全会一致で挙がったプロデューサーKenの名
──2度目でもまだですか?(笑) 先が長そうなので、思いが結実したところから伺いましょうか(笑)。
風弥 結成から10年が経って、自分たちの新たな可能性を広げたいからプロデューサーを迎えて音源を作りたいという話をして。そうなったときに、Kenさんに楽曲をプロデュースしてほしいというアイデアがメンバー全員から出たんです。まさかOKしていただけるとは思ってなかったんですけど、いい返事をいただけたので、「やったー!」って。Kenさんと一緒に作品を作れることが楽しみで、「どんな発見があるんだろう? いや、発見しかないだろう」と期待に胸を膨らませました。
──そこから最初の曲作りの話につながるんですね。
風弥 そうです。先ほどお話した通りのテーマでみんなが曲を書いてきて。そしたらメンバーみんな気合いが入っちゃって、枠は2曲なのに、30数曲のデモが上がってきたんです。それをKenさんに聴いていただいたんですけど、「多すぎだよ! 5曲残すなら、って言っただろ!」って(笑)。そこから、Kenさんと一緒に曲を選んでいった感じです。
──選ぶときに何か基準となるものがあったんですか?
風弥 30数曲の中から5曲選んだんですけど、メンバーが選んだ5曲とKenさんが選んだ5曲が1曲も被らなかったんですよ。それがうれしくて面白くて。Kenさんが見てくださっているDaizyStripper像って、こういう感じなんだなって。俺らからしたら、自分たちが知らないデイジーの魅力を見つけてくれた感じでした。それで、Kenさんが選んでくださった5曲の中から2曲をシングルにしたんです。
──Kenさんとのレコーディングで得たのはどんなことですか?
まゆ 自分の人生を変えた人なんで、Kenさんがどういうイメージを思い浮かべながらギターを弾いてるのかすごく気になっていて。ギターは弦1本弾くところから教わりました。曲の中でどういう表情をギターで付けていくかとか。本当に1音1音ですよ。コードで4つの音が鳴っていたら、その1つひとつまでも細かく、「こういう意図があって弾いてるんだとか、そこまで考えて弾いてみて」って言われるんです。「こういう感情を表現するフレーズが弾きたいんだったらこうしてみたら」とか、アイデアもたくさんもらったし。それをまた、親しみやすく教えてくれるんですよ。めっちゃ勉強になりました。ギターを弾くうえでの根本的な意識の持ち方などを伝えてもらいました。
なお もう、以下同文です(笑)。まゆが話していたギターの鳴らし方の話の延長線上ですけど、「なおは今、このギターのここの部分までしか意識してないだろう? もっともっとギター全体を鳴らすイメージで弾いてみて」って言われて弾いてたら、「鳴ってきてるね。鳴ってきてるのがわかる?」って。いろんな角度から気付かせてくれるんですよ。
──プレイ面だけじゃなく、音楽に対する向き合い方や考え方まで教わったんですね。
風弥 本当に。楽器のプレイだけじゃなく、“ハートの底上げ”もしてくれました。
Rei ベースに関しては、Kenさんの好みと俺の好みをお互いにすり合わせていった感じでした。レコーディングのときは、Kenさんはまゆとなおに付きっきりだったので(笑)、俺はいつもの自分のスタイルでレコーディングしたんですけど。デモの段階でKenさんのギターの音が入っていて、それを聴きながら録ったんですよ。そこから学ぶことが多くて。最後に聴いてもらったときに、とてもいい反応がもらえてすごくよかったです。自分の中では、最高のベースプレイができたと思います。
──風弥さんはいかがでしたか?
風弥 Kenさんは絶対に歌を邪魔しないギターを弾くんですよ。歌を引き立てるギターと言うか。そのセオリーについてお話を聞きたくて。Kenさんの曲を分析させていただいたんですけど、独特のコード感だったり、本当にオンリーワンで。ずっと気になっていたギタープレイについてKenさんに直接聞くところからスタートして。答え合わせをする過程で発見が多くて、弾く1音1音が勉強と言うか発見と言うか、感動でした。具体的に「4GET ME NOT」で言うと、Kenさんの意見でAメロBメロとサビを全部同じコード進行にしたんです。もともとのデモは違っていて、俺の中ではすごくシンプルに作ったんですけど、Kenさんが「もっとシンプルにしよう」と。同じコード進行でAメロからサビまで表現しきることを学びました。あと音の隙間ですね。音のない意味とか、「音が鳴ってない部分に、どれだけ演奏者のフレーバーを感じられるかが大事だよ」っていうことを教わった気がします。
すごく美しい風景が見える歌が録れた
──夕霧さん、別れを歌詞のテーマにされたのはどういう経緯ですか?
