「FUJI & SUN '19」開催記念 Chara×Ovall対談|CharaとOvallが語る富士山麓新キャンプフェスへの期待

5月11、12日に静岡・富士山こどもの国で、WOWOWとinfusiondesignが企画制作する新たなキャンプフェス「FUJI & SUN '19」が開催される。「FUJI & SUN」はWOWOWがテレビを通して届け続けてきた「音楽」「映画」「スポーツ」に焦点を当てたキャンプフェス。富士麓の大自然の中で音楽ライブや映画上映、世界記録を保持する冒険家たちによるアクティビティワークショップなどを楽しむことができる。

「FUJI & SUN」にはエルメート・パスコアールをはじめ、国内外から招聘した多彩なアーティストが出演。音楽ナタリーの特集では出演者の中からCharaとOvallという古くから親交のある2組の対談をセッティングし、「FUJI & SUN '19」への期待を語ってもらった。

取材・文 / 渡辺裕也 撮影 / 草場雄介

CharaとOvallとの出会い

──CharaさんとOvallの皆さんはさまざまな形で共演を重ねていますよね。交流はいつ頃から始まったのでしょうか?

Chara この3人の中だと、最初に知り合ったのはmabaちゃんだよね?

mabanua(Dr / Ovall) そうですね。多分2008、9年頃だったと思います。

Chara

Chara 私が制作現場のプリプロルームで先輩にあたる方と制作していたら、その部屋にちょこんと座ってる人がいて、それがmabaちゃんだったの(笑)。確かそのときは見学みたいな感じで来てくれたんだよね? で、その先輩の方が「彼は同じ事務所ですごく才能があるマルチプレイヤーなんだ」と紹介してくれて。そのときにいただいた「done already」(2008年発売のmabanuaのソロデビューアルバム)を帰りの車の中で聴いてみたら、それがもうすごくて! すぐに連絡したんです。

mabanua そうでしたね。具体的にはまだわからないけど、何か一緒にやれたらいいねって。

Chara うん。それでまずはお試しとして、自分の曲を渡して「これを好きなようにしてみてください」とお願いしてみたんです。その曲が「Dark Candy」(2011年発売のCharaのオリジナルアルバム)に入ってる「ナイーブとイノセンス」。これがすごくカッコいい曲で、ミュージシャンの友達にもよく「あの曲が『Dark Candy』で一番好き」と言ってもらえて。あのときにプロデュースしてもらったのがきっかけで、その後よくサポートをお願いするようになりました。あと、mabaちゃんからデモを渡されて「俺、ちょっと日本語の歌詞を書いてきたんですけど」と言われたこともあったよね?

mabanua はい(笑)。

Chara それで私も「え、それ歌ってみる!」ということになって、そこで実際に歌ったものが、しばらくしたらほぼデモのまま、mabaちゃんのソロアルバムに入ってたんです。あれはびっくりしましたね(笑)。

──関わり方がどんどん深まっていったんですね。

Chara ええ。Ovallはみんな才能があって、それぞれソロとしてもサウンドプロデューサーとしても本当にすごいから。関口さんには、mabaちゃんがプロデュースした「恋文」(2013年発売のCharaのシングル)でギターを弾いてもらって。

関口シンゴ(G / Ovall) 僕が最初にご一緒したのはそのときでしたね。

Chara 彼にはこれから弾いてもらいたくなる曲がもっと出てくると思うので、ぜひまたお願いしたいですね。あと、スーさんとも一緒に制作したことがあって。

Shingo Suzuki(B / Ovall) CMソングの制作を一緒にやらせてもらったんですよね(Charaとのコラボ企画「UNIQLO Xmas」のキャンペーンソング)。

Chara そうそう。スーさんのサウンドプロデュースはCharaに絶対合うと思うので、それもいつか必ず実現させたいです。Ovallは3人とも音楽を愛する力がすごくある人たちだから、みんなすごく話しやすいんですよ。

時間をかけて理解し合えた関係

──一方のOvallの皆さんは、Charaさんというアーティストをどう捉えてますか。

Chara mabaちゃんは私のことを怖いと思ってるんだよ(笑)。

mabanua(Dr / Ovall)

mabanua (笑)。それ、あのコメントのことですよね?

Chara そうそう。「Baby Bump」のプロモーションでラジオ番組に出演したときに、そのラジオ局の方が「作品に関わった方からコメントをいただいております」と。それで集めてきてくれたコメントをプラカードみたいにまとめて、1枚ずつめくりながら紹介してくれたんですけど、ほかの方々が「かわいい」とか「マイペース」みたいなことを書いてくれていた中で、mabaちゃんのコメントは「怖い」だったんです(笑)。

mabanua 確かあのときは「Charaさんからは音楽的なことで叱咤激励をいただける。そこがすごく面白いし、どういうオーダーが来るのかわからないから怖い」みたいなことを話したんですよ。そしたら「怖い」だけが切り取られて紹介されるっていう(笑)。

