動画共有サイトでミュージックビデオが公開されることが当たり前のようになり、さらに音楽のサブスクリプションサービスが一般化するなど、昨今ではスマートフォン1台でより手軽に新旧さまざまな音楽に触れることができるようになった。そこで「Coming Next Artists」の連載コラム5回目ではスマートフォンでの音楽の聴き方にフォーカス。スマートフォンの利用率が高い若い世代を代表してシンガーソングライター・さユりに話を伺い、今の季節に合った選曲や、彼女が感じる若い世代のリスナーの音楽再生の傾向、また音楽を持ち運ぶことのだいご味などを聞いた。

取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 後藤壮太郎

ちょっと寒くなってきた季節に合う曲

──スマートフォンで音楽を聴くのは家の中が多いですか? それとも外出しているときですか?

さユり

やっぱり外が多いですね。歩きながらとか、移動中とか。私、気候に合わせて音楽を聴くのが好きなんです。天気によって音楽の聞こえ方が変わったり、音楽によって街の見え方が変わったりするので、外での音楽は手放せないですね。

──今の季節に合う曲は?

椎名林檎さんの「ありあまる富」っていう曲。ちょうど冬に入り始めた今の時期(取材は12月初旬に実施)にピッタリなんです。最近、歩くときはいつもかけてますね。

──ちなみにご自身の曲で、今の季節に合う曲はありますか?

「プルースト」って曲は秋と冬の間、まさに今ぐらいの季節が舞台の曲です。12月初めのちょっと寒くなってきた季節の匂いを曲にしたものですね。あと「フラレガイガール」もこの時期に合う曲。この2曲は外で歩きながら聴いてほしいですね。

──曲を作るときは季節や景色をイメージしながら作ることが多いですか?

そうですね。例えば「アノニマス」って曲は、匿名の人間があふれている中で自分自身を探している、みたいなイメージが浮かんだ曲なんです。「アノニマス」を聴くときはぜひ雑踏の中で聴いてもらいたいですね。

ちゃんと紙で歌詞を読みたい

──ちなみにスマートフォンで音楽を聴く際、どういったアプリで曲を再生していますか?

さユり

基本的にはCDを買って曲をPCに取り込んでからスマホに入れるようにしてるので、スタンダードな再生アプリで曲を流すことが多いですね。

──最近は配信で音源を入手する方も多いと聞きますが。

アートワークが好きな場合とか、歌詞が読みたいって思ったアーティストさんの音源は絶対にCDで買います。私はちゃんと紙で歌詞を読みたいなって思うんです。アーティストさんがどんなフォントで歌詞を表現してるかも気になりますし。