EMPiRE|ダンサブル&オーガニックな新作完成 メンバーそれぞれの“SUPER COOL”と意外な一面を解剖

“SUPER COOL”なEMPiRE第3章

──「SUPER COOL EP」の仕上がりはいかがですか?

MAYU 前作の「the GREAT JOURNEY ALBUM」は、EMPiREの方向性が提示できたアルバムでした。EMPiREと言えばダンスミュージックという印象になったのかなと。今回のEPではそのダンス要素を大事にしつつ、私としては歌の魅力もすごく強まったと思います。練習をしていても、新曲は歌が難しかったし、アップテンポだとしても勢いだけで乗り切れる曲がなくて。ダンスだけではなく歌の力も試されてるという点で、より表現の幅が広がったEPになりました。

──ダンスミュージックとロックが融合したリード曲「This is EMPiRE SOUNDS」は、グループ名を冠しているということもあり、EMPiREの新しいキラーチューンになりそうな曲ですね。

MAHO EMPiRE

MAHO この曲はサビで「スーパークールだ!」とひたすら言っていて。「それ、自分たちで言う?」っていうぐらいの強い言葉を何回も繰り返してるからこそ、自分たちの強い決意表明みたいな曲になっていますね。歌うからには、この歌に恥じないようにしたいです。

MAYU 「EMPiRE」がタイトルに付く曲がこの曲を含めて3曲あるんです。「EMPiRE originals」(2018年9月発表のミニアルバム「EMPiRE originals」収録)は「完全なオリジナルを作りたい」という思いを歌っていて。必死にもがいて何が正解かわからない、でもがんばっていくみたいな熱い思いを込めた曲だったんですけど、ここにきて「SUPER COOL」と連呼し始めて……(笑)。面白いと思う反面、「お前らはCOOLにならなきゃいけないんだ。SUPER COOLにならなきゃいけないんだ」って言われてるような気がしたので、がんばらなきゃと強く思いました。「SUPER COOL!!」と言ってるのにカッコ悪かったらヤバいので(笑)。

MAHO 「EMPiRE is COMiNG」(2018年4月発表のデビューアルバム「THE EMPiRE STRiKES START!!」収録曲)がスタートを切る第1章だとしたら、第2章「EMPiRE originals」のもがくターンが終わって、第3章「This is EMPiRE SOUNDS」はもう強気ターン(笑)。

MiDORiKO EMPiRE

MiDORiKO しかも「SUPER COOL!!」って歌うサビが全部ユニゾンなんです。6人全員で「SUPER COOL!!」と歌っているのはなかなか強い。

MAYU 2番のBメロに「狂い咲きの凶器 今みせましょう」というパートがあるんですけど、ドリちゃんはレコーディングのときに「絶対ここ歌いたい」みたいな感じになってたよね。

MiDORiKO 歌いたいと言ってたんですよ。そしたらレコーディングは私だけだった。普段のレコーディングだと全員通しで歌ってから歌割りが決まるんですけど、音楽プロデューサーの松隈(ケンタ / SCRAMBLES)さんが「ここはMiDORiKOだね」と言ってくださって。「狂い咲きの凶器」って一番カッコよくないですか?

NOW カッコいい!

MiDORiKO 私も“狂い咲きの凶器”にならなきゃって思いました(笑)。

YU-Ki この曲のミュージックビデオは“カッコつけすぎてダサく見える”みたいなテーマがあって。私たちは思いっきりカッコつけて歌って、これまでで一番激しいダンスをしてるんです。そのところどころにちょっとクスっとなるようなカッコつけすぎ感があって。「SUPER COOL!!」って自分たちでカッコつけて歌うのもそうだし、曲のタイトルもそもそも「これが私たちのサウンドだ!」みたいな意味なので、それをずっと繰り返してるのもちょっとなんかダサカッコいい感じです。

MAYU カッコつけすぎてダサいなっていうのをやっていて、バラを甘嚙みしてみたり……。

MiKiNA リンゴをカッコつけてかじったり。

MAYU たそがれてギターを弾いてるシーンとか。ベタなカッコつけで、観ていて恥ずかしくなるくらいの“スーパークール”が表現されてます(笑)。

──2曲目に入るMAYUさん作詞の「SUPER FEELiNG GOOD」は4月に先行配信された曲ですが、本来であれば同月スタートの「SUPER FEELiNG GOOD TOUR」でサプライズお披露目する予定だったそうですね。

MAYU デモが送られてきた時点で「この曲は今回のツアーの初日にお披露目するよ」という話だったので、歌詞もそのつもりで書いていて。ライブに向けての高揚感とか、エージェントの気持ちを表現したくて、自分が好きなアーティストのライブに行くときの気持ちなんかも想像しながら。私たちからライブに来てくれたエージェントに向けての気持ちも込められています。

──続いて「Clumsy」は“不器用”という意味のタイトルです。作詞をしたMAHOさんとMiDORiKOさんはどんな思いをこの曲に込めたんですか?