──いい意味で、常に緊張感がある関係性ということですね。

mabanua そうなんです。知り合ってからもう10年になるんですけど、こうして付き合いが長くなると、よくも悪くも慣れちゃうことがあるじゃないですか。でもCharaさんと一緒に制作したり、こうしてお話ししてると、いい意味でいつも引き締められるんですよね。やっぱり馴れ合いの関係でいいものはできないし、Charaさんと話しているといつも「音楽に必要なものとは何か」ということを考えさせられる。実際、僕はCharaさんからものすごく影響を受けてると思います。

Chara でもあのコメントはホント笑ったな(笑)。確かに最初はきっと怖いんだろうなーとも思うし。

mabanua いやいや(笑)。Charaさんと知り合った頃の僕は本当にペーペーで、それこそバイトを辞めるかどうかっていう時期だったんですよ。そんなタイミングで10代の頃からずっと曲を聴いていた方からいきなりお仕事の話が来たんですから、それはビビりますよね。

Chara 「できます」というので、それなら大丈夫かなと思って。それがあとあとになって聞いてみたら「あれはハッタリでした」って言うんですよ(笑)。

mabanua まあ、ミュージシャンはハッタリを言うものですから(笑)。

Chara うん、確かにそれって大事だよね。自分を信じて次の段階まで上がろうとするってことだから。実際ハッタリだろうがやってみなきゃ上がれないし、そこで1段あがれた人がさらにもう1段上に行けるっていう、そういうものだと私も思う。それにmabaちゃんはただCharaが言うことを100%その通りにやるんじゃなくて、ちゃんと自分の意見を伝えてくれるし、私の意見が違うと思ったときはそう言ってくれるんですよ。で、私も私で言い返されたことにプンプン怒ったりしないしね(笑)。そこはやっぱり時間をかけてお互いに理解し合えたからだと思う。

2019年5月に初開催される、WOWOW主催のキャンプフェス。WOWOWがテレビを通して興奮と感動を伝えてきた「音楽」「映画」「スポーツ」という3つのジャンルを軸にしたさまざまなコンテンツが用意される。

  • 2019年5月11日(土)静岡県 富士山こどもの国
    OPEN 9:00 / START 11:00 / CLOSE 21:00 <出演者> エルメート・パスコアール&グループ / セオ・パリッシュ / セドリック・ウー / Mateus Asato Trio / 青葉市子 / WONK / 大友良英スペシャルビッグバンド / 小林うてな / cero / 竹原ピストル / DJみそしるとMCごはん / 七尾旅人 / and more
  • 2019年5月12日(日)静岡県 富士山こどもの国
    OPEN 8:00 / START 9:00 / CLOSE 19:00 <出演者> 林立夫 special session with 矢野顕子 ほか / 悪魔の沼 / Ovall / 空間現代 / クラムボン / 田島貴男(ORIGINAL LOVE) / Chara / DSPS / DJ Sprinkles aka Terre Thaemlitz / bird / MOROHA / Yogee New Waves / 吉澤嘉代子 / and more
Chara(チャラ)
Chara
1991年9月にシングル「Heaven」でメジャーデビューしたシンガーソングライター。1994年発売のシングル「あたしなんで抱きしめたいんだろう?」がテレビCMに起用され、大ヒットを記録した。1995年には岩井俊二監督作品「PICNIC」で映画初主演。翌1996年の同監督作品「スワロウテイル」には劇中バンドYEN TOWN BANDのボーカルとして出演し、YEN TOWN BAND名義でリリースしたシングル「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」はオリコンウィークリーチャート1位を記録した。デビュー20周年を迎えた2011年には、ベストアルバムと2枚のオリジナルアルバムをリリース。2015年にはYEN TOWN BANDが復活を遂げ、9月に約19年ぶりとなる新曲「アイノネ」を発表したほか、ライブ活動も再開させた。デビュー25周年を迎えた2016年には45曲入りのオールタイムベストアルバム「Naked & Sweet」を発表。2018年12月にmabanuaやTENDRE、高橋海(LUCKY TAPES)などをサウンドプロデューサーに迎えたニューアルバム「Baby Bump」をリリースした。
Ovall(オーバル)
Ovall
Shingo Suzuki(B)、mabanua(Dr)、関口シンゴ(G)からなるインストバンド。メンバーはそれぞれソロ活動やサポートミュージシャンとしても活動しており、他アーティストのプロデュース業も盛んに行っている。2010年3月に1stアルバム「DON'T CARE WHO KNOWS THAT」をリリースし、2011年に発表したシングル「Feverish Imagination」がヒットを記録するも、2013年に3人それぞれの活動が多忙を極めたため活動を休止。2014年からはソロ活動に専念するが、2015年にはOvall名義で矢野顕子のレコーディングに参加したほか、藤原さくらのサポートではメンバー全員がバックバンドを務めるなどさまざまな形で3人で集まる機会が増える。2017年に12月に東京・WWW Xで開催した4年ぶりのワンマンライブで再始動し、ファンクラブ限定で配信リリースしたアルバムに再始動後初の新曲「Winter Lights」を加えた「In TRANSIT(Deluxe Edition)」を発表。2018年には「FUJI ROCK FESTIVAL」や「GREENROOM」などさまざまなフェスに出演し、台湾での単独公演を大成功に収めた。映画「ハード・コア」やテレビ朝日系ドラマ「dele」の劇伴に参加するなど、精力的に活動している。

2019年3月22日更新