コアラモード.|ゆかりの6人が吹き込んだ新しい風

もっと悪くなれ、もっと大人っぽく

──5曲目はTAKUYAさんと共同で制作された「五月雨式ですみません」。かなり面白い曲に仕上がっていますね。

小幡 TAKUYAさんに僕のスタジオへ来ていただいて、「1日に1曲作ろう」っていうTAKUYAさんのイズムにのっとって制作をしていったんですよ。曲作りのスタート段階から一緒に作業していたので、究極のコラボだったと思います。驚いたのはそのスピード感で。僕の家に来てから5分もしないうちにアコギを持って、「じゃこんな感じでやってみようか」っていう(笑)。

あんにゅ ホントに曲を作るためだけに来てくださったっていうスピード感だったもんね(笑)。一切の無駄がない感じで。

小幡 メロディや歌詞に関しても、アイデアが浮かぶスピードが尋常じゃないし。

あんにゅ(Vo, G)

あんにゅ うん。歌詞に関しては私たちも一緒に考えて、採用されたところもあったんですよ。ただ、全部が仕上がってみると「アレ、私の言葉いらないよな」って思えてきちゃうんですよね。それくらいTAKUYAさんの作る世界には別の人が入り込む隙間がない。

──歌詞はセンテンスで聴かせていくというよりは、ワードで押していく感じですよね。

小幡 まさにその通りなんですよ。僕らはセンテンスで歌詞を作っていくタイプだけど、TAKUYAさんはホントに言葉の応酬というか。どんどん言葉が出てくるんですよね。それが面白かったです。TAKUYAさんから湧き出てくるアイデアを録音しながら、並行して僕はアレンジを作り。この曲でのコラボは完全に分業制で進めていった感じでした。

あんにゅ 結果、2日間でしっかり2曲できちゃったもんね。1日目にできた曲もすごくよかったから「もうこれで大丈夫なんじゃないかな」って思ったりもしたけど、2日目にこの「五月雨式ですみません」ができちゃって。もう充実しまくりな2日間でした。

──ボーカルのレコーディングはいかがでしたか? 今までにない表情が感じられる歌になっていると思うのですが。

あんにゅ 今回の歌詞にはちょっと大人なフレーズがあったりもして、普段だったら絶対歌わないような内容なんですよ。それをセクシーに、かわいく歌うのがいいよっていうディレクションをTAKUYAさん自らにしていただきました。

小幡 TAKUYAさんには、コアラモード.が純粋すぎるユニットだという認識があるみたいなんですよね(笑)。だから僕には「もっと悪くなれ」、あんにゅには「もっと大人っぽく」っていうアドバイスをしてくださって。結果、今までの僕らにはなかったチャンネルを引き出していただけたような気はしますね。

あんにゅ うん。ホントに楽しく有意義な経験ができたので、感謝です。

荒井由実と大型犬からの影響

──そしてラストの「思い出の雨が降る」は、キンモクセイの伊藤俊吾さんとのデュエットナンバーです。

小幡 これが一番時間をかけて作った曲ですね。伊藤さんと一緒にアイデアを出し合いながら、それをプールし、いろんなパターンで組み合わせていくパズルのような作り方をしてみたんです。結果、伊藤さんが作ってくださったAメロの歌い出しがすごくよかったので、それに引っ張られる形でそれ以外のパートもできていった感じでしたね。あと全体的な雰囲気としては、あんにゅの中にテーマがあったんだよね?

あんにゅ そうなんですよ。私は荒井由実さんの音楽にすごく影響を受けているんですけど、コアラモード.ではあまりそのテイストが出せていなくって。なので今回は荒井由実さんの曲が持っている空気感、間を再現するような曲にしようということになったんです。あともう1つ、私のロングトーンを聴いてみたいって伊藤さんに言っていただけたので、そこも取り入れて制作をしていったんです。

──伊藤さんとのデュエットはいかがでしたか?

あんにゅ 1番は私だけが歌い、2番は伊藤さんが主メロを歌って私がハモっているので、本当の意味での“THEデュエット”は最後の部分だけなんですけど、2人のニュアンスを合わせるのがなかなか難しかったんです。そこにもけっこう時間をかけましたね。

小幡康裕(Key, G, B, Dr, Programming)

小幡 どんなに合わせようと思っても、個性の違うボーカリストだから声の伸ばし方やスタッカートの仕方がまったく同じにはならないわけですよ。そこをどこまでそろえるべきなのかっていうのは、マスタリング作業のギリギリまで調整してました。そういう意味ではシビアな部分はあったんですけど、いつもとは違うのびのびした環境での作業だったから楽しくできたところもあって。

あんにゅ そうだね。作業は伊藤さんのスタジオでやらせていただいたんですけど、そこには大型犬が2頭いて。レコーディングしてると鳴き声が入ったりしちゃうんですよ(笑)。伊藤さんが庭で犬と遊んでる姿を見ながらメロディを考えたりもしたので、その雰囲気がいい形で曲にも反映したんじゃないかなって思いますね。

小幡 うん、いい影響を与えてくれたと思います。

人の数だけ音楽のスタイルがある

──6曲それぞれでまったく異なる環境、スタイルでのコラボができた本作は、コアラモード.にとって大きな刺激になったはずですよね。

あんにゅ ホントにそう思います。今回の制作を通して、人の数だけ音楽のスタイルがあるんだなっていうことをものすごく感じました。6人の方々とコラボしたことで、コアラモード.には新しい風が間違いなく吹き込んできたと思うし、メロディの作り方、曲の制作方法といった部分では、さっそく影響を受けている実感があったりもしますし。本当にいい経験ができましたね。

──本作の後も「Coalamode.Labo 2018→2019 ~あれもShow! これもShow~」はまだまだ続いていくわけですよね?

小幡 そうですね。「Labo」は続くんですが、その1つの集大成として9月21日に「ONLY TWO!! 2019 SPECIAL<鎌倉>」と題したライブをやります。今年の頭から続けている2人だけでいろんな楽器を取っ替え引っ替えしながらやるワンマンのスペシャルバージョンなんですけど、「空色コントラスト」からもたくさん披露しようと思っているので、ぜひ遊びに来てもらえたらなと思います。

あんにゅ 6人の方々と作った曲を2人だけでやることになるので、どういう形で皆さんにお届けできるかが私たちも楽しみです!