May'nインタビュー|Cygamesコーポレートアニメーションムービーのテーマ曲で見せる、今までの歌手活動の集大成 (2/2)

今までのキャリアをすべてつなげて歌った楽曲

──レコーディングにかなり苦労されたとのことでしたが、キー以外にも大変な部分があったんですか?

何より難しかったのは、民謡のような歌い回しですね。もともと「May'nは演歌っぽい歌い方」と言われることがあるんですけど、実際にその道を通ってきたわけではないので、本格的に求められると大変で。これがゆったりした楽曲でしたら、まだできるかもしれないんです。バラードを歌うときは、こぶしのようなものを入れたりしてきたので。でも、BPMが180ぐらいあるロックテイストの曲で、こぶしを細かく効かせていくのは私にとって初めてのチャレンジでしたし、今まで雰囲気でやっていたものをコントロールしながら決め打ちで入れていくのはテクニックがすごく必要で。あとは地声と裏声のバランスも難しかったです。サビはグッと開いて……というように、私の楽曲によくある歌い方で歌いやすかったんですけど、Aメロにメッセージや感情を込めすぎるとファンタジーな雰囲気に合わないので、実態がつかめないような歌い回しにしたいなと思っていて。その差を見せるのはこだわった点です。特に前半は、今までの楽曲にはないような歌い回しでしたので、新しい試みでした。途中で転調するし、テンポもかなり変わるんですよ。途中でBPMが80ぐらいに落ちて、また180近くまで上がって……4/8というすごく取りづらい拍子になったりもして。「これは果たしてライブで歌えるのだろうか……」と思いながらレコーディングしていました(笑)。でも、苦労した楽曲は確実にライブで盛り上がるし、熱量を込められていると思うので、今後ライブでみんなと一緒に楽しんでいけるという手応えをすごく感じましたね。

May'n

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──キャラクター総出演のムービー同様、1曲の中にさまざまな要素が入っているんですね。

そうなんです! 歌っていると「なんでこの曲はこんなに難しいんだろう。なんでこんなに体力を使うんだろう」と思います(笑)。今までもアニメやゲームの楽曲はたくさん歌わせていただいたんですけど、この曲は私1人の喉や体じゃ足りないんじゃないかというぐらい、さまざまなパワーが必要な楽曲でした。ゲームアプリやアニメ、たくさんの作品が関わってる楽曲だからこそ、1つの曲に収まらないほどの愛情あふれる楽曲になっているんだと思います。10周年を迎えたCygamesさんの熱い思いも込められた楽曲ですし、「日本だけじゃなくて世界中の人に届けるんだぞ」という皆さんのパワーも感じられるので、「生半可な覚悟では歌えない楽曲だな」と思いました。

──それだけに、歌い終えた今は達成感もあるのではないでしょうか。

例えばこれが5年前の私だったら歌えなかったんじゃないかなと思うんです。たくさんキャリアを重ねさせてもらったからこそ歌うことができたなと。今はミュージカル(「フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~」)の稽古の真っ最中で、その中でのレコーディングだったんですけど、だからこそミュージカルの歌い方ができたと思います。特に前半の裏声はミュージカルを経験していないときには確実に歌いこなせなかったと思うので、自分の今までのキャリアをすべてつなげて歌うことができました。

──Twitterを拝見していても、連日忙しいスケジュールですもんね。レコーディングの前後は喉を休ませる方も多いですけれども。

むしろ喉を休ませていたら歌えなかったかもしれないです。ずっと歌い続けてきた喉だからこそ、歌えたんじゃないかなと思います。

こんなMay'nもいたんだ!

──ちなみにMay'nさんは、Cygamesが携わっているゲームやアニメの中でお気に入りのタイトルはありますか?

もともとアイドルの作品やかわいい女の子ががんばっている作品が好きなので、ゲームだと「デレマス」(「アイドルマスター シンデレラガールズ」)や「ウマ娘」が好きですね。どんどん育っていったり、仲間が増えていったりする展開が素敵です。「グランブルーファンタジー」も好きです。あれはアニメを観ているような感覚で、「今のゲームってこんなに豪華なんだ!」と思いましたね。あと最近だとアニメ「ゾンビランドサガ」にめちゃくちゃハマりました! あの作品もフランシュシュというアイドルグループが育っていくドキュメントアニメとしてめちゃくちゃリアルな部分があると思うんです。だけどゾンビだから、あくまでファンタジー作品だし、絶対にありえない展開もいっぱいあって。みんながさまざまなものを抱えながら成長していくドラマとして「がんばれーっ!」って応援しながら観てました(笑)。私もステージに立つ身として、緊張でドキドキするけどファンの人に勇気をもらうところとかすごくわかるし、大好きな作品です。私、号泣しましたもん(笑)。爆笑しながら号泣できる作品は「ゾンビランドサガ」くらいだと思います。

──デビューした頃のMay'nさん自身と重なる部分もありますか?

