ナタリー PowerPush - ケラ&ザ・シンセサイザーズ × FLOPPY

世代は違えどベクトルは同じ? 脱線ニューウェイブ対談

「80年代ニューウェイブの復権」という旗のもと、元・有頂天のKERAと三浦俊一を中心に1995年に結成されたケラ&ザ・シンセサイザーズ。テクノポップ/ニューウェイブの先人たちの遺伝子を独自に発展させてきたFLOPPY。そんな両者が同時期に新作を発表した。

音楽/演劇/映画の経験値が歌の世界観にとてつもない説得力を与えているケラ&ザ・シンセサイザーズのおよそ3年8カ月ぶりとなるニューアルバム「Body and Song」と、自身のよりコアな部分が出てきたFLOPPYの新作「Over Technology」。音のアプローチも世代も当然違えど、なぜか不思議と同じベクトルが感じられるのは、やはりニューウェイブの遺伝子によるものなのか。それとも何か他に理由が? その真相/深層に迫るべく、ついに両者の対談が実現した。脱線を繰り返しながらも、いつしかトークは興味深い着地点に。やはり、ニューウェイブの魂百まで!? 恐るべし!

取材・文/小暮秀夫

 
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テクノポップの中に見たキャッチーさ

──ケラ&ザ・シンセサイザーズはFLOPPYと何度かライブで共演されていますよね。

KERA(Vo) 2度一緒にやらせてもらって。ずいぶん得させてもらってると思います。若いお客さんが増えた(笑)。

三浦俊一(G, Syn) FLOPPY側も、客層の幅が広がったし、ニューウェイブシーンの中のバンドとして認めてもらえるようになった。

KERA FLOPPYのお客さんは直情的にノッてくれるんで、ステージから観ていて気持ちいいですよ。

──KERAさんは、テクノポップ/ニューウェイブ系の若いバンドが出てくると、その都度チェックされてきましたよね。

KERA でもね、もう情報が収集しきれなくなって、あんまり聴けてないんですよ、若い人たちは。“東京NEW WAVE OF NEW WAVE”のときまではがんばって追いかけてたんだけど、それ以降はよくわかんないですね。あと、映画「グミ・チョコレート・パイン」を撮ったときにいろいろ音を集めてきて聴いたけど、それぐらいかなあ。

──FLOPPYのお2人がKERAさんを知ったのはいつ頃でしたか?

小林写楽(Vo, Technology) 有頂天が初めてで。

KERA 後期を聴いたんだっけ? 三浦がいなくなってからのものを。

写楽 そうですね。

KERA わりとポップス寄りな頃だ。

写楽 完全に後追いです。その頃はバンドブームで、ユニコーンが好きだったんですけど、「5人組で、シンセがいて、髪の毛をたててるようなバンドあったら教えてよ」って友達に訊いたら、これがまさにそうなんだよって有頂天を教えてもらって。ユニコーンと全然違うじゃないかって思って他のアルバムも聴いてみたら音がどんどんマニアックになっていくというか。それから自分もこういう感じになってしまった(笑)。

KERA そうなんだ。ユニコーンといえば、「大迷惑」って曲が入ったアルバムってなんだっけ?

写楽 「服部」(1989年6月発売)ですね。

KERA 彼らが「服部」ってアルバムを出したときに「やられた」って感じがすごくあったのね。センスは全然違うんだけど、けっこうソニーに金かけてもらっていろんなことやってたんだよね、生でフルオーケストラ入れたりさ。で、俺はすごくそれに嫉妬したの。のちのち、六本木のレッドシューズって飲み屋で朝方に酔っぱらった(奥田)民生と偶然会うことが何度かあって。向こうは向こうで「自分たちは職業ミュージシャンみたいに知識ばっかり入ってきちゃって、ニューウェイブの人たちに嫉妬してる」って話を酔っぱらいながらした覚えがある(笑)。ユニコーン以外はどんなの聴いてたの?

写楽 当時はユニコーンとBAKUと……。

KERA (三浦氏に向かって)BAKU、仲良しだったよね?

三浦 1枚プロデュースさせてもらって。ツアーにも参加したしね。

KERA 今の活動に影響受けた音楽っていったら2人は何を挙げるの?

戸田宏武(Syn, Technology) 僕はFLOPPYの部分ですと、BOREDOMSやP-MODELです。

KERA どのへんのP-MODEL? “解凍”以降?

