“みんなの青春の一部”として輝き続けた時間
以降、チコハニは数多くのアニメ作品とのタイアップシングルや、ユニットが持つ音楽性の幅を提示するオリジナルアルバムを続々とリリースしながら、シーンを駆け抜けていく。その中で外せないのが、HoneyWorksが2013年から本格的に展開し、女子中高生を中心に絶大な人気を得ているプロジェクト「告白実行委員会 ~恋愛シリーズ~」の存在だろう。楽曲を通してさまざまなキャラクターの恋愛にまつわるストーリーを表現し、マンガや小説などともメディアミックス展開していくことで、その世界観を鮮やかに描き出していく。チコハニとしてもそのプロジェクトに沿った楽曲をいくつも生み出してきた。
「4枚目のシングル『恋色に咲け』は、『告白実行委員会 ~恋愛シリーズ~』をもとにしたアニメ映画「ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~」のオープニングテーマだったんですよ。そのときにHoneyWorksファミリーに参加できた実感が沸いたし、それをみんなが受け入れてくれたことがすごくうれしかった。『告白実行委員会 ~恋愛シリーズ~』の楽曲は主人公のキャラクター像が明確なので、それを壊さないように、その子になりきって歌うのが楽しくて。通常のチコハニ楽曲とはボーカルのアプローチが違う部分もあるので、その両方をチコハニという1つのユニットの活動の中で楽しんでいただけるところは大きな魅力になっているんじゃないかなと思います」
「告白実行委員会 ~恋愛シリーズ~」を含め、“恋愛”というモチーフがチコハニ楽曲の大きな軸になっていることは間違いないだろう。感情の機微や時代のムードを繊細にすくい取りながら描き出される詞世界は圧倒的なリアルさを持っている。だからこそ、今まさに青春時代を送っている中高生を筆頭に、多くの人の胸を甘酸っぱく、切なく揺らし続けているのだろう。
「チコハニはみんなの青春の一部として、みんなの人生に関わっている存在だなってすごく感じるんですよね。そこで大事なのは、ファンのみんなとの距離が近いところ。楽曲を聴いたときにパッと景色が想像できて、そこに憧れや共感をいだける距離の近さ。みんなから遠くない存在だからこそ、『日々を生きるうえで支えになっています』と言ってくれる学生の子や、『曲を聴いてかつての感情を思い出したことで、今の自分により熱心に向き合えるようになりました』という大人の方がいてくれるんだと思いますね」
コンスタントな楽曲リリースと並行して、ライブ活動も精力的に行ってきたチコハニ。2016年に渋谷・WWWで初ワンマンを開催後、同年6月には初のホールワンマンを中野サンプラザホールで行い、7月からは初のツアーを開催した。そして2018年には日本武道館公演、2019年には武蔵野の森総合スポーツプラザ(現:京王アリーナTOKYO)2DAYS公演を成功させるなど、その規模を拡大し続けてきた。
「会場の規模がどんどん大きくなっていくのは、チコハニがたくさんのみんなに認めてもらえることの証明でもあるのでうれしかったですね。ただ、そのスピードが速かったので、正直プレッシャーもありました。その都度、Gomさんやshitoさん、バンドメンバーの皆さんに改善点を指摘してもらったりしながら、自分の中のハードルを越えていく。そして、また次のライブで新たな課題を抱える。そんなルーティンでここまで進んできた感じです。その中で、初めての武道館公演は、1つ大きな自信を手に入れるきっかけになったような気がします。ライブごとにネガティブな感情に襲われていた自分が、やっと堂々としたパフォーマンスができた実感があったというか。チコハニとして表に立つのは私なので、その責任をより強く実感した場でもありましたし。その後、5周年を迎えたあたりで、チコハニとしてのライブスタイルが明確になってきた感覚もありました。言葉にするなら、“カッコいいCHiCOを見せる”ということ。私はみんなにとってのヒーローみたいな存在でありたいので、ロックバンドのボーカルっぽい立ち振る舞いを強く意識するようになりましたね。チコハニは青春を描いた楽曲がたくさんあるので、かわいいイメージを持たれることが多いんです。でも、ライブを観た方から、ちょっとした驚きとともに『ライブならではのよさがあるよね』と言っていただけるようになったのが自分としてはすごくうれしいです」
順風満帆に歩みを進めていたチコハニだが、2023年4月から一時的な活動休止期間に突入する。その理由は、CHiCOが1人のボーカリスト、アーティストとしてのさらなるスキルアップを果たすため。同年7月に配信シングル「光のありか」でソロデビューを果たしたCHiCOは、そこからさまざまなクリエイター、アーティストとともに楽曲制作に励み、ソロとしてのライブも精力的に行ってきた。
「シンガーとしてできることを増やしたいという思いが強かったんですよね。ソロとしてHoneyWorksさんとは違う方々と楽曲制作することは本当に勉強になりました。自分の未熟さを再認識する部分もあったし、じゃあそれを成熟させるためにはどうすればいいのかということも、すごく考えることができた。結果、言わば自分にとってのホームであるチコハニという場所に戻ったとき、自分がどう立ち振る舞うべきなのか、何をやっていきたいのかが明確になりました。そういった意味で、とても充実した2年間でした」
“チコハニ第2章”の大きな可能性
そしてチコハニのデビュー記念日である2025年8月6日、約2年間の活動休止期間を経て、待望の再始動が発表されるや、多くのファンが歓喜の声を上げた。ソロとしてスキルを磨き抜いた1人のボーカリストと、その間も歩みを止めず活動を続けていたクリエイター3人が再び手を取り合って、CHiCO with HoneyWorksという大きな船を進め始めた。その最初の到着点となるのが、10月29日に同時リリースされた2枚のシングルだ。19thシングル「くすぐったい。」はテレビアニメ「キミと越えて恋になる」オープニングテーマ、20thシングル「戦場の華」はテレビアニメ「最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか」オープニングテーマとして書き下ろされた楽曲となる。
