YouTubeの変わった使い方

──さユりさんの同世代の方はどういう音楽の聴き方をしていますか？

YouTubeで音楽を聴く人が多いと思います。「このアルバムが好き」とか「このアーティストが好き」と言うより、「この曲が好き」って言う人が増えていると思っています。で、「この曲が好き」から広がっていないことも多くて。

──さユりさんはYouTubeをどう使っていますか？

音源化されていない曲をYouTubeで聴くことが多いですね。私、椎名もたさんの「Q」って曲が好きなんですけど、CDとしてリリースされた「Q」とYouTubeで公開されている「Q」はバージョンが違うんです。どっちも大好きなので「Q」はYouTubeで聴くことも多いですね。でも基本的には音楽をアルバム通して聴くのが好きなので、音楽を聴くならやっぱりCDから取り込んだ音源を楽しんでいます。あとYouTubeの変わった使い方なんですけど、個人的な趣味で雨の日にYouTubeで雨の音を再生しながら外を歩くのが好きで……。

──それは、音楽ではなく単純に雨音をわざわざYouTubeで流してるってことですよね？

はい（笑）。雨が降ってる中自分だけが別のどこかで降った雨の音を聴いてるんだって言うところがすごく面白くて、テンションが上がるんです。

──（笑）。ちょっと話を戻しますが、CDでも配信サービスでも楽曲を入手できて、YouTubeにはMVが公開されている中で、さユりさんはご自身の曲をどう楽しんでもらいたいと考えていますか？

CDを手に入れてもらって、アルバムを頭から順番に聴いてほしいって思いは強いですね。今日1日はこのアルバムを聴いて過ごそう、みたいな感じで私の作品が選ばれたらそれはすごくうれしいなって。ただそれだけじゃなくて例えば「学校に行くとき、さユりさんの曲を聴いてます」って言ってもらえるのもすごくうれしい。通学のときって、やっぱり自分を奮い立たせる時間だと思うんです。「今日1日がんばろう」って思うときに私の曲が役に立っているって言うのは光栄ですね。

音楽があると世界の見方が変わる

──話を伺っていて、さユりさんは音楽を楽しむツールとしてスマートフォンをちゃんと使いこなしていますね。

音楽ってたくさん持ち運べることが魅力の1つだと思うんです。例えば本って電子書籍の普及もあってたくさん持ち運べるようになったけど、あまりいろんな人の本を同時に読んだりしないと思うんです。でも音楽はそれこそ朝の時間帯、昼の時間帯、夜の時間帯、急に雨が降ったとき、自然が豊かな場所に辿り着いたとき、みたいな感じでいろんなシチュエーションに合わせて曲を選ぶことができる。そう考えると、いろんな曲を手元に置くことができて、スマートフォンってすごく便利だと思います。

──音楽と出会うためのツールとしてスマートフォンはとても優秀、ということですね。

はい。だから好きな音楽に出会ったら、そのアーティストはほかにどんな曲を歌っているのか、その人が好きなアーティストはどんな人なのか、そうやってどんどん掘り下げてほしいなって思います。音楽があると世界の見方が変わると思うんです。同じ晴れの日でも明るい曲を聴きながら眺める景色と、ゆったりした静かな曲を聴きながら眺める景色は違って見えてくると言うか。あと私、聴いてる音楽で歩くスピードが顕著に変わるんです。早歩きしたいときはちょっとテンポの速い曲を選ぶ、みたいに自分の行動と音楽をシンクロさせる気持ちよさってあると思っていて。そうすることで、例えば歩くのも走るのも苦じゃなくなるし、気持ちや表情にもきっといい影響があると思っています。