どついたるねんがメジャー初となるアルバム「どついたるねん」を3月28日にリリースした。パンクやヒップホップ、R&B、ファンクを織り交ぜた多種多様な音楽性や、客席に乱入するなど破天荒なライブパフォーマンスで多くのリスナーを魅了してきたどつは、BEAMSのファッションモデルを務めたり、バンド自ら劇団を立ち上げたりするなど幅広い活動でも話題を集めている。そんな彼らは2017年4月、キングレコード内のレーベル・EVIL LINE RECORDSからメジャーデビューを発表。メンバー2名の脱退を乗り越え、今回のアルバムを完成させた。音楽ナタリーではメジャーデビュー発表後1年間の活動を振り返りつつ、どついたるねんの魅力、新アルバム「どついたるねん」の制作エピソードについて話を聞いた。
また今回の特集では東京・高円寺で撮影を実施。古着屋「はやとちり」やガード下、駅前広場などバンドゆかりのスポットを巡った。
取材・文 / 高橋拓也 撮影 / 塚本弦汰 撮影協力 / 高円寺 はやとちり
メジャーデビュー後、さらに金欠に
──メジャーデビュー発表からもう少しで1年経ちますが、近況はいかがですか?
ワトソン(Vo, Dr) 今までバンド活動はマイペースにやってたけど、メジャーレーベルに所属してから責任感が出てきたんです。それでもっと力を注ぐようになったら……メジャーデビュー前より金欠がひどくなって。
浜公氣(Dr, Per, Vo) 無料ライブをやったのが大きいかも。
──昨年8月に完成したライブ盤「おならプープーセッション」は無料で配布されましたし、12月には東京・渋谷CLUB QUATTROで無料ワンマンを開催しましたね。
先輩(Vo, G) 金になること全然してないじゃん。
浜 無料ワンマンの赤字、今でも残ってますし。
──ほかの皆さんはメジャーデビュー後、何か変化はありましたか?
先輩 俺は健康になりました。
うーちゃん(Vo, G) 最初はみんな「おめでとう!」って言ってくれたからうれしかったんだけど、ずっと言われ続けたらめんどくさくなってきて……。
浜 僕は家族とか友人とか、周りの人からメジャーデビューについて言われて実感することが多かったですね。
DaBass(B, G, Vo) バンド自体にはそこまで大きな変化はなかったです。とにかくやることをやるって姿勢を続けてる。
山ちゃん(Vo, B) この1年は自分たちのペースをつかむための期間だったと思うんです。やっといい感じのアルバムができたから、ここからガッと勢いが出てきたらいいね。
俺らずっと意識低いよな
──この1年を振り返ってみると大槻ケンヂさん、ZEN-LA-ROCKさんとのツーマン企画「どついたるねんCARNIVAL」や、これまでバンドと関わってきたアーティストたちが参加した展示企画「陽気なカツカレー展」の開催、“劇団どついたるねん”としての舞台への出演、池袋PARCOのモデル担当など、幅広く活動してきました。改めて振り返ると、どつはメジャーデビュー以前から音楽関係者に留まらず、各所で注目を集めてきました。皆さんのコネクションはどのように広がっていったんでしょうか?
山ちゃん 最初は写真家の金子山さんがよくライブに来てくれて、彼がいろんな人たちを紹介してくれて。そこから徐々に知り合いが増えていった感じですね。
──写真家以外にも岩淵弘樹監督や梁井一監督など、映像作家との制作も行ってきましたね。またカツカレーTシャツやコーチジャケット、ラーメンパーカーといったバンドグッズも話題を呼びました。アパレルグッズの反響から、モデルとしての活動を行うきっかけが生まれたのでしょうか?
先輩 アパレルは吉祥寺にある古本屋「BASARA BOOKS」の関根さんっていうスタッフがアイデアを出してくれたのが最初で。そのあとに知り合いからオファーがあって、BEAMSのモデルを担当したんです。2013年に発表した写真集「MY BEST FRIENDS」には梅佳代さんや川島小鳥さんが参加してくれたんですけど、これはカメラマンの西光祐輔さんが仕切ってくれたから実現した作品だったし。
──西光さんは「精神」「アメリカ」など数曲のミュージックビデオを制作したほか、2016年の47都道府県ツアーでは車の運転手として皆さんに同行しました。
先輩 今でもよく会うし、メンバー以外でバンドと一番距離が近いのは西光さんかも。
──今年1月に大阪で行われた西光さんの写真展では、ワトソンさんがドラムセッションの企画で出演しました。ワトソンさんは弾き語りスタイルで出張ライブを行う「デリバリーワトソン」など、ソロでも積極的に活動していますよね。ソロでの活動とバンドでの活動の違いはありますか?
ワトソン 特に違いはないっす。ソロでの活動はあくまでどついたるねんの活動を続けるためのリハーサルとか実験みたいなものだと思ってます。いいところも悪いところもみんなで共有して、それをどつの活動に生かしたくて。失敗ばっかだけど、そういう経験があるからこそバンドを長く続けられるし、それこそメジャーデビューにつながるきっかけになっただろうし。
先輩 そう言えばうがい(うーちゃん)も、今度坂本移動どうぶつ園(うーちゃんがどついたるねん結成前に活動していたバンド)のライブがあるよね?
