デーモン閣下「うただま」 PR

デーモン閣下|伝統&民族楽器とのコラボレーションで見せるもう1つの側面

今年3月に正統派のハードロックアルバム「EXISTENCE」を発表したばかりのデーモン閣下が、早くも11月8日にニューアルバム「うただま」をリリースする。井上陽水「少年時代」、坂本九「見上げてごらん夜の星を」に新たなアレンジを施したナンバーや、アントニン・ドヴォルザークの交響曲(第9番)「新世界より」の旋律にオリジナルの歌詞を乗せた「今も翔ぶ - From The New World - 」、さらに「千秋楽 - 雅楽・盤渉調古典曲をモチーフとした独自楽曲 - 」「君が代」といった歴史のある楽曲などを収録した本作は、豊かな表現力を備えたデーモン閣下の歌声を堪能できるアルバムに仕上がっている。そして日本の伝統楽器、世界中の民族楽器などを融合させたオーガニックなサウンドも本作の魅力だ。今回のインタビューでは「うただま」の制作を軸にしながら、デーモン閣下のルーツ、独自の音楽観についても語ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 後藤倫人

ロックの要素はほとんどない

──前作「EXISTENCE」からわずか8カ月というインターバルでニューアルバム「うただま」がリリースされますが、これは当初から予定されていたことなんですか?

デーモン閣下

そうだ。「EXISTENCE」を作り始める段階で「同じ年のうちにもう1枚、まったく違うコンセプトのアルバムを出す」と決めていたからな。1つは吾輩のパブリックイメージ通りのハードロックを基調としたアルバム。そしてもう1つは、長年続けてきた別の音楽活動、ロック的ではない音楽を前面に出したものを作ろうと。もともとはプロデューサーからの提案だったのだが、これはなかなかよい案だった。1枚しか出せないとなると、どうしても両方の面を入れたくなるのだが、2枚作ることでしっかり分けることができるからな。実際、今回のアルバム「うただま」にロックの要素はほとんど入ってない。シャウトもしてないだろう?

──そうですね。ディストーションギターも一切ありませんし。

ないね(笑)。ベースは何曲か入ってるが、洋楽的なドラムも使っていないんだ。全体的に電気楽器はほとんど使わず、アコースティックを中心にしながら、和のテイストを取り入れたものが半分、クラシック、民族音楽などを反映させた楽曲が半分という感じだな。

──確かにロックの要素はほとんどないですよね。ロック以外の音楽に対しても、以前から興味があったということですか?

そうだな。バンドを始めたのは世を忍ぶ仮の大学生のときなのだが、当初はハードロックやヘヴィメタルをやろうとは思ってなくて、なりゆきでそうなったのだ。吾輩はどちらかと言うとポップスが好きだったのだが、なぜかハードロックを歌うことになって……何を今さら、という話だがな(笑)。

──歌ってみたら、ハードロック、ヘヴィメタルに向いていたと。

そうとも言えるし、自分をそちらのほうに向けて鍛えていったという側面もあるだろうな。

単に和楽器の音を使っただけではダメ

──閣下がおっしゃったように「うただま」には日本の伝統楽器を使った楽曲も収録されています。

音楽に限らず、おしなべて日本古来の文化に興味があるんだ。音楽に関して言うと、雅楽、能楽、歌舞伎の下座音楽などがあるが、すべてのジャンルに精通しているわけではなく、古典音楽の演奏家諸氏とステージを共にする機会を重ねる中で、少しずつ知っていったということだな。今の音楽リスナーには「日本の純邦楽=すべて雅楽」と思っている者が多いようだが、その呼び方は違う。雅楽は1つの“ジャンル”であり、ほかに特徴が異なるいくつかの“ジャンル”があるのだ。ちなみに、“能”という言葉は明治になってから作られた言葉なのだ。それまでは猿楽、散楽と呼ばれていたんだ。

──さすがお詳しいですね。相撲もそうですが、なぜ閣下は日本の伝統文化に惹かれるのですか?