そうですね。私は9歳からオーディションを受けていて、SPEEDさんやモーニング娘。さんに憧れて「自分もあんなふうにステージに立ちたい!」と思った小学生時代を過ごしているので、かわいい女の子ががんばっているアニメが好きなのかもしれないですね。

May'n

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──では最後に、これから「Follow Your Fantasy」を聴かれる皆さんにメッセージをお願いします。

約15年間活動を続けてきたからこそのMay'nの引き出しの幅広さを存分にこの楽曲に込めることができました。May'nのロックな面を聴いてきた方、逆にMay'nのバラードが好きだと言ってくれる方も「こんなMay'nもいたんだ!」とワクワクしていただける楽曲になったんじゃないかと思います。ムービーを見るだけでCygamesさんのゲームの幅広さを皆さんに改めて感じていただけると思いますし、誰でも「この作品好きだな」と思えるゲームに出会えると思うんです。なのでこの年末年始、音楽もゲームも存分に楽しんでいただけたらうれしいです。

──レコーディング直後にもかかわらず、たくさんお話を聞かせていただいてありがとうございました。ちなみに年末年始のご予定は?

12月29日までミュージカル(「フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~」東京公演)で、年明けすぐに大阪と名古屋公演が始まるので、オフはないですね(笑)。あと、12月25日には「May'n Xmas」と題したスタジオ配信ライブもあるので、こちらもたくさんの方に見ていただけたらうれしいです。今回はみんなの日常に寄り添う音楽をお届けします。来年はできるかどうか確実ではないですけど、今までのように全国ツアーや海外ツアーもしていきたいと思っているので、「Follow Your Fantasy」を生で皆さんにお届けできる日が来ることを楽しみにしています!

加藤裕介(「Follow Your Fantasy」作曲・編曲担当) コメント

今回こちらの楽曲制作依頼をいただいたとき、資料を見てまず初めに感じたのは、考えるべきことがいろいろたくさんあって大変だ!ということでした。

その中でも特にこだわった部分としては、国内だけでなく海外に向けても公開するにあたり、日本のゲームやアニメーションの素晴らしさが伝わるような強さを持った曲にするということです。

幸い日本には誇るべき和音階と和楽器がありますので、それらを駆使して制作するという基本方針が初期の段階で決まりました。

そして、日本風な旋律というものは海外のさまざまな国の民族音楽にも共通する部分が多いので、うまく海外の音楽との融合を果たせば世界中の皆さんに伝わるのではないかと思い、何度も試行錯誤を重ねました。
最終的に、日本の要素を中心としつつ海外の皆さんにもそれぞれ何か感じ取っていただけるような、壮大な曲ができたと思います。
(制作時間も壮大にかけさせていただきました汗)

世界中たくさんの方々に聴いていただけるとうれしいです。

山本健(Cygamesコーポレートムービー監督・コンテ・演出) コメント

この映像は業界の人間なら知らない者はいないようなベテランから才能あふれる新人まで、実力派ぞろいの本当に素晴らしいスタッフの皆様のお力でなんとか成り立っているのではないかと思います。私自身、彼らの仕事を間近で見る機会に恵まれて大変幸福でしたし、彼らの才能がそのままうまく画面に現れてくれればと願って作りました。ぜひ皆様にも見ていただければと思います。
またCygames様へ、この度は10周年おめでとうございます。自分は今年TVアニメ第2期を観たのをきっかけに「ウマ娘」をプレイし始めたのが初Cygames作品という新参者ですが、楽しんで遊ばせていただいております、今後とも応援しております。

May'n

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公演情報

「May'n Studio Live 2021『May'n Xmas』」

2021年12月25日(土)19:00~
※本公演は配信にて開催。

出演情報

ミュージカル「フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~」

  • 2021年12月8日(水)~29日(水)東京都 日生劇場
  • 2022年1月8日(土)・9日(日)大阪府 梅田芸術劇場 メインホール
  • 2022年1月15日(土)・16日(日)愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール

プロフィール

May'n(メイン)

ポップスからロック、ダンスミュージック、R&Bと幅広く歌いこなす女性歌手。これまでアニメ、ドラマ、映画、ゲームの主題歌を担当し、数多くの作品がトップチャートにランクインしている。東京・日本武道館や神奈川・横浜アリーナで単独公演を開催したほか、海外でも積極的に活動しており、海外ツアーや世界16都市での単独公演を実施。さらに中国のSNS・Weibo発のアワード「WEIBO Account Festival in Japan」で日本人初の3年連続受賞を達成し、中国・深圳で開催されたアワード「ASIAN MUSIC FESTIVAL 2019」では日本人で唯一受賞を果たすなど、特に中華圏では絶大な人気を誇る。2021年11月にはダブルタイアップとなるシングル「オレンジ」をリリース。同年12月からは、マンガ「北斗の拳」を原作としたミュージカル「フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~」にてヒロイン・ユリア役を務める。