音楽ナタリー Power Push - FUNKY MONKEY BABYS
今なお輝き続ける楽曲&軌跡をプレイバック ファンからのコメントも
FUNKY MONKEY BABYSのメジャーデビュー10周年を記念して、ラブソングをセレクトしたベストアルバム「FUNKY MONKEY BABYS 10th Anniversary Best "LOVE"」、応援歌を中心に選曲した「FUNKY MONKEY BABYS 10th Anniversary Best "YELL"」、そして彼らが発表してきた全曲をパッケージしたCD7枚組+DVDのコンプリート盤「FUNKY MONKEY BABYS 10th Anniversary "COMPLETE BEST"」が1月に同時リリースされた。これら3作品はオリコンデイリーランキングでも1位から3位までを独占するなど、発売以来スマッシュヒットを記録している。 すでにメンバー3人がそれぞれの新たな道を歩み始めている今も、彼らが生み出した名曲の数々は色褪せず多くの人々の心を惹きつけている。今回音楽ナタリーでは改めてファンモンの功績を振り返る特集を展開。「LOVE」「YELL」の全収録曲レビュー、ファンモンを象徴する“顔ジャケ”の歴代デザインとともにたどる彼らの歴史、そして彼らの大ファンを自称するたむらけんじと棚橋弘至からのコメントを紹介する。ファンモンの楽曲はもちろん、その人柄の魅力を改めて感じ取ってほしい。
「LOVE」「YELL」全収録曲レビュー
文 / 川倉由起子
「FUNKY MONKEY BABYS 10th Anniversary Best "LOVE"」
Lovin' Life
恋人同士の日常を“さくら”をモチーフに歌った、瑞々しく温もりあふれるラブソング。ファンモンの知名度を一気に押し上げた初期の代表曲でもある。彼らはこの曲で念願の「ミュージックステーション」に初出演。DJケミカルが司会のタモリから頂戴した「君は何もやってないんだね?(笑)」というひと言はファンの間で語り草となっている。
告白
タイトルが示す通り、好きな人に思いを告げる瞬間を切り取った1曲。サビの「大好きだ 大好きなんだ」というストレート過ぎる歌詞と力強くエモーショナルな歌声が胸を打つ。当時、サビの歌詞を書いたファンキー加藤は「あのメロディを聴いて、言葉が天から降ってきた感じ」と制作時のエピソードを明かしている。
希望の唄
映画「ラブファイト」の主題歌で、主演の北乃きいをジャケット写真に起用。「人間愛」や「人のつながり」をテーマに、身近で支えてくれている“あなた”への感謝や、大切な人を幸せにしたいという男らしい思いが楽曲の端々に込められたアップチューンだ。ライブではファンが一斉にハンズアップして盛り上がる様子が壮観。
桜
SMAP「夜空ノムコウ」の作曲でも知られるシンガーソングライター・川村結花との共作で、柔らかさや淡さに満ちたミディアムバラード。出会いと別れが交差する春に「この人とずっと一緒にいよう」と決意する、「Lovin' Life」よりちょっと大人な目線の桜ソングだ。なお、彼らが女性アーティストとの共作をしたのはこの作品が初めて。
大切
どんなに何気ない日常でも、決して当たり前の日々ではない。大切な人と過ごすなら、それは一瞬一瞬がかけがえのない時間になる。つい忘れがちになりそうな、そんな大切なことに気付かせてくれるファンモン流のウエディングソング。結婚式のBGMとしても人気があり、どこか切なく温もりのある歌声が涙を誘う。
ナツミ
タイトルは女子の名前?と思いきや、この曲がカップリングで収録されたシングル「告白」のリリース日(7月23日)が由来となっている。ファンモンらしいポップなメロディに、聴いているだけで情景がリアルに浮かぶ夏の恋を乗せた失恋ソング。胸がチクリと痛む切なさはあるけれど、なぜかそこに浸りたくもなる、共感度高めな夏の名曲だ。
ラブレター
まるで初恋のような、ピュアで甘酸っぱい恋心に満ちたラブソング。誰もが1度は経験した、どうしようもなく胸が苦しくて、でも頭の中は“君”でいっぱいで……という日々を真空パックしたような1曲だ。MVには上田晋也(くりぃむしちゅー)が本人役で出演。その子供時代を、当時高校生だった佐藤大樹(EXILE)が演じている。
この世界に生まれたわけ
寒い冬を越え、桜舞う春を迎えた2人が1歩ずつ前へ進んでいくような、温かくドラマチックなナンバー。上質なストリングスが感動的に響き、Aメロ、Bメロ、そしてサビへと徐々に感情を高ぶらせていくボーカルが印象的だ。ドラマ「早海さんと呼ばれる日」の主題歌で、主演の松下奈緒が美しい笑顔でジャケット写真に登場。
恋の片道切符
「そのまんま東へ」という強烈なタイトルのデビュー曲に続いてリリースされた2ndシングル。片思いの気持ちがリアリティあるリリックで描かれ、エネルギッシュかつ躍動感たっぷりのサビが頭の中をループする。ちなみに当初はタイトルが「片道切符」に決まりかけるも、さらなるインパクトを求めて現在のものに。
もう君がいない
6thシングルにして初めて「別れ」をテーマに制作されたバラード。弱音をさらけ出した切なすぎる歌詞と粉雪が舞う駅舎前で歌うMVは、当時のキャッチーなファンモンのイメージをガラッと変えることになった。ファンキー加藤は当時、「あまりにもリアルな歌詞だけに、歌っているといつも泣きそうになる」とコメント。
ぼくはサンタクロース
ファンタジーの世界を歌に落とし込んだ、ファンモンにとっては珍しい視点からの歌詞が人気の1曲。絵本をめくっているような、イマジネーションを刺激するワクワク感がありつつ、天国でサンタクロースになった“僕”が「夜空の上からいつだって見守ってる」と歌う、どうしようもなく切ない世界観が胸を締め付ける。
八王子純愛物語
ファンモンが生まれた場所であり、BABYS(ファン)たちの聖地となっている東京・八王子市。その観光大使にも選ばれた彼らが「ぜひ遊びにきて」という願いを込めて作った郷土愛が満載の1曲。八王子に関するワードを散りばめたポップで明るい曲調に仕上がっているが、聴いていると胸がキュッと締め付けられる泣きの要素も。
ありがとう
解散前のラストシングル。ファンへの感謝をつづった楽曲で、彼らの人柄が滲み出ているような温もりあふれる仕上がり。明石家さんまがMVへのノーギャラ出演を申し出たことも話題になった。そのMVは中学の卒業式を舞台にしたストーリーとさんまの名演技が号泣必至。後にファンキー加藤は「初めてセールス度外視で作った」とコメントした。