FANTASTICS×EPEXインタビュー|あの名曲から始まった、国境を越えた異色コラボ

日本のダンスカルチャーを牽引する芸能事務所・LDH所属のダンス&ボーカルグループ・FANTASTICSと、2021年にデビューした気鋭の8人組K-POPグループ・EPEXのコラボレーション曲「Peppermint Yum」が3月20日にリリースされた。日本と韓国という国境を超えた異色のコラボはどのように実現したのか?

本稿では、FANTASTICSの世界、瀬口黎弥、堀夏喜、八木勇征、EPEXのWISH、MU、A-MIN、YEWANGの8人に、韓国のコレオグラファーによる振付や日韓それぞれで行われたレコーディング、そして日本のプロダンスリーグ「D.LEAGUE」の23-24シーズン開幕戦で初披露したコラボパフォーマンスの裏側などについて聞いた。

取材・文 / 宮崎敬太写真 / 曽我美芽

きっかけはFANTASTICS先輩の「Choo Choo TRAIN」

──2組のコラボはどのように実現したんですか?

WISH(EPEX) 僕らがFANTASTICS先輩が踊る「Choo Choo TRAIN」のパフォーマンス動画を観たのがきっかけですね。すごくカッコいいと思って、EPEXで「Choo Choo TRAIN」を踊った動画を撮ってTikTokにアップしたんです。そしたら事務所同士がつながって、一緒にパフォーマンスさせていただくことになりました。光栄というか、なんというか……正直びっくりしました。

世界(FANTASTICS) それは僕らも同じ(笑)。

八木勇征(FANTASTICS) コラボ云々の前にK-POPグループの方が「Choo Choo TRAIN」を踊ってくれていることにびっくりした。「ええっ!?」みたいな。それで会社同士のやりとりを経て、僕らが大阪で開催されたEPEXのファンミーティングに行ったんです。そこで一緒にTikTokを撮ったんだよね。

A-MIN(EPEX) はい。初めてお会いしたときはかなり緊張しました。先輩方はすごくオーラがあったから。「僕らから話しかけるのは失礼かもしれない」とかいろいろ考えちゃって。そしたら先輩のほうから気さくに声をかけてくださったので、すぐに打ち解けることができました。

本インタビューに参加したFANTASTICSとEPEXのメンバーたち。

本インタビューに参加したFANTASTICSとEPEXのメンバーたち。

──韓国は年齢の上下関係が厳しいですもんね。

WISH そこに関しては、韓国はスパルタです(笑)。

八木 でもこっちも実際にEPEXと会ったときはビビったんですよ。だって若いし、イケメンだし、顔ちっちゃいし、体はデカいし(笑)。

世界 そうそう。普通に「あ、K-POPの人たちだ!」って思いましたもん。

──コラボが決まったときの率直な感想を教えてください。

八木 僕らはボーカリストとパフォーマーという編成だけど、EPEXはボーカリストもラッパーもみんなダンスができるじゃないですか。コラボが動き出した段階ではまだ曲調とかは全然決まってなかったけど、歌唱パートはどういう感じになるのかなとは思いましたね。ただ明らかに新しい試みであることは間違いなかったので、やる前から楽しみでした。

YEWANG(EPEX) 僕らにとっては先輩方と一緒にお仕事ができるのはとてもいいチャンスだと思ったのでうれしかったです。そして、がんばっていい結果を出したいとも思いました。

──「Peppermint Yum」の制作はどのように進められたんですか?

