CYNHN特集|“青い”ボーカルユニットが初のZeppワンマンで届ける二度と見られない景色

CYNHNが5月1日に初となる東京・Zepp DiverCity(TOKYO)でのワンマンライブ「CYNHN ONE MAN LIVE『Blue Cresc. -ν-』」を開催する。

Zepp DiverCity(TOKYO)はCYNHNにとって単独公演では過去最大規模の会場。音楽ナタリーでは本ライブに向けて、CYNHNにインタビューを行い、4人にライブへの意気込みや2月にリリースされた2ndアルバム「Blue Cresc.」のレコーディングエピソード、今後の展望を聞いた。

なお、この取材は4月上旬に行われたが、直後に新メンバーが加入することが発表され、Zepp DiverCity公演は綾瀬志希、月雲ねる、百瀬怜、青柳透の4人体制でのラストライブとなる。

取材・文 / 西廣智一撮影 / 大川晋児

5年を経て生まれたファミリー感

──音楽ナタリー初登場ということで、CYNHNの中での皆さんの役割や魅力を、他己紹介形式で伺えたらと思います。まずは、月雲ねるさんについてお願いします。

百瀬怜 「水生」とかの衣装デザインを担当していて、CYNHNのことを衣装で表現してくれるおしゃれ番長的な存在です。

青柳透 ねるちゃんが考えてくれた“ねるちゃんコーデ”でイベントに出ることもあって。

綾瀬志希 あと、踊りがすごく上手。TikTokを撮るときやみんなで練習しているときに、率先していろいろ教えてくれます。

青柳 ただそこにいるだけで、すごく華があって。歌っても踊ってもねるちゃんだなって、すぐわかる。

綾瀬 声色も特別というか、なかなかいない感じがするしね。

月雲ねる ……です(笑)。

月雲ねる

月雲ねる

──続いて百瀬怜さんについて。

綾瀬 MC担当というか、トークを回してくれる役割で。うちら3人(青柳透、綾瀬志希、月雲ねる)はほぼボケなので、それを1人でツッコミ担当としてまとめてくれます。

青柳 でも、たまにボケたりしてるよね(笑)。

百瀬 してるね(笑)。

綾瀬 百瀬も踊りがすごく上手で、「くもりぎみ」や「wire」では振り付けも作ってくれて。

青柳 あと「客観的に見て、こうなんじゃないか」という意見をくれたり、みんなの精神的支柱になってくれている気がする。

綾瀬 船乗りだったら、舵を切ってくれるような存在。あと、カメラも得意。オフショットを撮ってくれて、普段ファンの皆さんが見れないような私たちの瞬間を切り取るのが上手なんです。

──では、次は青柳透さんについて。

百瀬 グッズのデザインをいっぱい考えてくれて、そういう制作面で引っ張っていってくれています。

綾瀬 色彩感覚が繊細。ちょっとした色味に関しても理想が頭の中にあって、それをちゃんと1つの作品として完成させられる。毎月16日を“とおるの日”としていて、その日にグッズを出しているんです。ついこないだまで大学生だったんですけど、弱音も吐かずに仕事と勉強を両立させてきた、決めたら最後までやりきる強い子です。

百瀬 あと、シンプルにムードメーカー。

綾瀬 笑いの天才。この子がいるだけで場の空気がパッと明るくなる、電球みたいな存在かな。

月雲 そして、一番年下だからか甘え上手な気がする(笑)。うちらも甘えられたら嫌な気がしないし、そこでまた和みます。

青柳 それ、猫やん(笑)。

──(笑)。最後は綾瀬志希さんについて。

青柳 先日、「水の中の」のミュージックビデオをアニメーションで作ってくれて。

百瀬 アニメが作れちゃうって、すごいよね。しかも独学で、着実に上達していて。たぶん、自分で前回の反省点を踏まえて、どんどんうまくなっているんだと思う。さらに楽器も弾けるし、歌も上手だし、しゃべったら面白いし、多才だよね。

青柳 同じメンバーだけど感動しちゃうよ。

月雲 メンバーや大事な人に対しての思いやりや、優しさもすごくあるし。

綾瀬 褒めてもらえてハッピーです(笑)。

青柳 やっぱりCYNHNのお姉ちゃんだなって思う。

綾瀬 ありがとうございます。

──皆さんのお話を聞くと、4人のバランスが均等に取れている印象を受けました。

百瀬 確かに。

綾瀬 自分たちでも「こんなに仲いい人たち、いるんだろうか?」って、よく思います。

CYNHN

CYNHN

──4姉妹で例えるとしたら、誰が長女で誰が末っ子になるんでしょうね?