──2015年にもひさしぶりにライブを行いましたね。
うーちゃん 誘われて楽しそうだったら出るぐらいです。自分からやりたいとか、そういう積極的な意思は何もない。
ワトソン 今「意思は何もない」って言葉が出てきたけど、俺らずっと意識低いよな。
うーちゃん その成れの果てがこのバンドだから。
先輩 逆に意識高かったら「カツカレー展」とかもやってないっしょ。
──「カツカレー展」は皆さんではなく、ほかの方が企画したイベントですか?
先輩 そうそう。
──そういったオファーは積極的に受け入れているんですね。
先輩 ノリはいいんだよ。可愛げはあるんで。
ワトソン 逆に断るとか、ありえなくない? 誘ってくれたらうれしいじゃん。メシおごってもらうような感覚だし、いろんな人からおごってもらえたから、ここまで活動を続けられたようなもんだし。
どついたるねん、劇団になる
──9月には“劇団どついたるねん”を立ち上げ、メンバー全員が出演する「どついたるねんの忠臣蔵」「ラーメン -来訪者(ストレンジャー)達の晩餐-」という舞台を披露しました。演劇に挑戦してみて、いかがでした?
DaBass 先輩めちゃくちゃ緊張してたよね?
先輩 やっぱライブとは違う表現方法だから。でもすごい刺激になった。
浜 この公演はもともと会場だけ先に押さえてたんですけど、普通にライブをやるだけなのもちょっとな……って話してて。
ワトソン ちょうど俺が情熱のフラミンゴっていう劇団とつながりがあったから。
浜 それで演劇をやることになったんです。
DaBass 情熱のフラミンゴの島村和秀さんと、元どつのメンバーだったポリさんに内容を考えてもらって、それを俺たちが演じたんです。「忠臣蔵」ってテーマは俺らが考えたんだっけ?
うーちゃん 確かそうだったかも。理由はもう覚えてないけど。
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メンバー脱退を経ての「フードファイターズ」
- どついたるねん「どついたるねん」
- 2018年3月28日発売 / EVIL LINE RECORDS
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[CD]
2700円 / KICS-3690
- 収録曲
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- ストレッチ
- 精神
- R☆
- ポジ男
- 返信
- danjil
- BOY
- ハッピーバースデー
- I ♡ リーダー
- アイスクリーム
- 口くさマシンガントーク
- いきなり三男坊
- 救い主
- さっきもいた人
- 若者のすべて
- ライブ情報
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- どついたるねん ワンマン「Let's Go Party!! 4649!」
- 2018年4月8日(日)東京都 マイナビBLITZ赤坂
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- ブリブリスプリングマウンテンツアー
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- 2018年5月24日(木)宮城県 enn 3rd
- <出演者> どついたるねん / Alfred Beach Sandal
- 2018年5月25日(金)山形県 RAF-REC
- <出演者> どついたるねん / 原田晃行
- 2018年5月26日(土)青森県 aomori SUBLIME
- <出演者> どついたるねん / 原田晃行
- 2018年5月27日(日)北海道 SOUND CRUE
- <出演者> どついたるねん / 柴田聡子 in FIRE
- 2018年6月8日(金)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
- <出演者> どついたるねん / 台風クラブ
- 2018年6月9日(土)石川県 メロメロポッチ
- <出演者> どついたるねん / 大野悠紀 / 台風クラブ
- 2018年6月10日(日)愛知県 ブラジルコーヒー
- <出演者> どついたるねん / 大野悠紀 / 角田波健太(オープニングアクト)
- 2018年6月15日(金)福岡県 THE Voodoo Lounge
- <出演者> どついたるねん / Enjoy Music Club
- 2018年6月16日(土)島根県 大根島HOME
- <出演者> どついたるねん / ロンリー
- 2018年6月17日(日)岡山県 PEPPERLAND
- <出演者> どついたるねん / ロンリー
- 2018年6月29日(金)大阪府 FANDANGO
- <出演者> どついたるねん / ザ・たこさん
- 2018年6月30日(土)長野県 MOLE HALL
- <出演者> どついたるねん / ミツメ
- 2018年7月1日(日)静岡県 Sunash
- <出演者> どついたるねん / シャムキャッツ
- どついたるねん
- 2006年にワトソン(Vo, Dr)と先輩(Vo, G)が前身バンド・キーマカリーズを結成し、2007年にバンド名をどついたるねんに変更。数多くのメンバーの加入・脱退を経て、現在はワトソン、先輩、山ちゃん(Vo, B)、うーちゃん(Vo, G)、DaBass(B, G, Vo)、浜公氣(Dr, Per, Vo)の6人編成で活動を行っている。2011年発表の1stアルバム「ダディ」を皮切りに、ゴム版ジャケット仕様の「サムライ伝説どついたるねん」、6008曲入りの「grandmother's milk」、ライブ会場を中心に不定期で販売された「ドツノポリス」シリーズなど数多くのCD作品を発表。2017年4月にキングレコード内のレーベル・EVIL LINE RECORDSからメジャーデビューし、翌2018年3月28日にメジャー1stアルバム「どついたるねん」をリリースした。BEAMSや池袋PARCOのモデル、舞台への出演など、音楽以外の活動も積極的に展開している。