戸田 解凍前です。「ANOTHER GAME」(1984年2月発売)の海賊版のテープだったと思います。リアルタイムではありませんが。

KERA そうなんだ。俺、当時「ANOTHER GAME」をレコード屋に買いにいったら、歌詞がレコ倫に触れて発売延期になってた(笑)。戸田君は、それとBOREDOMS?

戸田 当時は、右も左もわからなかったので、もうBOREDOMSも!ユーミンも!みたいに(笑)

三浦 どうしたらユーミンとBOREDOMSが並列になるのかね(笑)。まぁ、そういう強引な組み合わせ方っていうのはニューウェイブ的とも言えるけど。

KERA 三浦に俺、三木鶏郎って言われたんだっけ? 「KERAさんの根っこには三木鶏郎を感じる」と。確かに三木鶏郎やらエノケンやらが自分の原体験として大きくあるから、俺の作る曲には「みんなのうた」的なものとかCMソング的なニオイがするのかもしれない。テクノポップの中にそういう要素を感じたんだよ。最初に聴いたとき……特にヒカシューとかさ。キャッチーさっていうか。

ケラ&ザ・シンセサイザーズ「Body and Song」 / 2010年12月8日発売 / 2415円(税込) / 電子音楽部 / DDCH-2322

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CD収録曲
  1. MORE SONG
  2. ニセモノ
  3. 今はミイラ
  4. パパのジャズ
  5. オンガク
  6. 機械じかけの子供たち
  7. ケムリの王様
  8. BODY AND SONG

FLOPPY「Over Technology」 / 2010年12月8日発売 / 2415円(税込) / 電子音楽部 / DDCH-2321

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CD収録曲
  1. Over Technology
  2. low-bit Disco
  3. メテオストライク
  4. 滅びのイド
  5. 時空ホロン
  6. エブリデイ
  7. 僕達は何かを目指す
  8. low-bit Disco "Don't Be Tricked Remix" Remixed by Mark Mothersbaugh (DEVO)
ケラ&ザ・シンセサイザーズ ワンマンライブ
「Bodies and Songs」
  • 2011年2月11日(金)東京都 代官山UNIT
    OPEN 18:00 / START 19:00
    料金:前売 4300円 / 当日 4800円(ドリンク代別)
FLOPPY
「Tour Over Technology」
  • 2011年1月15日(土)大阪府 大阪FANJtwice
    OPEN 17:30 / START 18:00
    料金:前売 3300円 / 当日 3800円(ドリンク代別)
  • 2011年1月16日(日)愛知県 名古屋池下CLUB UPSET
    OPEN 17:30 / START 18:00
    料金:前売 3300円 / 当日 3800円(ドリンク代別)
  • 2011年1月29日(土)東京都 代官山UNIT
    OPEN 17:00 / START 18:00
    料金:前売 3800円 / 当日 4300円(ドリンク代別)
ケラ&ザ・シンセサイザーズ
(けらあんどざしんせさいざーず)

1995年、元有頂天のKERA(Vo)と三浦俊一(G, Syn)を中心に「80年代ニューウェイヴの復権」を掲げバンドを結成。翌96年よりザ・シンセサイザーズを名乗るようになる。1998年に1stミニアルバム「ザ・シンセサイザーズ」、2003年にはバンド名を「ケラ&ザ・シンセサイザーズ」に改め、2004年に2ndミニアルバム「ナイト・サーフ」を発表。2006年にカバーアルバム「隣の女」、2007年に初のフルアルバム「15 ELEPHANTS」を立て続けにリリースする。2010年12月におよそ3年半ぶりとなるオリジナルアルバム「Body and Song」が完成。「歌と歌詞」に重点を置いた新たなスタイルを提示した。数度のメンバーチェンジを経て、現在はKERA(Vo)、三浦俊一(G, Syn)、福間創(Syn)、RIU(B)、Reiko(Dr)の5名で活動中。

FLOPPY(ふろっぴー)

小林写楽(Vo,Technology)、戸田宏武(Syn,Technology)の2人によるテクノポップユニット。2004年に活動を開始し、2005年に初音源「FLOPPY」をリリース。以降、コンスタントにリリースやライブを行い、幅広い層からの支持を集めている。80年代歌謡曲を思わせるキャッチーなメロディと、近未来的なビジュアル、レトロフューチャーな世界観が特徴。