MiDORiKO 自分と他人を比べたときに自分が劣ってるなと思って……それで嫌になっちゃったことがあって、その気持ちを書きました。AメロとBメロに私の書いた歌詞が採用されて、サビをMAHOちゃんが前向きにしてくれた感じです(笑)。

MAHO 私はドリちゃんの歌詞から思いを汲み取って、続きの歌詞をはめていきました。ドリちゃんの歌詞に“投げやり感”を感じて、前向きではあるけど前向きじゃない、というニュアンスかなと思って。「どうでもいいや」というドリちゃんの歌詞を受けて、「でもやってみよう」みたいな曲にできたらいいなと思って書きました。サウンドのイメージで、青春っぽいというか、叫んだりしてる感じの光景を浮かべながら。

EMPiREなりの恋愛ソング

──「Clumsy」で「泣いてもいいよ」と歌い、次の曲で「I don't cry anymore」につながるというあたり、人間の複雑な感情が表れていますね。

MAYU そう。この曲で「あたしはもう泣かない!」と決意するんです。

──「I don't cry anymore」の作詞はMAYUさんですが、どういったシチュエーションをイメージしたんですか?

MAYU ネガティブな言葉を反芻するように思い出してしまって傷付くことが多くて、この曲ではそれについて書こうと思ったんです。それがどうやらエイベックスの篠崎さん的に恋愛の歌詞として受け取られたみたいで、「恋愛の歌詞でもう1回書き直してみて」と言われたんですよ。サビの「お願い行かないで もう大嫌い」の一節はMAHOちゃんの書いた歌詞を拝借して。「お願い行かないで」って、特定の誰かに向けた言葉っぽいですよね。だから恋愛ソングでありつつ、自分の傷付いたときの思いも込められてるという感じですね。

──MAYUさんは恋愛モノの作品が好きだったりするんですか?

MAYU EMPiRE

MAYU それが全然共感できなくて……。

NOW あはは(笑)。

MAYU 恋愛の曲とか歌詞とかも共感という点ではわからないんですよね。映画とかリアリティショーも恋愛モノは観ないんですよ、つまんなくて。

一同 (笑)。

MAYU 失恋のシチュエーションを想像して書いたんですけど、別に恋人じゃなくても、大事なものを失うみたいな喪失感は失恋に限らずあることだと思うので、そういう気持ちで書いた自分なりのラブソングという感じです。

──逆に恋愛モノが好きな人っているんですか?

NOW YU-Kiちゃんかな?

YU-Ki 私はけっこう観ますね。

──となると、「I don't cry anymore」も恋愛の歌として感じられる?

YU-Ki EMPiRE

YU-Ki やっぱりMAYUちゃんらしさが強いなあとは最初に思いました。でもガンガン恋愛と捉えられます! あとそういう経験をしたばかりの人とかにはすごく沁みるだろうなと。たぶんこれ聴いて泣くはず。

──「もう泣かない」って歌なのに?

YU-Ki 泣きながら、でも「もう私、泣かない!」って意思表示しているということですよ!

MAYU そうそう! そういうことだよね。あまのじゃくな気持ち。

──なるほど。ちなみに「どうでもいいよ good bye」のパートを歌ってるのはMAHOさんですか?

MAHO 1回目は私です。

──このパート、声がすごくかわいいなと思いまして。

一同 あはは(笑)。

MAHO 歌い方が以前と変わったので、気付いていただけてうれしいです。

──具体的にはどんなボーカルディレクションがあったんですか?

MiKiNA MAHOちゃんの癖を最大限に引き出させる感じでしたね。「ORDiNARY」(4月発売のライブ映像作品「EMPiRE'S GREAT REVENGE LiVE」初回限定盤のカセットテープに収録)から。

MAHO 「Charaさんをイメージして」というディレクションで新しい歌い方を引き出してくださって。「ORDiNARY」でその歌い方をして、このアルバムのレコーディングでも1回つるっと歌ったあとに、「じゃあちょっとCharaさん入れてもらっていい?」みたいな感じになりました。

──曲順が前後しますが、「ORDiNARY」は新作のラストを飾っています。外出自粛前のレコーディングとのことですけど、失われた日常みたいなことを歌っているような印象を受けました。

MAHO 今の状況がこうなるとはもちろん思わずに歌ってました。完成した時期が3月だったこともあって、なんだかグッときますね。

MiDORiKO 「ORDiNARY」のようなスローテンポな曲は、これまでのEMPiREとしての積み重ねがなかったらきっと表現できてなかっただろうなと思います。

──歌唱の面で、ほかのメンバーに変化は感じましたか?

MiKiNA 「I don't cry anymore」ではNOWの歌がすごくいいと思いました。「ひどく寂しい つまらないよ こんなもの いらないや」という部分を声を詰まらせるように歌っていて。今までNOWは子供みたいな歌声が特徴だったんですけど、それ以外のNOWの魅力が出てきたというか。これまで以上に歌声は安定してきましたし、すごく伸びやかな感じ。表現力が豊かになってきたなあって思います、親みたいな言い方しちゃった(笑)。

NOW EMPiRE

NOW えへへ(笑)。

YU-Ki あとNOWは「I don't cry anymore」でメンバーの誰よりも感情を込めてレコーディングしてました。めっちゃ感情がこもっていて。

NOW 歌詞をちゃんとイメージしてその風景も思い描きながら歌ったら、何もないのに勝手に感情が入っちゃって。気付いたら涙が出てるぐらい、なんか震えながら歌ってました。なんででしょう……。

MiKiNA やっぱり歌詞かな。

NOW うん。歌詞が切なくて。映画とかを観ていても感情移入しやすい性格なので、この曲も風景と人物が浮かんできたので気持ちが入りました。