夕霧 曲を聴いたときに、高級ホテルの最上階で、大きい窓から風が入ってきてカーテンがそよいでいる情景が浮かんで。そういう場所での別れや涙が似合う大人っぽい曲だなと。高級感があってラグジュアリーな雰囲気だけど決してハッピーではないと言うか。悲しい過去を歌った歌詞が似合う曲だと思ったので、Kenさんと歌詞を書く前に打ち合わせをしたんです。最初は「FOR GET ME NOT」というタイトルにしようと思ってたんですけど、Kenさんから「表記をいじって面白くできないかなあ」という意見があって。それで “for”を“4”にしたら、「キャッチーになるよね。一気に曲がデイジーのものになった」って言ってくださったんです。
──確かにとても情景が見える歌詞ですが、言葉はすごく少ないですよね。夕霧さんの中にあるストーリーから言葉を削ぎ落として凝縮したのかなと感じました。
夕霧 そうですね。まず自分の中でストーリーを組み立てて。こういうふうに始まって、この道を一緒に歩いて、ここでさよならして、ここで泣いたんだよな、って。でもそのまま書いたら200文字ぐらいになるから、言葉を削って削って一番おいしい4文字を取り出す、みたいな。そういう作業が本当に大変でした。
──歌に関しては、どんなやり取りをされたんですか?
夕霧 大事な大事なシングルなので、気合いを入れていつもより慎重に大胆に攻めつつも丁寧に歌って、「すごくいいのができた!」と思ってKenさんに聴いてもらったら「もっといいのができるよね」って言われたんです(笑)。「もっと深みとか情景を声に乗せられないかな」と、具体的にやり取りしながら録っていったので、ボーカル録りだけで丸1日かかりました。時間はかかったけど、すごく大人っぽい独特な色気と、インスタ映えするような美しい風景が見える歌が録れたと思います。
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「これは想像を超えた!」と言わしめたカップリング
- DaizyStripper「4GET ME NOT」
- 2018年1月24日発売 / Victor Entertainment
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初回限定盤A [CD+DVD]
1944円 / VIZL-1304 -
初回限定盤B [CD+ブックレット]
1944円 / VIZL-1305 -
通常盤 [CD]
1296円 / VICL-37350
- CD収録曲
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- 4GET ME NOT
- ラビットファンタジーパレード
- 初回限定盤A DVD収録内容
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- 「4GET ME NOT」MUSIC CLIP
- MAKING
- DaizyStripper Tour 2018「4GET ME NOTパレード」
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- 2018年1月12日(金)東京都 WWW X
- 2018年1月26日(金)宮城県 仙台MACANA
- 2018年1月27日(土)宮城県 仙台MACANA
- 2018年2月2日(金)福岡県 BEAT STATION
- 2018年2月3日(土)福岡県 BEAT STATION
- 2018年2月10日(土)大阪府 FANJ twice
- 2018年2月11日(日・祝)大阪府 FANJ twice
- 2018年2月17日(土)北海道 COLONY
- 2018年2月18日(日)北海道 COLONY
- 2018年2月24日(土)愛知県 伏見JAMMIN'
- 2018年2月25日(日)愛知県 伏見JAMMIN'
- 2018年3月3日(土)福島県 clubSONICiwaki
- 2018年3月4日(日)福島県 clubSONICiwaki
- 2018年3月10日(土)東京都 下北沢GARDEN
- 2018年3月11日(日)東京都 下北沢GARDEN
- DaizyStripper(デイジーストリッパー)
- 夕霧(Vo)、まゆ(G)、なお(G)、Rei(B)、風弥~Kazami~(Dr, Piano)からなる2007年3月結成のヴィジュアル系ロックバンド。夕霧の美しいハイトーンボイスと、風弥が中心となって制作するキャッチーなメロディに定評がある。2008年2月に1stシングル「ダンデライオン」を発表し、オリコンインディーズウィークリーチャートで1位を獲得。2010年には東京・日本青年館と東京・SHIBUYA-AXでの2DAYSライブ、2011年には台湾で初の海外単独公演を開催した。コンスタントにリリースを重ねる中で、2016年にはバンド初となる47都道府県ツアーを実施。結成10周年となる2017年にシングル「AGAIN」でビクターエンタテインメントからメジャーデビュー。2018年1月にKen(L'Arc-en-Ciel)プロデュースによるメジャー2ndシングル「4GET ME NOT」を発表する。