MU(EPEX) 楽曲は韓国側のクリエイターさんが制作して、その段階からFANTASTICSとEPEXのパートは決まっていました。レコーディングはそれぞれの国で行ったので、制作段階ではまだどういう楽曲になるのかイメージが湧いてませんでした。でもFANTASTICSの皆さんと一緒にパフォーマンスをしてようやく、自分たちに合った曲だと思うことができましたね。

FANTASTICS × EPEX「Peppermint Yum」CD Only版ジャケット

FANTASTICS × EPEX「Peppermint Yum」CD Only版ジャケット

堀夏喜(FANTASTICS) 振付は韓国のJUST JERKというコレオグラファーが作ってくれて。僕らFANTASTICSは映像を共有してもらって練習していきました。で、初披露の場が「D.LEAGUE」開幕戦のハーフタイムショーだったんです。

──かなりプレッシャーのかかる舞台ですね。

 そうですね。EPEXと初めてダンスを合わせたのが前日のリハーサルだったんですよ。

──それはすごくタイトなスケジュールですね……。

瀬口黎弥(FANTASTICS) マジでリハーサルは一瞬でした。

──日本と韓国ではダンスの見せ方が違うと聞いたことがあるのですが、そのあたりも特に問題なく?

 僕らはメンバーそれぞれの個性がバラバラで、そこを自分たちの武器にしてるんですね。一方で、EPEXは集団で見せるのがうまい。そういう意味での違いはあったんですが、リハーサルには日本のプロダンスチーム・KADOKAWA DREAMSが入ってくれて、細かい部分を調整してくれたんです。「ここだけはそろえましょう」というポイントを決めてもらったりして。そこで粗さを削ってどんどんブラッシュアップしていきました。EPEXはダンスがうまいからホントにそんなに時間はかからなかったです。

左から瀬口黎弥、堀夏喜、八木勇征、世界。

左から瀬口黎弥、堀夏喜、八木勇征、世界。

──EPEXの皆さんは、パフォーマーの個性を生かすFANTASTICSのダンスをどのように感じましたか?

WISH 僕らがこんなことを言うのはおこがましいんですが、先輩たちはダンスがうますぎます。とてもレベルが高い。どんな振付もパワフルでカッコよかった。僕らは今の段階では群舞(そろえることに重きを置いたダンス)に集中していますが、今後はもっと成長して自分たちの個性を出せるようにしていきたいです。

化学反応が起こせるコラボレーション

──グループ単位での日韓のコラボは、これまでありそうでなかったですよね。

A-MIN そうですね。お互い初めてのことなので心配事もあったんですが、実際にFANTASTICS先輩にお会いして一緒にステージに立ってみると、不思議とひとつになれたんですよね。これが音楽の持つ力なんだなと実感しました。

左からMU、WISH、YEWANG、A-MIN。

左からMU、WISH、YEWANG、A-MIN。

瀬口 僕らにとっての“K-POP”って音楽やダンスの面では限りなく同じジャンルのはずなんだけど、なぜか遠い感覚もあって。ただずっと「一緒にやったら面白いだろうな」とは思っていました。すごい化学反応が起こせそうというか。そしたら思ってたより早く実現できましたね。それに僕らも今回のコラボではすごく学ぶことがありました。

──と言うと?

瀬口 チームワークの重要性ですね。僕らはそんなにメンバー間の年齢とかを気にしないけど、EPEXはすごく上下関係がしっかりしてるんですよ。リハを見ててすごく感じた。あとパートごとにリードで歌ってるメンバーを引き立てるような踊り方をしていたり。で、自分の番になるとそれぞれ一瞬でパワーやオーラを出せるんです。後ろから見ていてすごいなと思いました。僕らはいい意味でバラバラだから、こういう表現もできるようになりたいと思いましたね。

──「D.LEAGUE」開幕戦で「Peppermint Yum」をパフォーマンスしてみていかがでしたか?

 初披露の緊張感はありつつも、お客さんたちを目の前にすると気合いも入って。EPEXのみんなと踊れた楽しさもあったし、すごくいいステージにできたと思います。あと「D.LEAGUE」の会場でパフォーマンスできるっていうのもスイッチが入りましたね。「ダンサーとしてかましたい」というか。いろんな要素がプラスの相乗効果を生んだと思います。

YEWANG 先輩たちと一緒に踊れたことはもちろんなのですが、ダンスに興味を持っている方々が集まる場所でパフォーマンスできたことがすごく感慨深かったです。記念にもなったし、これからご一緒する活動がより楽しみになりました。