ハシシ(電波少女) × 鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)|どこかひねくれている2人が歌うリアル

電波少女は現代っぽいヒップホップ

鬼龍院 電波少女さんの曲を聴かせていただいて、日本語を英語っぽく聴かせる感じが、僕にはできないことなのでうらやましいなと思ったんです。もともと聴いてきたのは洋楽なんですか?

ハシシ 洋楽も聴きますし、あと邦楽でもマキシマム ザ ホルモンさんみたいに英語っぽく日本語を崩す歌い方をするアーティストが好きで。一時期、友達と崩し方とかどう発音するとどう聞こえるかという研究をしてました。

鬼龍院 近年、そういうのが皆さんうまいなと思って。ヤバT(ヤバイTシャツ屋さん)さんも岡崎体育さんも英語の歌とか発音がいいんだよなあ。

ハシシ そうっすね。自分は英語は全然しゃべれないですけど。ゴールデンボンバーさんのあの曲がすごい好きでした、「かっこいいな英語って」。

鬼龍院 僕が知っている単語だけを、意味もなく並べていっただけの。

ハシシ そうです。ニコニコ動画に上がってるやつだと、コメントで意味が書いてあるんですけど、それも面白くてけっこう聴いてたっす。

鬼龍院 あと「ME」の冒頭に「うぜえな」って歌詞が入ってるじゃないですか。それがいいつかみだなって思ったんです。自信がないんだか、あるんだか。でもそこがいいところなのかもしれない。現代っぽいと言うか。“俺様”とかは入れますか? “俺様”ってヒップホップでしか許されないワードだと思ってるんですけど(笑)。

ハシシ “俺様”はないですね。

鬼龍院 この弱さと開き直りがいいなと思いました。ほかのヒップホップを聴いてないんですけど。

ハシシ ヒップホップの中では電波少女はわりとナードなほうだと思います。

鬼龍院 だから音楽的に聴きやすくていいんじゃないかなってとっても思いました。キャッチーだし。

アーティストは一番吐き出したかったものを作品として吐き出している

──今「ME」がお話に上がりましたが、電波少女は6月から8月にかけて3カ月連続で「ME」「FOOTPRINTZ」「NO NAME.」という3作の配信シングルをリリースしました。

ハシシ 最初に出した「ME」はスタンダードな恋愛の曲。失恋のちょっと前のうまくいかない状況を自己中的な感覚で歌詞にした曲です(参照:電波少女「ME」インタビュー|ハシシが語る、電波少女的ラブソング)。次に出した「FOOTPRINTZ」は去年の11月から今年の1月にかけてヒッチハイクで47都道府県を回って路上ライブをしていくっていう企画があったんですけど(参照:電波少女メジャーデビュー決定記念インタビュー)、そのときの恨みつらみを曲にしました。3曲目は「NO NAME.」で、言葉で説明すると浅くなっちゃうんですけど、「自分ってなんなんだ」という自問自答を書き連ねた曲です。

鬼龍院 ヒッチハイクの恨みつらみを書いたんですね、感謝じゃなくて。そこもひねくれてるな。

ハシシ ふふふ(笑)。移動だけじゃなくて、食事とかのお金も路上ライブで得たお金のみというルールだったので、人に助けられないと前に進めなかったので、100%人の力なんですけど、道中はそこを深く考えられなくて。

鬼龍院 「ありがてーな」とかもない?

ハシシ 瞬間的にはありますよ。でもそれよりもつらさのほうが日に日に勝っていくと言うか。で「FOOTPRINTZ」を書いたときはつらさのほうしか思い出せなかった。のちのち「もっと感謝することあったな」っていろんな思い出がよみがえってきたんですけどね。

鬼龍院 でもミュージシャンや芸術家って、一番吐き出したかったものを作品として吐き出しているわけで。それが電波少女さんの場合は、まず恨みつらみだったってことですよね。曲を生んでいくってそういうことですもんね。感じたことを歌にする。ただ、それを1回吐き出すと気持ちに少し折り合いが付くので、またこのヒッチハイクを題材にもう1曲、ってなったらそのときは恨みつらみじゃない別の曲が生まれるんじゃないかな。

──鬼龍院さんの曲を作る原動力も恨みつらみですか?

鬼龍院 僕は主に嫉妬心と劣等感ですね。やっぱネガティブな感情ばかりが歌になるんですよ。それ以外はあんまり歌にならない。僕は恋愛の嫉妬が一番書きやすいですね。

ニコニコ動画出身の2組

──2組の共通点として、ニコニコ動画を利用してファンを集めてきたという点もあると思います。そんなお二人は、音楽活動とインターネットの関係性をどう見ていますか?