世を忍ぶ仮の幼稚園児の頃、アメリカで暮らしていたことが大きいだろうな。最初の友達はアメリカ人だったし、幼少時に触れていた文化はすべてアメリカのものだったから、日本に戻ってきたとき……吾輩は再来日と言っているのだが(笑)、まるで外国人の旅行者のような感覚でいろいろなものを見ていたのだ。当時の日本は高度成長期で、とにかくアメリカのものを取り入れようとしていたのだが、そっちにはまるで興味がない。だって、アメリカに住んでいたんだから(笑)。吾輩には“舶来への憧れ”が根本的にないのだ。それよりも相撲や歌舞伎、落語のほうが面白かったんだ。あとは「どうして日本の家や車はこんなに小さいのか」ということが気になっていたな。

──なるほど。「うただま」における和楽器の取り入れ方も、ほかのアーティストとは違いますよね。

デーモン閣下

そうかもしれないね。もともと日本の文化の空気感、美学に惹かれていたから、単に和楽器の音を使っただけではダメなんだ。楽曲のアレンジに関して言えば、プロの演奏家に任せている部分も大きい。例えば「少年時代」には尺八、箏を取り入れているのだが、それぞれ三橋貴風氏、外山香女史というスぺシャリストにフレーズのアイデアを出してもらっていて。「やつらの足音のバラード」の三線のアレンジも、三線の演奏香の名嘉常安氏に依頼してるのだ。

──専門の演奏家の方々に任せることで和楽器のエッセンスがしっかり込められる、というわけですね。

そうだな。14年前に出したソロアルバム「WHEN THE FUTURE LOVES THE PAST~未来が過去を愛するとき~」のときは今よりも気負ったところがあって、「すべての楽曲に和楽器を入れたい」と思っていたのだ。もちろんうまくハマった曲もあるが、振り返って考えてみると「ちょっと無理やりだったかも」と感じるアレンジもあって。だから今回は和楽器を入れる必然性がある曲、「これは絶対に似合うな」という曲にだけ入れるようにしたのだ。ちょっと大人になったということかな(笑)。

デーモン閣下「うただま」
魔暦19(2017)年11月8日リリース / アリオラジャパン
デーモン閣下「うただま」初回生産限定盤

初回生産限定盤 [CD+DVD]
3888円 / BVCL-844~5

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デーモン閣下「うただま」通常盤

通常盤 [CD]
3024円/ BVCL-846

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CD収録内容
  1. 少年時代
  2. 砂漠のトカゲ
  3. 見上げてごらん夜の星を
  4. 千秋楽 - 雅楽・盤渉調古典曲をモチーフとした独自楽曲 -
  5. Interlude - 人 -
  6. やつらの足音のバラード
  7. 今も翔ぶ - From The New World -
  8. Zutto(新録self cover曲)
  9. Interlude – 地 –
  10. 故郷(ふるさと)
  11. 君が代
  12. toi toi toi - うただま編 -
  13. Interlude - 天 -
初回生産限定盤DVD収録内容
  1. 「少年時代 ミュージックヴィデオ」
  2. 「toi toi toi !! (「Eテレ0655」より)」
  3. 「砂漠のトカゲ(「Eテレ2355」より)」
  4. 「デーモン閣下『うだだま』を語る」
デーモン閣下(デーモンカッカ)
デーモン閣下
魔暦前14(1985)年にロックバンドの姿を借りた“悪魔集団”聖飢魔IIの歌唱・説法方として地球デビューした“悪魔”。魔暦前10(1989)年に発布した大教典(アルバム)「WORST」でハードロック / ヘヴィメタル界では初となるオリコンアルバムチャート1位を記録し、「NHK紅白歌合戦」に出場した。魔暦前9(1990)年に初のソロアルバム「好色萬聲男」をリリースし、魔暦7(2005)年にはデビュー20周年を記念したベストアルバム「LE MONDE DE DEMON」を発表。魔暦9(2007)年からは女性アーティストの名曲を歌った異色のソロアルバム「GIRLS' ROCK」シリーズ4作で話題を集めた。魔暦19(2017)年3月に約5年ぶりのソロアルバム「EXISTENCE」を発表、同年11月にニューアルバム「うただま」をリリース。また、和の伝統芸能との共作活動は30年間にわたって展開中で、純和楽器と朗読劇の新機軸追求シリーズ「デーモン閣下の邦楽維新Collaboration」は19年目で公演数75回に至る。上海万博では文化交流大使を執務した。広島県がん検診啓発特使や早稲田大学相撲部特別参与などとしても活躍している。