ナタリー PowerPush - DUSTZ
1stアルバム「TROIS」はLIMP BIZKIT参加の話題作
“3”という数字に取りつかれてる
──「Toi=Moi:▽」は、アルバムの1曲目にふさわしい曲だと思いましたが、曲順は3人で話し合って決めたんですか?
Ray そうですね。1曲目を「Toi=Moi:▽」にするか「Criez」にするかは迷ったんですが、やっぱり「Toi=Moi:▽」かなって。それが決まったら序盤の流れはすぐに決まりました。
──アルバムの序盤の流れってすごく重要ですよね。CDショップの視聴機で聴いたりするときに、最初の数曲のイメージがアルバム全体の印象になったりしますし。
Ray そうなんです。そういう意味でもインパクトの強い3曲を頭の3曲に持ってきました。
──「Toi=Moi:▽」の歌詞に「三つのコトバ」というフレーズがありますが、それがアルバムタイトル「TROIS」にもつながってるような気がします。
Ray はい。僕らが3人だということもあるんですが“3”という数字に取りつかれてるんです(笑)。僕らのためにがんばってくれてるチームの人たち、例えば事務所のマネージャーも3人で、レーベルの担当者も3人。
KenT プロデューサーも3人。
Ray そうそう。アートワークも3人だし。
──DUSTZのまわりでは“3”がひとつの単位になってる感じですね。
Gus 23歳にもなったし。
Ray ちょっと無理矢理感はあるけど、それも入れておこう(笑)。なので、アルバムタイトルも“3”しかないんじゃないかと思って、フランス語で3を意味する「TROIS」にしたんです。
「Fantasista」はすごく好きな曲だからカバーも難しかった
──なるほど。そして2曲目の「spiral」はアニメ「BLOOD-C」のオープニングテーマとして放送されていました。この曲をきっかけにDUSTZを聴き始めた新しい層もいたと思います。
Ray そうですね。いろいろ反響は大きかったです。
──で、3曲目がこのアルバムの大きな目玉のひとつになる曲だと思いますが、Dragon Ashの「Fantasista」のカバーで、しかもLIMP BIZKITのギタリスト、ウェス・ボーランドとドラマーのジョン・オットーと夢のコラボレーションが実現しているという。「Fantasista」をカバーすることになったきっかけと、ウェスとジョンが参加することになった経緯はどんなものだったんですか?
Ray アルバムの中で1曲カバーを入れたいと思っていたんです。僕らがバンドをやり始めたのは中学の頃だったんですが、インターナショナルスクールに通っていたから日本語の歌詞だと伝わらないというのもあって、バンドではSUM41とか、洋楽のロックのカバーをやっていたんです。でも、Dragon Ashの「Fantasista」だけは例外でした。日本語詞なのにものすごく盛り上がるんです。言葉の壁を越えたというか、この曲だったら外国の人たちもノリで聴けるんだなって。ですから、この曲は僕らにとってルーツ的な曲でもあるんです。だったら、アルバムに入れるカバーは「Fantasista」にしたいなって。
──3人とも慣れ親しんだ楽曲を記念すべき1stアルバムでカバーしようと思ったわけですね。
Ray はい。でも、カバーすると決めたのはいいんですけど、難しいんです。すごく好きな曲で、ずっと聴いてきましたから、歌うと似てしまうんです。カラオケでもよく歌ってますからね(笑)。でも、カバーするのであれば、DUSTZ流の「Fantasista」を作らないと意味がないと思いましたから、エレクトロっぽさを入れてみたり、いろいろ考えました。そのアイデアのひとつとして、海外のミュージシャンに参加してもらうというのが挙がりまして。
──そこでリンプの2人の名前が。
Ray はい。「リミックスをしてもらうんだったら、DUFT PUNKとかエレクトロ方面の人とか面白いかもね」なんて話してるときに、「演奏で参加してもらうんだったらゴリゴリのロックの人がいいよね?」「うん、だったらリンプかな」って話になったので、レコード会社の担当者に言ってみたんです。そうしたら連絡を取ってくれて、なんとOKがもらえたんです。
──すごいですね!
Ray 自分たちもビックリしましたよ(笑)。
Gus テンションが一気に上がりました。Dragon Ashを聴いていた中学生の頃、同時期にLIMP BIZKITも聴き始めていましたから、まさかこんなことが実現できるなんて夢にも思ってなかったですからね。好きなアーティストの曲を別の好きなアーティストと一緒に作れるなんて。
Ray OKの返事をいただいて、すぐにデモを録り、その音源を向こうに送りました。その後リンプのスタジオで2人の演奏を録ってもらい、返ってきた音を聴いたら、めちゃくちゃカッコいいんです! その音を聴いたことで、こんなにかっこいいんだったらDUSTZとしてもっと昇華させたものにしないといけないなと思いました。原曲の「Fantasista」はメロコア系なので、アメリカンなイメージですよね。DUSTZの音はヨーロピアン寄りなので、最初の歌い出しを1音下げて歌ってアンニュイ感を出したり、エレクトロな部分をより強調したりと、リンプの2人の音の影響でアレンジもいっぱい変えました。すごく悩みましたけど、すごく楽しかったです。
KenT ギタリストとしては、ウェスとコラボできるというのがものすごくうれしいです。
Ray でも最初は、KenTのギターは入れないでおこうかって話もあったんだよね?
KenT そうなんです。でも、やっぱりコラボしたいじゃないですか。こんなチャンスをもらったのに、自分がギターで参加できないなんてイヤですからね(笑)。
──完成した「Fantasista」も聴かせてもらいましたけど、原曲の良さも生かしながら、DUSTZらしさも感じられるアレンジになっていてすごくカッコいいなって思いました。
KenT ありがとうございます。
Ray 「Fantasista」は名曲ですからね。でも、最近の音楽を聴いてる若い子たちって、ミクスチャーを通ってない人も結構いるそうなんですよ。そんな世代の人たちにも、こういうカッコいい音楽があるんだよっていうのを伝えられたらいいなって。
CD収録曲
- Toi=Moi:▽
- spiral
- Fantasista
- Re:member
- FLY
- Orphee
- Ca c'est Paris
- ホシクズメイロ ~Lost in star DUSTZ~
- Border Line
- Criez
- Break & Peace
- Brilliant Day DJ BASS Low -Life-Dogs Mix
DVD収録内容
- 「Criez」ビデオクリップ
- 「Swallow」ビデオクリップ
- 「spiral」ビデオクリップ
DUSTZ(だすつ)
Ray(Vo)、KenT(G)、Gus(B)からなるスリーピースバンド。全員が日本とフランスのハーフで、同じフランス人インターナショナルスクールに通っていた幼馴染み同士で2005年に結成。ミクスチャーロックをルーツとするタフなサウンドで耳目を集める。2008年にインディーズよりシングル「Future」を発表した後、2009年5月にシングル「Break & Peace」でメジャーデビュー。同年、フランスで行われた音楽祭に招聘され、現地のライブでは数千人を動員する。2010年にドラムが脱退し、現在の3人編成に。12月からクリエイティブディレクターの小島穣二、舘鼻則孝、塩内浩二のタッグによるキービジュアルを採用し、妖しくファッション性の高いビジュアルが話題を呼ぶ。2011年12月、1stアルバム「TROIS」をリリース。