「FUJI & SUN '24」開催記念特集|never young beach安部勇磨が語る“フェス観” (2/2)

恥ずかしくないライブをしなければ

──そもそも安部さんのフェスの原体験は、どちらのフェスなんでしょうか。

お客さんとして行ったことはほぼないんですよ。チケット代が高いというイメージがあって。若い頃はお金もなかったし、自分の周りでフェスに行ってる人は家が裕福だったりすることが多かったので「いいなー」とうらやんでました。なのでフェスに行くようになったのは、出演できるようになってから。初めてのフェス出演は「フジロック」(「FUJI ROCK FESTIVAL」)の苗場食堂です。

──2019年の「フジロック」ではメインのGREEN STAGEに初登場しましたね。

そうですね。GREEN STAGEへの出演が決まったときは「自分たちが出れるのか」と驚きました。「フジロック」の一番大きなステージですからね。ライブはあっという間だったし、興奮でしばらく実感も湧きませんでした。お客さんも楽しそうにしてくれてたし、僕もすごく楽しかったから満足と言えばそうなんですが、同時にこれでよかったのかな?という気持ちにもなりました。ライブ後も次はこうしよう、ああしよう、なんてことを考えて。音楽好きの人たちが国内外から観に来てるんだから、いいライブは絶対というか。恥ずかしくないライブをしなければ、という緊張感がありました。

安部勇磨(never young beach)

安部勇磨(never young beach)

もっとバカになれるやり方を

──今年の「FUJI & SUN」で安部さんが注目している出演者は誰ですか?

自分たちより若いアーティストだと、Chappo、HIMI、maya ongakuですね。この3組には直接会ったこともあって。年齢は違うけど、話しているとそんなことはまったく関係ないし、自分たちの頭で考えて動いているとこもカッコいいなと思います。すごい刺激的です。

──年齢やキャリアは関係ないということですね。

そうですね。みんな横一列だと思っています。評価は一瞬で変わりますからね。今は「ネバヤンいいよね」と言ってもらえることもあるけど、そんなのいつひっくり返るかわからない。常に危機感がありますし、一生懸命やるだけですね。

──日本のフェスの在り方についてはどう思いますか?

生意気ですけど、「フェスに呼んでもらってうれしい」という気持ちがある反面、もっと若いバンドやグループが出演してもいいのかなとも思います。もっと循環したほうがいいのかなって。もちろんフェスも仕事だし、楽しいだけじゃない。ビジネスとして考えると人を呼べるバンドにオファーするのは当たり前だと思うけど、どうしても同じようなものにもなるのかなと。今はフェスが飽和状態というイメージで、どのフェスも似たようなものに感じます。流れ作業のようになっていないかなとか思うこともあるし、フェスを作っている人たちも改めてもっと「このバンドを見せたいんだ」「こんなことをやりたい」という熱意を持ってやらないとこの先どんどん厳しくなっていくんじゃないか、なんて思います。自分は出させてもらってるわけですけど、長い目で見ると「どうなっちゃうんだろう」っていう不安があります。だから例えば海外の現場で働いて、どういうシステムで動いているのかを勉強するとか、それをどう日本に混ぜるか、とか何かチャレンジが必要なのかなと。言うのは簡単で、実際にやろうとしたら大変だと思うんですけど。

──大事な指摘だと思います。どのフェスもラインナップが似ているのは事実だし、例えば「フジロック」にしても参加者の年齢層が上がって、若い音楽ファンが来づらい状況があります。チケット代も高いですからね。

たくさんのフェスがある一方で、人を呼べるアーティストは限られているから「そりゃそうなるよな」とも思うんですけどね。会場の雰囲気とかフードの違いで差を出してはいるけど、出演者に関してはあまりびっくりしない。例えば、まだそこまで認知がなくても若くて勢いがあるやつらにトリをやらせるとか、それくらいのことをやってもいいと思うんです。結果がどうなるかなんてわかんないし、僕も無責任に言ってますけど。僕らも何ができるか考え続けたいし、挑戦していきたいですね。

──今年の「FUJI & SUN」のステージも期待しています。どんなライブにしようと思っていますか?

いつもそうなんですけど、ライブの前は「どうやったら面白くなるかな」と考えていて。僕らが面白がっていることが、お客さんにとっても一番面白いだろうなと思うんです。もちろん仕掛けも作るし、そこに向けた動線も考えるんですけど、自然発生したハプニングが一番よくて。ライブ中に拓郎くんがシールドに引っかかって転んだことがあるんですけど、そのときも“心配”より“面白い”が勝っちゃった。お客さんも、やっぱり見たことがない景色を見たいと思うんです。物語が生まれる瞬間というか。その場でしか起きない出来事というか。同じ曲でも「この景色は初めて見るな」という瞬間が生まれることがあって。フェスの場合は天候やほかのバンドによってライブが変わってくるし、ハプニングも起こりやすい。そういう部分がうまくいけばいいなと思ってます。

公演情報

FUJI & SUN '24

「FUJI & SUN '24」ロゴ

「富士山と学び、富士山と生きる。」をコンセプトとして2019年にスタートし、5回目の開催を迎えるキャンプフェスティバル「FUJI & SUN」。キャンプフェスならではの開放的な空間で、ジャンルや世代の垣根を超えた⾳楽とともに非日常のひとときを楽しむことができる。アウトドア体験プログラムをはじめとしたアクティビティや、地元静岡県の素材を生かしたフード、豊富なラインナップによるマーケットなども展開される。

2024年5月11日(土)静岡県 富士山こどもの国
OPEN 9:00 / START 10:00 / CLOSE 21:00

<出演者>
∈Y∋ / Akie / 石野卓球 / くくく(原田郁子&角銅真実) / くるり / クレイジーケンバンド / 食品まつり a.k.a foodman / suimin / cero / TOP DOCA&吉原祇園太鼓セッションズ feat ナツ・サマー / never young beach / HAPPY / BurnTale / ファビアーノ・ド・ナシメント × 石若駿 / Hedigan's / ペトロールズ / midori yamada(the hatch) / 優河 with 魔法バンド


2024年5月12日(日)静岡県 富士山こどもの国
OPEN 8:30 / START 9:30 / CLOSE 19:00

<出演者>
EGO-WRAPPIN'(Acoustic Set) / 踊ってばかりの国 / Campanella / KID FRESINO(band set) / KUNTARI / 柴田聡子 / Chappo / 鎮座DOPENESS / Dos Monos / ハンバート ハンバート / HIMI / maya ongaku / 民謡クルセイダーズ / 森山直太朗

公式サイト

プロフィール

安部勇磨(アベユウマ)

1990年東京生まれ。2014年に結成されたnever young beachのボーカリスト兼ギタリスト。2015年5月に1stアルバム「YASHINOKI HOUSE」を発表し、7月には「FUJI ROCK FESTIVAL '15」に初出演。2016年に2ndアルバム「fam fam」をリリースし、各地のフェスやライブイベントに参加した。2017年にSPEEDSTAR RECORDSよりメジャーデビューアルバム「A GOOD TIME」を発表。2021年6月には自身初となるソロアルバム「Fantasia」を自主レーベル・Thaian Recordsより発表した。日本のみならず、アメリカ、上海、北京、成都、深セン、杭州、台北、ソウル、バンコクなどアジア圏内でもライブ活動を行い、海外での活動の場を広げている。