百瀬 間違いなく(綾瀬を指差し)長女、(青柳を差し)末っ子。私とねるちゃんが真ん中ですね(笑)。

月雲 うん(笑)。

青柳 2人(百瀬、月雲)とも空気を読んでくれて、真ん中っぽいし。

綾瀬 それはある。

百瀬 でも、最初の頃はもうちょっと不ぞろいだったかな。

月雲 5年も一緒にやっていると、ファミリー感が出てくるよね。

青柳 最初はみんなに甘えられなかったし。

綾瀬 確かにもうちょっとクールなイメージだったかな。

青柳 でも、今はみんなにニャンニャン甘えています(笑)。

──最初の頃は、お互いどこかライバルみたいな意識もあったんでしょうか。

百瀬 私はみんながすごすぎて、劣等感が半端なかったな。ほかの3人が才能がありすぎて、それに追いつけない。「なんでここにいるんだろう?」みたいな気持ちが強かったです。

青柳 「こんなにすごい人たちとできるんだから、もっとがんばらなきゃ」「追いつかなきゃ、追いつかなきゃ」ってみんなが思っていたよね。

綾瀬 うん。全員が全員、「私、もっとがんばらなきゃ」って。

進化の過程を見せられた1枚

──結成から約5年、現編成になってから1年以上経ちましたが、4人編成で初のアルバム「Blue Cresc.」も2月に発売されたばかり。クールでひたすらカッコよく、最後まで気持ちよく楽しめる1枚でした。

一同 ありがとうございます!

──既存曲を現メンバーで再録音した楽曲も多く含まれていますが、そういったところからも成長がダイレクトに伝わりますし、グループとしての個性が1つの完成の域に達した1枚でもあるのかなと思います。発売から2カ月経ちましたが、改めて皆さんにとってどんな作品になりましたか?

綾瀬 過去の楽曲を再レコーディングする機会自体があまりないのでありがたかったんですけど、レコーディング中は当時の自分を超えなくちゃと焦っていました。改めて「Blue Cresc.」を聴いてみると、昔の自分を背負った今の自分がそこにいて、なおかつまったく新しい1つの作品として楽しめる1枚になったと思います。

綾瀬志希

綾瀬志希

月雲 私もオリジナルバージョンよりグレードアップしていることを証明したいと思いながら再レコーディングしました。それがちゃんとできたのか自分ではまだわからないんですけど、リリースしてからTwitterを見ていると、ファンの方以外にも「すごくいいね」「初めて聴いたけど、このグループいいじゃん」みたいな反応をいくつも見つけられたので、安心しているところです。

百瀬 私は個人的に、すごく難しいレコーディングでした。特に再レコーディングは当時の思い出や記憶を引きずって、歌っているときに苦しく感じてしまって。自分はそういうタイプではないと思っていたので、驚きでした。でも、完成したアルバム自体はいろんな人に「CYNHNってこういうグループです」と改めて紹介できるような内容になったんじゃないかなと思っています。

青柳 私は進化の過程を見せられた1枚なんじゃないかと思います。曲によってはオリジナルバージョンから再レコーディングまでのスパンが短かったけど、それでもしっかり成長していることが伝わると思うし、そのときの最高の歌を表現しつつ成長の変遷も表せたんじゃないかな。

──個人的には中盤の流れがすごく気持ちよくて、それこそ「夜間飛行 -ν-」「水の中の」前後の流れはこのグループにしか出せない空気だなと思いました。

百瀬 うれしいです。

綾瀬 個人的に、物語を読んでいるような作品集だなと思うんです。1曲目から最後の曲までの流れや空気が、本のページをめくっていくごとにだんだん濃くなっていったり、そういう1枚かなと。

青柳 CDのブックレットも、ページをめくるごとに青さが濃くなっていくし。

綾瀬 アルバムのタイトル通りにね(Cresc.は「次第に強くなる」の意)。

──特に印象に残っている曲、注目してほしい曲を1曲挙げるなら、皆さんどれを選びますか?

綾瀬 全部聴いてほしいけど(笑)、個人的にすごく気に入っているのは、「ごく平凡な青は、 -ν-」。もともとはコロナのステイホーム期間中に出したシングル曲なんですけど、新しい、いろんな意味でガラッと変わった曲だなと思っていて。曲とともに私たちもライブを重ねながら成長しているので、それも相まって新しいCYNHNを表せていると思うので、お気に入りです。

青柳 私はやっぱり「アンサンぶる」かな。ライブでぜひ聴いてほしいし、私も聴いているだけで早くライブがしたくなる推し曲です。

月雲 私は「2時のパレード -ν-」という曲。ほかの曲もそうなんですけども、再レコーディングするときにコーラスも全部録り直していて、特にこの曲はコーラスが細かく組み込まれているので、そこにも注目してほしくて。それに、最近CYNHNを知った人は再録バージョンを聴いてからオリジナルを聴くことで、「こんないい曲が2年も前に出ていたんだ!」と驚いてもらえるかなと。なので、オススメです。

百瀬 私は3人とはちょっと視点が異なるんですが……歌っていて初めて「苦しい」と感じて印象に残ったのが「インディゴに沈む -ν-」。オリジナルバージョンを録ったときは歌詞の理解度が低かったのか、時間が経ってから歌い直してみると以前は感じることのなかった苦しさがあって。こういう感情になったのは初めてだったので、そういう意味でも貴重な1曲ですし、聴いている人にも何か伝わればいいなと思っています。