音楽ナタリー PowerPush - フラワーカンパニーズ
25年を生き抜き、今を生き抜く バンドを活写する「Stayin' Alive」
アルバムの本質捉えたボーナストラック
──そしてこのアルバムのラストを飾るボーナストラック「ファンキーヴァイブレーション」なんですけど、開局25周年を迎えたFM802とのコラボ企画ナンバーという性格もあって、アルバム本編のテイストとはちょっと色合いが違いますよね。
マエカワ オレらが結成25周年で、802が開局25周年だからっていうことで、一昨年くらいから「何か一緒にできたらいいね」って軽いノリで話をしていて。「じゃあ大阪ソングを作ろう」って作った曲なんですけどね。
──中京圏出身のフラカンが「大阪ソング」っていうのも面白いですよね(笑)。
マエカワ 一番長くて3連泊くらいしかしたことがないし(笑)。
鈴木 でもオレ、関西無縁じゃないですから。母方が奈良なので血は半分入ってる(笑)。
マエカワ オレの母ちゃんは鳥取の学校出て、最初大阪のパイロットインキってとこで働いてた(笑)。
小西 有名企業だ(笑)。
鈴木 でも就職先が関西ってだけ(笑)。
マエカワ そういう感じではあるんだけど、大阪には特別な思い入れがいろいろあるわけだから。「フラカンと大阪っていう作文を書いたらどうなる?」っていう感じで鈴木と話をしたら、次の日くらいに歌詞ができあがってて。曲ももともと原型があったものではあるんだけど、オレが「預からせて」って持って帰って。やっぱり1日くらいでこの形にした感じだったかな。
鈴木 言ってしまえば802でオンエアしてもらえばいいだけの曲だったわけだから。だからすごく軽い気持ちで作れたんですよ。ある意味、ラジオの生放送で「今、曲を作ってください」って言われて作るのと変わらない感じで作っちゃえたんですよ。
──ただこの曲は単なるボーナストラックの域には収まっていない。タイトル通り、本当にファンキーだし陽性な1曲なんだけど、ちゃんとアルバムを締めくくるにふさわしい1曲になっています。
竹安 このアルバムの制作期間の最後の最後くらいに作った曲だよね?
鈴木 そう。
竹安 だからすごくラクな気分で作れたんだけど、やっぱりアルバムを作っている最中にできた曲ではあるから。サウンドはほかの曲とつながっている。実際、ギターリフが特徴的でリズムは軽快でっていうあたりはまさにこのアルバムらしいし。
鈴木 歌ってることの本質もアルバムのほかの曲と一緒ですし。「大阪の街」って歌ってるんだけど、もっと大きな視点に立てばこの曲ってツアーソングなんですよ。
マエカワ そう! 「ここに来るだけで幸せ」っていうのは大阪はもちろんなんだけど、全国のライブ会場のことでもあるから。オレらはツアーで全国各地に行けることが何よりも幸せだっていう話で。だからアルバムの最後に置いておいてもちゃんと似合う曲なんですよね。最後の最後に「オレらにとってはライブをやることが最高なんだよ」っていうことをうまく言い表せたなって思ってます。
記念アルバムにしては皮肉が効きすぎる
──さて結成26年目は何をしましょうか?
マエカワ まあ変わらないですよね(笑)。アルバムを持って3月からツアーを回って。それは6月に終わるんだけど、夏フェス出たり、ツアーがあったり、イベントに出たり。で、曲を作って、それがまた2年後になるのかは定かではないんですけど、またアルバムっていう形で出せればいいかな、って。
──25周年だ!っていう意気込みみたいなものは特にない?
マエカワ 去年の春から25周年イヤーだって打ち出してはいるんだけど、やったことといえば、スーツ作ったことくらいだから(笑)。それを着てアー写を撮ったことくらいかな? オレらがやった25周年らしい特別なことって。スーツ作ったの自体初めてだったしこっ恥ずかしかったけど、せっかくだから作ってみようって。
──ただその一張羅のスーツを着込んで大量のニワトリに囲まれてましたよね(笑)(参照:BIOGRAPHY | フラワーカンパニーズ | OFFICIAL WEBSITE)。
鈴木 あれはいいアー写だった(笑)。でもホントに「25周年」って打ち出してる僕らが言うことじゃないんだけど、皆さん、「今年のフラカンは!」って思ってるかもしれないけど……。
マエカワ こっちはもう丸1年、25周年って言ってるから(笑)。しかも、このアルバムも25周年記念アルバムでもないわけですし。
鈴木 記念アルバムにしてはあまりにも皮肉が効きすぎてますよね(笑)。
- ニューアルバム「Stayin' Alive」2015年1月21日発売 / Sony Music Associated Records
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3456円 / AICL-2805~6
- 通常盤 [CD] 3024円 / AICL-2807
CD収録曲
- short hopes
- 地下室
- 星に見離された男
- 死に際のメロディー
- 東京の朝
- 祭壇
- この世は好物だらけだぜ
- 感じてくれ
- 未明のサンバ
- マイ・スウィート・ソウル
- ファンキーヴァイブレーション(※ボーナストラック)
初回限定盤DVD収録内容
フラカン結成25周年ワンマンツアー「4人で100才」(2014.04.23 at京都磔磔)より
- 小さな巨人
- ロックンロール
- 東京ヌードポエム
- 終わらないツアー
フラワーカンパニーズ
1989年4月に鈴木圭介(Vo)、グレートマエカワ(B)、竹安堅一(G)、ミスター小西(Dr)の4人により名古屋で結成されたロックバンド。地元・名古屋を拠点とした精力的なライブ活動を経て、1994年に上京。1995年にアルバム「フラカンのフェイクでいこう」でメジャーデビューを果たす。以後、2000年までに6枚のフルアルバム、1枚のミニアルバム、12枚のシングルを発表。翌2001年にメジャーレーベルを離れ、活動の場をインディーズに移す。その後も「発熱の男」「東京タワー」「世田谷夜明け前」「脳内百景」といった名作を連発。特に2004年に発表されたシングル「深夜高速」は、ファンのみならず多くのロックファンから愛され続けている。2008年11月、7年8カ月ぶりにメジャー復帰。バンド結成20周年を迎えた2009年には「深夜高速」をさまざまなアーティストがカバーしたコンピレーションアルバム「深夜高速 -生きててよかったの集い-」のリリースや、11年ぶりの日比谷野外大音楽堂ワンマンライブなどで注目を集めた。2010年1月には結成20周年を記念した初のオールタイムベストアルバム「フラカン入門」を発表。同年3月発売のシングル「元少年の歌」は映画「誘拐ラプソディー」の主題歌に起用され話題となった。そして2013年にはオリジナルアルバム「ハッピーエンド」を、2015年1月には「Stayin' Alive」をリリースした。