ナタリー PowerPush - FLOPPY

実現しなかった未来を届けたい── 近未来テクノポップユニット新作完成

ボーカルの作る曲が好きなんです

──結成してから、もう長いですよね。

戸田 そうですね。なんだかんだで6年です。

──テクノポップやニューウェイブを取り入れながらも、FLOPPYは単に表面的スタイルをサンプリングしただけのレベルでは終わっていませんよね。常に今の自分たちならではの視点で消化されているというか。

写楽 そうですね。別に否定とかっていう意味ではなく、普段音楽を聴きながら「このバンド、もうちょっと打ち込みが多かったらいいのに」とか「もうちょっとギターの歪みが強かったらかっこいいのに」って、誰もが無意識のうちに考えてると思うんですよ。「このバンドは打ち込みの部分がすごい好き」とか「メロディの作り方が好き」とか。そういうのが合わさっていって今のFLOPPYのスタイルになっているので、昔の部分と今の部分が全部ごちゃ混ぜになっている感じですね。

──楽曲に歌謡曲的なメロディのセンスが感じられるのも、お2人がそれを好きだからということなのでしょうか?

写楽 自分がボーカルだからかもしれないですけど、ボーカルの作る曲が好きなんですよ。2人ともボーカルなので、歌い手が気持ちよく歌えるのを前提で作るというか。そうすると、どうしても歌謡曲テイストというか綺麗なメロディ重視みたいな感じになってしまう。それを続けていくうちにカラーになったというか、テクノを手法とした歌ものバンドになったんじゃないかなって。

戸田 歌ありきというのは最初から考えていました。ダンスものというよりはテクノポップでいこうってのは特に話し合いがあったわけではないですが、もともとそういうものがお互い好きだったので、自然にそうなっていったんだと思います。

実現しなかった未来をステージ上で表現したい

──自分たちがテクノポップやニューウェイブの遺伝子を継承している、みたいな意識は?

戸田 物の見せ方的な部分とかでニューウェイブの遺伝子が強く出てたりするんだと思うんですが、ニューウェイブを背負って立つとかそういうのはなくて(笑)。伝統を守らなければってのはないです。

──そういう物の見せ方的な部分というのが、ゴーグルなどのガジェットに該当するわけですね。

ライブ写真

写楽 そういうイメージ重視というか。まあわかりやすく、自分の中のニューウェイブはこれだ、みたいな。外から見るとどうかわからないですけど、自分の中ではニューウェイブの教科書のようなバンドだなと思います、FLOPPYは。そういう(ゴーグルなどの、音楽以外の)無駄な部分をすごい大事にしたいというか。さっき宏武君が勘違いでニューウェイブに入っていったって言ってましたけど、その勘違いがニューウェイブ的なことだと思うんで。勘違いとわからないままやりたいです(笑)。だからテクノポップって言葉が流行ってる最近の流れでFLOPPYを知った人は多分「全然違うじゃん!」て思うんでしょうけど、ま、言い返すつもりはないですけど、こっちが教科書みたいな感じなのになって(笑)。小物はそういう意味ですごい大事にしてますね。ゴーグルとか含めた未来観だったり。でもその未来も、結局実現しなかった未来、みたいな。そういうのを大事にしている感じです。

──昔の人が空想した21世紀の未来、ということですね。

写楽 来なかったけど、みんなが知ってる未来、みたいな。このあいだドラえもんの特集をテレビでやってて。のび太としずかちゃんが結婚する頃の話なんですけど、家がすごい未来なんですよ。ドアがシュッて閉まるような。(話の設定の)年代的には今頃なんですけど、来なかったなーって(笑)。来るはずだったのに。でも、FLOPPYのステージ上では来ました、こうなりました、っていうのを表現しようとしている感じですね。だからゴーグルもすごい便利なんですよ、本当は(笑)。

──もうひとつの来なかった未来では、みんなあのゴーグルを普通につけて生活している、みたいな(笑)。

戸田 これ(衣装)が私服なんです。みたいなのが、自分の中のテクノポップ/ニューウェイブ観というか(笑)。

──FLOPPYを聴くことは、来なかった未来というパラレルワールドに遊びに行く行為であると。現実をその来なかった未来に変えていこうとは思わないわけですよね。

写楽 だって今のほうが多分便利ですもん。来なかった未来と今を比べると、未来って意外と不便だなあって思いますね。自分の中の未来では、携帯電話とか大きいままだったりするんで(笑)。

戸田 スーパーコンピュータとかも、馬鹿デカイですもんね(笑)。

ニューアルバム「PROTOSCIENCE」 / 2010年3月17日発売 / 2310円(税込) / CITRON RECORDINGS / DDCH-2318

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CD収録曲
  1. 黎明
  2. 春風
  3. パポピ
  4. meta色吐息
  5. サーフトロニカ
  6. 哲学堂心中
  7. PROTOSCIENCE
  8. meta色吐息 (remixed by 中野テルヲ)
FLOPPY「TOUR PROTOSCIENCE」
2010年4月27日(木)
名古屋(池下)CLUB UPSET
OPEN/START 18:30/19:00
ADV/DOOR ¥3,300/¥3,800(ともにドリンク別)
チケット一般発売日 : 2010年3月27日
問い合わせ : JAILHOUSE 052-936-6041
2010年4月28日(水)
大阪(心斎橋)OSAKA MUSE
OPEN/START 18:30/19:00
ADV/DOOR ¥3,300/¥3,800(ともにドリンク別)
チケット一般発売日 : 2010年3月28日
問い合わせ : サウンドクリエーター 06-6357-4400
FLOPPY「TOUR PROTOSCIENCE SPECIAL」
2010年5月22日(土)23日(日)
東京(渋谷)SHIBUYA CLUB QUATTRO
22日 OPEN/START 18:00/19:00
23日 OPEN/START 16:00/17:00
ADV/DOOR ¥3,800/¥4,300(ともにドリンク別)
HOT STUFFチケット先行予約
2010年3月14日12時~2010年3月22日17時
http://www.red-hot.ne.jp/pre/floppy/
一般発売日 : 2010年4月3日
問い合わせ : HOT STUFF 03-5720-9999
FLOPPY(ふろっぴー)

小林写楽(Vo,Technology)、戸田宏武(Syn,Technology)の2人によるテクノポップユニット。2004年に活動を開始し、2005年に初音源「FLOPPY」をリリース。以降、コンスタントにリリースやライブを行い、幅広い層からの支持を集めている。80年代歌謡曲を思わせるキャッチーなメロディと、近未来的なビジュアル、レトロフューチャーな世界観が特徴。