ナタリー PowerPush - DRADNATS
横山健との出会いが生んだ「俺たちの『MAKING THE ROAD』」
メロディックパンクバンドDRADNATSが、PIZZA OF DEATH RECORDS移籍第1弾アルバム「MY MIND IS MADE UP」をリリースする。本作はHi-STANDARDやソロで活躍するPIZZA OF DEATH代表の横山健がプロデュースを担当。彼がDRADNATSと関わるようになったいきさつは、自身のコラム(参照:vol.84 - 横山健の別に危なくないコラム)にてつづられている。
ナタリー初登場となる今回は、DRADNATSの3人にバンド結成のいきさつや敬愛するHi-STANDARDに対する思い、そして先の横山によるコラムの感想を通じて、新作「MY MIND IS MADE UP」の魅力を語ってもらった。
取材・文 / 荒金良介 インタビュー撮影 / 佐藤類
家で酒を飲んで「AIR JAM」のビデオしか観てなかった
──まずはバンドの成り立ちから教えてください。
ヤマケン(B, Cho) もともと俺が別のバンドをやってて、この2人(キクオ、トノ)は一緒にほかのバンドをやってたんですよ。昔の高円寺20000Vで対バンしたとき、リハですげえいい声したボーカルがいるなと思ったらキクオで。その日の打ち上げで俺とトノの家が近いのがわかって、あとで3人で飲んだんですよ。大概当時のメロディックバンドなんて家で酒を飲んで「AIR JAM」のビデオを観るくらいしかなかったから。
──決めつけてますね(笑)。
ヤマケン 決めつけますよ。で、当時俺はギター&ボーカルをやってたんですけど、本気でバンドをやりたい奴を探していて、この2人を誘ったんですよ。
──もともと別々にバンドをやっていた頃はどんな音楽性でした?
ヤマケン お互いもっと明るかったというか、90年代のメロディックパンクみたいな。
トノ(Dr) さわやかでポップで明るい……。
キクオ(Vo, G) 極端に言うと、Green Dayみたいな。マイナーというより、メジャーのパワーコード主体でしたね。
ヤマケン 今のDRADNATSが美メロならば、当時は美メロではなかったです。俺のバンドは2人のバンドよりも若干美メロ寄りだったかもしれないけど。自分のバンドではボーカルをやっていたから、今のDRADNATSのようなコーラスワークはほとんどなかったです。
「PROMISE」でDRADNATSがスタートした
──では、この3人で音を鳴らしたときの印象は?
トノ 最初は俺が言い出したんですけど、Eaglesの「Desperado」のカバーをやったんですよ。それで衝撃を受けたのはコーラスワークで、キクオの声はもともと知ってたけど、それに乗るヤマケンの声を聴いたときは鳥肌が立ちました。メロディを支えるコーラスがやべえ!って。
──最初がEaglesというのは面白いですね。ほかにどんなカバーを?
ヤマケン そんなにやってないですね。Hi-STANDARDは……やりましたね。
キクオ 初ライブでHi-STANDARDのカバーやったよね?
ヤマケン 思い出した! 「CALIFORNIA DREMIN'」「STOP THE TIME」「ENDRESS TRIP」「MAXIMUM OVERDRIVE」かな。
キクオ それとオリジナル数曲みたいな。
──当時のクオリティはどうでした?
キクオ 激低です!
全員 ははははは(笑)。
──それからバンドが動き始めて?
ヤマケン 当時はお互い前のバンドの延長で、キクオとトノがやってたバンドに俺のコーラスが入ったぐらいの感じで。で、「PROMISE」という曲を俺が作ったときに、こういうメロディってキクオの声にめちゃめちゃ合うなと。あの曲から一気にいろいろ変わりましたね。
──「PROMISE」を歌ったときの感触は?
キクオ 難しかったですね。ヤマケンが作る曲は自分の出せるキーより高かったんですよ。ものにするまでは時間がかかったけど、当時は必死でしたね。でもレコーディングして聴いたときに、すげえ曲ができたなと。
──手応えはあったんですね。
キクオ そうですね。歌、メロディもいいものができたなって。俺もちゃんと歌い上げなきゃいけないなと。ヤマケンが言ったように1つの目安というか、変わったきっかけになった曲ですね。
トノ 初めて聴いたときもビックリしたし、手応えはありましたね。それまでは初期衝動だけでしたけど、「PROMISE」でDRADNATSがスタートした感じはありますね。
ヤマケン それ以前はメロディックバンドはこういう曲をやらなきゃいけないという気持ちがあって。それを取っ払えたのが「PROMISE」なんですよ。単純にこのメロディいいわ、と言いながら作れたから。
- DRADNATS ニューアルバム「MY MIND IS MADE UP」 / 2014年3月5日発売 / 2300円 / PIZZA OF DEATH RECORDS / PZCA-64
- DRADNATS ニューアルバム「MY MIND IS MADE UP」ジャケット
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CD収録曲
- Bright Star
- Footsteps
- Sick Of You
- Good Morning And Good Night
- Day After Day
- Sign
- My Very First love
- Like Flower
- Get Our Future
- #Summer Days
- Way
- What's Justice
- Your Voice
- This Song Is For You And For Me
DRADNATS(どらっどなっつ)
キクオ(Vo, G)、ヤマケン(B, Cho)、トノ(Dr)によるメロディックパンクバンド。2005年の結成以降、精力的なライブ活動を展開し、2006年には早くもアメリカ西海岸ツアーを敢行する。2008年1月には元The Suicide Machinesのギタリスト、ダン・ルカシンスキーがプロデュースしたデビューシングル「leave nothing unsaid」をリリース。同年10月に1stアルバム「New Unseen Tomorrow」を発表し、注目を集める。翌2009年にはKen Yokoyama、ALMOND、SpecialThanks との4-WAYスプリットアルバム「The Best New-Comer Of The Year」に参加した。2011年には東北復興応援活動として磯部正文(HUSKING BEE)やoto などを招き、野外フェスティバル「LANDMARK FESTIVAL 石巻2011」をANCHOR とともに開催。さらにF.I.BとのツーマンイベントやMEANINGとの東北ツアーなどを経て、同年9月に2ndアルバム「OVERTAKE」を発表した。そして2013年1月、PIZZA OF DEATH RECORDSへの移籍を発表。同年3月に横山健プロデュースによるニューアルバム「MY MIND IS MADE UP」をリリースする。