「『くすぐったい。』はみんなが大好きな甘酸っぱい、胸キュンラブソング。一方の『戦場の華』はゴリゴリのロックチューン。まったく違ったタイプのサウンド感を持つ2曲を同時リリースできることが本当にうれしいですね。チコハニの幅を感じてもらえると思います。今回のレコーディングでは、HoneyWorksの皆さんが求めているものと自分がイメージした歌声にギャップがあまりなかったというか。大まかな方向性は提示していただきましたけど、そこまで細かいディレクションはなかった気がします。それはきっと2年間のソロ活動が生きた部分だと思う。再始動を発表したときには、『俺たちの青春が帰ってきた!』と、みんながすごく喜んでくれていて。そういう声を聞くと、やっぱり私にとってのチコハニはホームだなって実感しますね。でも、だからこそ甘えないように、改めて気を引き締めなきゃという気持ちでいっぱいです。2年という短いようで長い期間、お待たせしてしまったので、ここからはさらに成長した姿をお見せできるように、いろいろな楽曲を届けていけたらなと思っています」
来年1月からは再始動後初となるツアー「LAWSON presents CHiCO with HoneyWorks Zepp tour 2026『HELLO!!』」が東名阪3カ所で開催されることも決定した。さらなる進化を遂げたチコハニの姿をライブという空間でぜひ堪能してほしい。
「2016年にやったチコハニ初のツアーのタイトルは『HELLO』だったんです。今回は2年ぶり、再始動後初のライブだから『HELLO!!』。やっぱり初めては挨拶が肝心ですからね(笑)。ソロを経て、ライブに関してももちろんレベルアップしていると思うので、歌う人間としてそれをしっかりお見せしようと思います。バンドメンバーの皆さんも『俺たちもがんばってたぜ』と言ってくれていたので、ライブ自体、絶対今まで以上の盛り上がりになるはず。チコハニ第2章として新しさを感じてもらえる演出も盛り込もうと思っているので、昔からのファンはもちろん、新しくファンになってくれた方もぜひ会いに来てほしいですね。再始動後は、今までの枠から飛び出して、マルチに活動していけるユニットになれたらいいなと思っています。それがきっとできるという自信が、今のチコハニにはありますね」
──CHiCO with HoneyWorksの活動で印象に残っている思い出は?
CHiCOとの初めてのレコーディングです。HoneyWorksの楽曲に彼女の声が乗った瞬間をよく覚えています。何度もテイクを重ねながら、曲が少しずつ形になっていく過程が本当に刺激的でした。
ファンの皆さんが実際にチコハニの音楽を楽しんでくれている姿を目の当たりにすることができた、CHiCO with HoneyWorksとしての初めてのライブの日も印象に残っています。
──CHiCO with HoneyWorks再始動を迎えた心境は?
再びCHiCOと共に音楽を届けられることを嬉しく思っています。活動休止期間中も、ファンの皆さんから「またチコハニの音が聴きたい」とたくさんの声をいただいていました。その期待に応えたいという想いで、今作に向き合いました。楽曲やMV、ライブを通して、また皆さんにワクワクを届けていけるように力を合わせて頑張ります!
──ニューシングル「くすぐったい。」「戦場の華」の聞きどころを教えてください。
「くすぐったい。」は恋の始まりの高揚感を、チコハニらしい等身大のポップに仕上げた1曲です。聴く人が思わず笑顔になれるような“恋の瞬間”を音で描きました。一方「戦場の華」は、真っ直ぐな意志と覚悟を歌ったロックチューン。チコハニの表現の幅を改めて感じてもらえると思います。どちらの曲も“再始動の象徴”として聴いてほしいです。
公演情報
LAWSON presents CHiCO with HoneyWorks Zepp tour 2026「HELLO!!」
- 2026年1月11日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
- 2026年1月12日(月・祝)愛知県 Zepp Nagoya
- 2026年1月18日(日)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
プロフィール
CHiCO with HoneyWorks(チコウィズハニーワークス)
CHiCOとHoneyWorksによるコラボユニット。2014年に「アオハライド」のオープニングテーマを主題歌としたシングル「世界は恋に落ちている」でメジャーデビューした。その後「まじっく快斗1412」「銀魂°」「ハイキュー!! TO THE TOP」「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」「理系が恋に落ちたので証明してみた。r=1-sinθ」「彼女、お借りします」など数々のアニメ主題歌を担当。“青春胸キュンサウンド”と言われる青春感あふれるメロディと歌詞が10代のリスナーの人気を集める。2018年には初の日本武道館公演を成功させた。2023年4月に「ボーカリストとしてできることを増やしたい」というCHiCOの思いから一時活動を休止。約2年間の活動休止期間を経て、2025年8月に活動再開を発表した。10月に活動再開後初のシングル「くすぐったい。」「戦場の華」を2枚同時リリース。2026年1月より約3年ぶりのワンマンツアー「LAWSON presents CHiCO with HoneyWorks Zepp tour 2026『HELLO!!』」を行う。
CHiCO with HoneyWorks Staff (@CHiCO_Staff) | X

 
 
 
 
 
 
                         
                         
                         
                         
             
             
             
             
             
             
            









 
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                    