鬼龍院 一番大きく影響を与えたのは動画投稿サイトですよね。動画投稿サイトが流行る前は楽曲投稿サイトがあったけど、いまいち流行らなくて。

ハシシ Myspaceとかmuzieとか。

左からハシシ(電波少女)、鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)。

鬼龍院 そうそう、で、そのあとにYouTube、そのちょっとあとにニコニコ動画で。YouTubeは万能だったんだけども、ミュージシャンを発掘するっていう面ではニコ動が強かった気がするんですよね。

ハシシ 確かに。あとはボカロですよね。

鬼龍院 そうだ! ボカロだ! それを考えると、ニコニコ動画ではポテンシャルがある人は再生数が伸びてちゃんと発掘されるようになってる気がしますね。

ハシシ うんうん。

鬼龍院 昔のように企業の吐息にまみれたオーディションよりハッキリしたジャッジができるじゃないですか。それはね、やっぱ若手の腕の上達にもつながっていくと思うんでいい時代ですよね。「敷居が下がった」とか的外れなこと言う人もいるけど。ソフトも安くていいのがどんどん出てきてますし。

ハシシ 安いし、便利だし。

鬼龍院 まあ誤魔化しが利くようになったっていう言い方もありますよね(笑)。

ハシシ 自分はけっこう誤魔化してるタイプ(笑)。

左からハシシ(電波少女)、鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)。

鬼龍院 ははは(笑)。でも音楽を始める人、投稿する人にとっちゃいい時代ですよね。

ハシシ そうですね。

鬼龍院 あとあきらめが付きやすいっていうのもありますよね。「これでダメだったら」っていう。言ってみれば常にオーディションを受けられるようなもんだし。オーディションって年齢とか性別に制限があることも多いけど、動画投稿には年齢も関係ないので、ちゃんと実力で評価してもらえるから。

ハシシ あとSNSを使うことによって、アーティストのキャラクターが強く出ると思うんですよ。そういうところをうまく使えるので、自分はインターネットって面白いなと思います。

鬼龍院 プライベートを犠牲にしなくてはいけないとも言えますけどね(笑)。

ハシシ そうですね、切り売りしてます(笑)。

電波少女「ME」
2017年6月12日発売 / アリオラジャパン
電波少女「ME」
収録曲
  1. ME
電波少女「FOOTPRINTZ」
2017年7月10日発売 / アリオラジャパン
電波少女「FOOTPRINTZ」
収録曲
  1. FOOTPRINTZ
電波少女「NO NAME.」
2017年8月1日発売 / アリオラジャパン
電波少女「NO NAME.」
収録曲
  1. NO NAME.
ゴールデンボンバー「やんややんやNight ~踊ろよ※※~」(※※に各都道府県名)
2017年11月発売(発売日は後日発表) / Zany Zap
ゴールデンボンバー「やんややんやNight ~踊ろよ※※~」(※※に各都道府県名)

