実現しなかった未来を届けたい── 近未来テクノポップユニット新作完成
──ニューアルバムの「PROTOSCIENCE」には、今までおっしゃってきたようなFLOPPYのテクノポップ/ニューウェイブ観がいろいろな形で詰め込まれていますね。
戸田 アルバムを作るときは常に1枚でいろいろなタイプの曲を入れることを目標にしているので、そういう部分が今回も出せたかなと思います。
──アルバムのタイトルにもなっている「PROTOSCIENCE」にはどういう意味が込められているんですか?
写楽 これは、うさんくささと科学の中間、みたいな。来なかった未来にもつながるんですけど、そういうのを表すいい言葉はないかなと思って話しあったときに、宏武君がいくつか出してくれた言葉の中に「PROTOSCIENCE」ってのがあって。
──科学では割り切れないモヤモヤ感があるってことですかね。
写楽 なんかすごい計器とか機器にいろいろ囲まれているんだけど、今日は靴下を右から履かなかったから調子悪いんだよねとか、そういうのを気にしちゃうのがFLOPPYっぽいなと思って。テクノとか打ち込みを使っているんだけど、人間の心にグッと来るメロディみたいな、機械っぽくしきれないところがFLOPPYにはある。それをうまく表している言葉だなと思います。
──アルバムの最後には、中野テルヲさん(元P-MODEL、LONG VACATION)による「meta色吐息」のリミックスが収録されていますが、中野さんにリミックスを頼んだのはどういう理由からですか?
写楽 ちょっと前に中野さんと一緒にライブをやらせてもらうことになって、その流れでリミックスもお願いできないかって感じで。中野さんのライブを観たときにダブっぽい曲とかやってて、そういうのを取り入れたいなと思っていた時期だったので。
──原曲はアッパーな感じですけど、中野さんはそれをエレクトロダブなリミックスへと大胆に変容させていますね。
写楽 曲は中野さんに選んでもらったんですけど、これ宏武君の曲なんですよ。最初は、自分の曲は選ばれなかったんだなって思ったんですけど(笑)、仕上がったのを聴いて自分の曲が選ばれなくてよかったなって(笑)。自分らが原曲を上げるよりも(中野さんのリミックスのほうが)先にできあがったんですけど、これを聴いた後に同じ曲を上げることは無理だと思って。宏武君、大変だなって(笑)。
戸田 ああ、聴かなければよかったなと思って(笑)。こんな大それた感じにしていただいて、うれしかったです。なので(原曲のほうは)いろいろと軌道修正しました。なるべく普通にしようかと。
──4月からはツアーも始まりますが、今回はどんな感じになりそうですか?
写楽 サポートギターを入れて3人で打ち込みでやってきたところに、1年ぐらい前からドラムを入れてやり始めたんですね。それで1年ぐらいかけていろいろと音のバランスとか詰めてきて、うまいこと出したいものが出せるようになってきた。今回もそれがうまく出せるツアーになったらいいなって、希望も含め思っています。
戸田 ドラムとかいろいろ入れて試行錯誤してきたのがようやくまとまりつつある感じなので、まとまったらいいなと思います、このツアーで。
──やっぱりFLOPPYにとってライブは重要な意味を持つものですか?
写楽 単純に楽しいというのがあるんですけど、CDで聴けば誰も間違えないし外さないで済むことをあえて生身で演奏するっていう。無駄っぽいというか、無駄じゃないんですけど、あえて鳴らしてみたりすることもまた、FLOPPYのトータルの中の一環としてある感じですね。
──CDもライブも、FLOPPYってものすごく緻密に作り込まれていますよね。でも表面上はあくまでもゆるいというか、シリアスさを隠すポーズをとっている。そういう、深く考えずにフニャフニャしているようでいて実はそうじゃないんだぞっていうところが、FLOPPYの面白いところだと思います。
写楽 そこがわかってもらえるとすごく助かりますね。(表向きは)「冗談です」みたいなスタンスではあるけど、その裏でちゃんと考えているってのがわかってもらえると。
──じゃあ、これからもそういうスタンスで。
写楽 はい。なおかつ、ちょっとピリピリした感じも出していけたらなって(笑)。
戸田 怖い感じになりたいんですか?
写楽 怖い大御所になりたいです(笑)。
小林写楽(Vo,Technology)、戸田宏武(Syn,Technology)の2人によるテクノポップユニット。2004年に活動を開始し、2005年に初音源「FLOPPY」をリリース。以降、コンスタントにリリースやライブを行い、幅広い層からの支持を集めている。80年代歌謡曲を思わせるキャッチーなメロディと、近未来的なビジュアル、レトロフューチャーな世界観が特徴。