電波少女|自問自答の末の原点回帰

満員電車で削られる人たちを見て

──続いては、「Q」というタイトルのもとにもなったという「ローリングストーン」です。

ハシシ この曲のテーマもNIHA-Cからですね。

NIHA-C 「社会の中で転がって、削れて、丸くなっていく」っていう。最初はもっとネガティブな感じで、「削れてボロボロになる」というヴァースだったんですよ。満員電車を見て「これに毎日乗るって、削られるよな」と思って……。でも、ハシシさんに聴いてもらったら「丸くなるって、そこまでネガティブなことじゃなくない?」という話になって。「丸くなって、邪魔なプライドがなくなって、核心に近付いていく」みたいな視点をもらって、「そういう考え方も確かにあるな」と。最後はポジティブな曲になりましたね。

ハシシ 「ローリングストーン」ってタイトルは自分が付けたんですけど、ちょっとダサいですよね(笑)。でもNIHA-Cが最初に付けたタイトルが「転がる石のように」だったんで、それはもっとないなと。

NIHA-C そこもダメ出しされました(笑)。

ハシシが死ぬ気で作ったラブソング「NEWTON」

──そしてリード曲の「NEWTON」。メロディもトラックもしっかり練られていて、電波少女らしい名曲だなと思いました。

ハシシ ありがとうございます。「リード曲は俺に任せろ」と死ぬ気で作りました。実際、この曲に一番カロリーを使ったと思いますね。ずっと一緒にやってるDYES IWASAKIにトラックをもらって、メロディを作り込んで。細かいピッチ調整を含めると50回くらいやりとりして、「これならいける」って納得できるメロディができてから歌詞を乗せて。ラブソングにしようと決めて、NIHA-Cと話しながら歌詞を書いたんですけど、途中で“重力”とか“引力”というテーマが出てきて。ずっと続く、ちょっとヘンな関係性というか。「どうせ逆らえないから、逆らわない」っていう。今までのラブソングは失恋系が多かったから、違う角度から書いてみたという感じですね。

nicecream 今回一番好きな曲ですね。この曲、ウクレレの音が入ってるんですよ。普段曲のことにはまったく口出ししないんですけど、1回「ウクレレが入ってる曲もいいんじゃない?」と言ったことがあって。

──niceさん、今日もウクレレ持ってますね。

nicecream 今練習してるんですよ(笑)。

ハシシ 「NEWTON」みたいな曲に素朴なウクレレの音が入ってると、ヘンなミスマッチ感があっていいかなって。

“虚勢”がテーマの「ポイ feat. 4s4ki」

nicecream

──5曲目の「ポイ feat. 4s4ki」には女性シンガーの4s4kiさんが参加しています。

ハシシ 以前4s4kiちゃんのシングルに参加したことがあったんですが、「ポイ」のサビのメロディができたときに「女の子の声があったらいいよね」という話になって、締め切りギリギリで参加してもらいました。メロディもアレンジしてもらって、いい感じになりましたね。

NIHA-C 4s4kiちゃんの声が入って、一気に雰囲気が変わったんですよ。童謡っぽい怖さが加わって、それがすごくよくて。

ハシシ 歌詞のテーマは“虚勢”ですね。謎の自信に満ちあふれた感じというか。自分が「NEWTON」にかかりきりだったから、NIHA-Cに任せてたんだけど、上がってきた曲がホントになくて。「プロとして、この曲を出せる?」って。

──基本、ダメ出しなんですね(笑)。

NIHA-C そうですね(笑)。

ハシシ 移動の車の中で「もっとヒネリがほしい」という話をして。まあ何とか形になってよかったです(笑)。

電波少女も10周年

──「電波少女 10th Anniversary“+”公演」として、6月9日には大阪・クリエイティブセンター大阪 STUDIO PARTITAで自主企画イベント、8月9日には東京・TSUTAYA O-EASTでワンマンライブが開催されます。10周年に関する企画を含めて、充実した1年になりそうですね。

ハシシ もう10年もやってるのか……。まあ、10年ずっとやってるのは自分だけなんですけどね。10周年の企画もそうですけど、今年はもっと音楽をがんばろうと思ってます。毎年グチャグチャになりながらやってきたんですけど、「Q」を作ったことで、自分たちのやるべきことが見えてきた気がしたので。

NIHA-C 「Q」を作ったことで、さらにモチベーションが上がっていて。制作をガッツリやっていきたいですね。

nicecream 僕は今まで以上にパフォーマンスの部分に力を入れて、更にライブを盛り上げられるようにがんばりたいです。NIHA-Cが入ってくれたおかげで、以前よりもダンスに集中できるようになったし、新しくできるようになったこことがまだまだあるので。

電波少女 10th Anniversary「+」
  • 2019年6月9日(日)大阪府 クリエイティブセンター大阪 STUDIO PARTITA
  • 2019年8月9日(金)東京都 TSUTAYA O-EAST