「(moon light)」「(your feel)」も最初からあったし。イメージが膨らみやすい歌詞だったから、曲はすごく作りやすかったですよ。これを聴きながらレインボーブリッジを渡ってみてください。最高ですから(笑)。

降幡 私のイメージもまさにそれだったんですよ。東京タワーとレインボーブリッジが見える高速道路を思い描きながら書いていたので。私はけっこう妄想癖があるので、歌詞を書くのはすごく楽しいです。

──物語の世界観からワード選びに至るまで、見事に80年代のニュアンスを表現しつくしているのがすごいなとちょっと驚いたところもあったんですよね。

降幡 そこはある程度、自分なりに勉強はしたんですよ。米米CLUBさんとかWinkさんとか、いわゆる当時の王道の楽曲の歌詞をじっくり読み込んでみたりして。「当時の曲はあまり文字数がないんだな」とか「カタカナの言葉を多く使うんだな」とか、そういう部分はけっこう意識しましたね。「CITY」を作ったあと、「日本語の美しさを感じさせる歌詞を書いてほしい」と本間さんに言われたりもしたので、そういう部分を考えながら今も歌詞は書き続けてますね。日々、勉強してます。

本間 僕からは「1曲の中でサビの歌詞を毎回変える必要はないんだよ」というアドバイスもしましたね。例え同じサビの歌詞だったとしても、AメロBメロが変わっていれば、自然と聴こえ方は変わってくるものですからね。The Beatlesの「Let It Be」だって、サビは変わらないでしょ、みたいな(笑)。で、そういうアドバイスをすると、新しい歌詞をガンガン送ってきてくれるんですよ。

降幡 あははは(笑)。ホントにすみません。

本間 しかも書くごとにスキルが上がっていってるからね。すごいですよ、ホントに。

降幡 やったー!

本間 だから僕もね、降幡さんから送られてくる歌詞に対する果し合いくらいの気持ちで、いいメロディを返そうみたいな気持ちにもなるという。そのやり取り、相乗効果みたいな部分もまた面白いんですよね。

80'sだけど、今風の音に

──本間さんから上がってきた「CITY」の曲に関してはどんな印象を受けましたか?

降幡 自分が思い描いていた以上のサウンドに仕上げていただいた感じがしましたね。「あれ、いつかどこかで聴いたことがあるな」と錯覚するような懐かしさがありつつ、同時にちゃんと新しさもあるという。イントロを聴いた時点で興奮が止まらなくなっちゃって、思わずマネージャーさんに電話しちゃいましたから。「すごいのができましたね!」って(笑)。ソロデビューに関してはずっと水面下で動いていた状況だったので、誰にも話すことができなかったんですよ。ようやく解禁できるタイミングがきたので、ここからはたくさんの人たちと共有したいです。このプロジェクト、この楽曲の面白さを。

──曲の中で鳴っている楽器類も、徹底的に80年代を踏襲していますよね。そこにもまた上っ面だけではないこだわりを感じます。

降幡 ふふふふ(笑)。そうなんですよね。

本間 当時スタジオで実際に使っていた機材のプラグインエフェクターのみを使うことにこだわったり、Prophet-5やE-MU SP-1200といったシンセサイザーの実機だけを使おうという方針でやってますね。実機を使うと多少ノイズは出るんだけど、それもまた音楽の1つの要素になるから面白い。ただ、仕上げのミックスバランスはちゃんと2020年のものにしなきゃいけないなとは思うので、そこはバランスを考えながらやってます。80'sだけど今風の音になっているという部分は、The Weekndがやってることをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれないです。あと歌録りはSONYのC-800Gという、80年代にみんなが使っていたマイクを使っていたりもしますね。

降幡 ギターのレコーディングをはじめ、いろんな場面で見学もさせてもらってるんですよ。その都度、本間さんがいろいろ教えてくださるので、すごく勉強になりますね。一緒にモノを作っている感覚を味わいながら、音楽を楽しむことができています。

本間 降幡さんはけっこう具体的な音のイメージも伝えてくれたりするんですよ。参考曲のリンクがメールに貼られていることも多いし。

降幡 そうですね。この楽曲ではこういうシンセのこういう音色を使いたいです、みたいなことはけっこう伝えさせていただいてますね。

本間 で、そこもまた果し合いというかね、彼女からのリクエスト通りにやるのではなく、僕なりに咀嚼したものを提示してみたりもするし。ホントにみんなで楽しんでるよね。

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