各都道府県限定
47種シングル

収録曲
  1. やんややんやNight ~踊ろよ※※~
  2. #CDが売れないこんな世の中じゃ(偽)
  3. やんややんやNight ~踊ろよ※※~(オリジナル・カラオケ)
  4. #CDが売れないこんな世の中じゃ(偽)(オリジナル・カラオケ)
電波少女「ショートムービー上映&全国ライブツアー『デリヘル』」
  • 2017年8月5日(土)北海道 Spiritual Lounge
    OPEN 15:30 / START 16:00
  • 2017年8月6日(日)宮城県 SENDAI BIRDLAND
    OPEN 15:30 / START 16:00
  • 2017年8月11日(金・祝)大阪府 北堀江club vijon
    OPEN 15:30 / START 16:00
  • 2017年8月12日(土)広島県 BACK BEAT
    OPEN 15:30 / START 16:00
  • 2017年8月13日(日)愛知県 CLUB 3Star IMAIKE
    OPEN 15:30 / START 16:00
  • 2017年8月20日(日)東京都 KOENJI HIGH
    [第1回]OPEN 14:30 / START 15:00
    [第2回]OPEN 18:30 / START 19:00
  • 2017年9月1日(金)香川県 sound space RIZIN'
    OPEN 18:30 / START 19:00
  • 2017年9月2日(土)福岡県 graf
    OPEN 15:30 / START 16:00
  • 2017年9月3日(日)宮崎県 floor R
    OPEN 15:30 / START 16:00開演
ゴールデンボンバー全国ツアー2018
  • 2018年3月17日(土)千葉県 市原市市民会館
  • 2018年3月21日(水・祝)栃木県 宇都宮市文化会館
  • 2018年3月23日(金)青森県 青森市文化会館 リンクステーションホール青森
  • 2018年3月25日(日)福島県 郡山市民文化センター 大ホール
  • 2018年3月31日(土)富山県 オーバード・ホール
  • 2018年4月1日(日)石川県 金沢歌劇座
  • 2018年4月7日(土)静岡県 静岡市民文化会館 大ホール
  • 2018年4月8日(日)三重県 三重県文化会館 大ホール
  • 2018年4月12日(木)熊本県 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
  • 2018年4月13日(金)鹿児島県 鹿児島市民文化ホール 第一
  • 2018年4月19日(木)滋賀県 滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール 大ホール
  • 2018年4月20日(金)和歌山県 和歌山県民文化会館 大ホール
  • 2018年4月28日(土)鳥取県 米子コンベンションセンター BiG SHiP
  • 2018年4月30日(月・祝)愛媛県 ひめぎんホール メインホール
  • 2018年5月3日(木・祝)新潟県 新潟県民会館 大ホール
  • 2018年5月6日(日)岡山県 倉敷市民会館
  • 2018年5月8日(火)京都府 ロームシアター京都 メインホール
  • 2018年5月11日(金)山梨県 コラニー文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
  • 2018年5月18日(金)北海道 旭川市民文化会館
  • 2018年5月20日(日)北海道 帯広市民文化ホール
  • 2018年5月26日(土)沖縄県 沖縄コンベンションセンター
  • 2018年5月27日(日)沖縄県 沖縄コンベンションセンター
  • 2018年6月7日(木)宮城県 仙台サンプラザホール
  • 2018年6月8日(金)宮城県 仙台サンプラザホール
  • 2018年6月12日(火)広島県 広島文化学園HBGホール
  • 2018年6月13日(水)広島県 広島文化学園HBGホール
  • 2018年6月17日(日)北海道 ニトリ文化ホール
  • 2018年6月18日(月)北海道 ニトリ文化ホール
  • 2018年6月23日(土)福岡県 福岡国際センター
  • 2018年6月24日(日)福岡県 福岡国際センター
  • 2018年7月7日(土)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2018年7月8日(日)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2018年7月 大阪府 大阪城ホール(2DAYS)
  • 2018年7月 埼玉県 さいたまスーパーアリーナ(2DAYS)
電波少女(デンパガール)
電波少女
2009年に複数のMCおよびトラックメーカーで結成されたユニット。幾度かのメンバーチェンジを経て、現在はラップ担当のハシシとDJ&パフォーマンス担当のnicecreamという2人で活動している。2013年7月に1stアルバム「BIOS」を、2015年7月に全曲フィーチャリングゲストを迎えた2ndアルバム「WHO」を発表した。12月にリリースしたiTunes Store限定シングル「COMPLEX REMIX feat. Jinmenusagi, NIHA-C」がiTunes Storeのヒップホップ / ラップのシングルチャートで1位を獲得する。2016年5月に7曲入りCD「パラノイア」をリリースし、11月よりヒッチハイク企画「“電波少女的ヒッチハイクの旅”47都道府県ストリートライブTOUR」を実施。2017年1月にヒッチハイクの旅を完遂し、夏にメジャーデビューを果たすことが決定した。メジャーデビューに先駆け6月より3カ月連続で配信シングルをリリース。9月27日にメジャーデビューアルバム「HEALTH」をアリオラジャパンからリリースする。
ゴールデンボンバー
ゴールデンボンバー
鬼龍院翔(Vo-karu)、喜矢武豊(Gita-)、歌広場淳(Be-su)、樽美酒研二(Doramu)からなるヴィジュアル系エアーバンド。2004年に鬼龍院翔と喜矢武豊を中心に結成される。ライブでは鬼龍院翔以外は楽器を弾かず、踊ったり寸劇を演じたりするなど、さまざまなパフォーマンスを行うのが定番となっている。エアーバンドというコンセプトや、麗しいビジュアルと笑撃的な歌詞のギャップで注目を集め、カラオケの連続首位獲得週数歴代1位を獲得した大ヒット曲「女々しくて」や、シングル・アルバム共にオリコン初登場1位を獲得するなどインディーズ史上初の記録も持つ。「NHK紅白歌合戦」にも4度出場。2014年8月には“音楽だけを売ること”に特化し、特典なし、1形態、真っ白いジャケット、税込み500円というシングル「ローラの傷だらけ」を発表した。2015年6月に約3年半ぶりのアルバム「ノーミュージック・ノーウエポン」をリリース。その後も「水商売をやめてくれないか」「#CDが売れないこんな世の中じゃ」といったシングル発売を重ね、2017年11月には47都道府県それぞれで異なるバージョンが用意されたシングル「やんややんやNight ~踊ろよ※※~」(※※に各都道府県名)を発表する。