実現しなかった未来を届けたい── 近未来テクノポップユニット新作完成
テクノポップやニューウェイブへの深い愛情をガジェット感満点な“ピコりポップ”へと昇華させた次世代エレクトロポップユニットとして、注目度急上昇中のFLOPPY。
ニューアルバム「PROTOSCIENCE」は、草食系ならぬ“電飾系男子”としての彼らの魅力が詰め込まれた1枚だ。リアルタイム世代ではない彼らはテクノポップやニューウェイブとどのようにして出会い、どう解釈することでキッチュなレトロフューチャー(来なかった未来)へとたどり着いたのか。
電子音仕掛けのゴーグルディスプレイを装着して、2人の話をお楽しみください。
取材・文/小暮秀夫
──2009年に新宿LOFTで行なわれたロングランイベント「DRIVE TO 2010」のパンフレットに写楽さんは「押し付けがましいパンクロックに辟易していた10代の頃、<へんなひとたち>に出会いました」というコメントを寄せていましたよね。パンクのどういうところが押し付けがましかったのですか?
小林写楽(Vo, Technology) みんなで肩を組み合って何かと闘おうみたいな、しかもその何かが明確にされないまま闘うことだけを強制されてみたいなところですね。そんなにみんなと一緒に闘いたいわけじゃないんだよなって。オイラが音楽をやり始めた頃はバンドブームで、若い子向きに「学校と闘おう」みたいにわかりやすく盛り上がる感じのものが多かったから、周りとうまく馴染めない感じがずっとあったんです。
──そういうときにテクノポップやニューウェイブと出会ったと。最初のきっかけとなったアーティストは誰だったんですか?
写楽 有頂天です。それまで耳に入ってくる音楽って「明日に向かって」とか「お前もわかるだろ?」みたいな歌詞のものが多かったんですけど、有頂天を聴いたときに何か全然投げかけてくれてない感じがして(笑)。最初のうちはそれが不安になったりもしたんですけど、どういうことを考えている人たちなんだろう、みたいに気になって。
──そもそも有頂天を知った経緯というのは?
写楽 当時ユニコーンが好きで、知り合いに「(ユニコーンみたいに)5人組でシンセがいてボーカルが髪立ててるようなバンドで何かオススメがあったら教えてよ」って言ったら、教えてくれたのが有頂天で(笑)。あー、言ってることは確かにって(笑)。そこから(テクノポップやニューウェイブを)発掘して聴き出したというか。
──有頂天のどの作品を最初に聴いたんですか?
写楽 最初は友達がまとめてくれたカセットテープを聴かせてもらって、それが後期というかポップな曲が多かったんですね。その後「AISSLE」をまず最初に買って聴いて「あれ? 全然違うバンドだ」って思ったんですよ。
──確かに有頂天にしろ、そのルーツになっているテクノポップ/ニューウェイブのバンドにしろ、みんなアルバムごとにサウンドをガラッと変えていきましたからね。
写楽 だからP-MODELも最初は“解凍”後のアルバムを聴いて、その後に「アトムシベリア」とかが入ってる「ANOTHER GAME」を聴いたら「あれ? 全然違うバンドだ」って(笑)。みんなそうなんだ、と思いましたね。
戸田宏武(Syn, Technology) うちと逆だ。僕は「ANOTHER GAME」の後に“解凍”後を聴いて「違うバンドだ!」って思いました(笑)。
──戸田さんはどういうきっかけでテクノポップやニューウェイブを聴くようになったんですか?
戸田 小学生のときにTHE BLUE HEARTSとかLAUGHIN' NOSEとかに代表されるパンクブームみたいのがありまして。ある日、知り合いが「これもパンクだよ」って言って聴かせてくれたのが、P-MODELの「ANOTHER GAME」で(笑)。流石に、これはパンクなのか? と疑問に思いましたが、きっと都会ではこういうパンクもあるんだと自分を納得させつつ、何か聴いているうちにそのままニューウェイブにも入っていってしまった感じです。誤解から(笑)。当時売れていたバンドはカッコよすぎて恥ずかしいって部分が自分にはあったので、ニューウェイブみたいなものにすんなりハマッていくことができたんだと思います。
──そこからFLOPPY結成に至るまでの流れというのは?
写楽 何度か対バンイベントとかで顔を合わせていたんですけど、お互い「どうも」みたいに話しかけるタイプでもないんで、名前は知ってるくらいの感じでいて。あるとき、自分から一緒にやってみないかって話を。
──話しかけたとき、すでにFLOPPYのコンセプトみたいなものは写楽さんの頭の中にあったんですか?
写楽 はい。宏武君のバンドを何度か観てて曲がすごい好きだったんで、宏武君の曲を歌うのが前提、みたいな感じで。あとその頃、自分が考えた最強の俺バンドのメンバーみたいのを空想して紙とかノートに書き出すのをよくやってたんですよ。ボーカルは自分でシンセは誰、みたいなのを。それをちょっと実行してみようかなと思って、「一緒にやりませんか? ボーカルだってのはわかってるんですけど、シンセを弾いてください」って。
小林写楽(Vo,Technology)、戸田宏武(Syn,Technology)の2人によるテクノポップユニット。2004年に活動を開始し、2005年に初音源「FLOPPY」をリリース。以降、コンスタントにリリースやライブを行い、幅広い層からの支持を集めている。80年代歌謡曲を思わせるキャッチーなメロディと、近未来的なビジュアル、レトロフューチャーな世界観が特徴。