- パーソナリティ
- Tom-H@ck
「Coming Next Artists」第33回に登場するのは、シンガーソングライターとして、また作家としても活躍中のアーティスト・ZAQ。彼女はさまざまなアニメのテーマソングのみならず、国内最大級のアニソンイベント「Animelo Summer Live」でもテーマソングを任されるなど、アニソンシーンから絶大な支持を得ている。最新アルバム「Z-ONE」にも表れている彼女のフレキシブルな音楽性と、あふれるバイタリティはどこから湧き上がってくるのか。同じアニソンシーンで活躍し、プライベートな相談も受けるほど親交の深いTom-H@ckが、その才能の源泉に迫った。
取材 / Tom-H@ck 文 / 臼杵成晃 撮影 / 堀内彩香
- ZAQ(ザック)
- シンガーソングライター。3歳の頃からピアノを始め、音楽大学のピアノ科に進学。学生時代に触れたアニメソングに衝撃を受け、アニソンシンガーを目指すように。ニコニコ動画主催のコンテストでファイナリストとなったことを契機に、2012年、アニメ「未来日記」のキャラクターソング「正義戦隊ゴ12th!!」のサウンドプロデュースを手がけてクリエイターデビュー。また同年10月にはアニメ「中二病でも恋がしたい!」のオープニングテーマ「Sparkling Daydream」でアーティストデビューを果たし、その後もさまざまなアニメ作品に楽曲を提供している。2014年4月には初のオリジナルフルアルバム「NOISY Lab.」を発表。以来順調にリリースを重ね、デビューから5年で通算16枚のシングルを世に送り出した。2018年5月には3rdアルバム「Z-ONE」をリリース。
偽物感すらもZAQの音楽
──新作「Z-ONE」を聴かせてもらって。熱中して最後まで止めずに聴きました。いろいろな印象があって……ひと言で言うと、ZAQというアーティストは今一番熟成されてるんじゃないかなと。
ああー。ありがとうございます。
──いろんなタイプの音楽が作れて、しかもそれが奥深くて。前までのZAQちゃんは、いろんな新しい要素を敏感に取り入れてそれをパッパパッパと出すイメージだったけど、それが深みと説得力を増してきた。
私はいろんな音楽を聴いて、今流行っているもの、メインストリームで通用する部分を自分なりに取り入れながら、カッコいいと思うものに正直に最先端の音楽をスパイスとして自分の楽曲に還元してきたんです。でもそれはどこか「偽物なんじゃないか」という劣等感が常にあって。1つの方向をガチで本気で掘り下げてやってきたわけではないから。私、実はロックをほとんど通ってきてないんです。
──そうなんだ! へえー。
ずっとヒップホップとR&Bで育ってきたので。あとはクラシック。礎にクラシックがあるからこそ、いろんな音楽をやってもちゃんと成り立っているのかなと思います。
──なるほど、そうかもね。吸収が早いもんね。
そうです、そうです。ただ、自分なりにロックをやってみても「これは本当にロックと言えるのだろうか」みたいな疑いを持ちながら作ってきたところがあって。でも「カーストルーム」(2017年8月発売のシングル。テレビアニメ「ようこそ実力至上主義の教室へ」オープニング主題歌)を作ったとき、アシッドジャズがやりたかったのに結局ポップになったんですね。作っているうちに。「また偽物っぽいものを作ってしまった」と思ったんですけど、その偽物感すらもZAQの音楽なんじゃないかと思えたんです。
──いや、本当にそう思う。
ちゃんとZAQの音楽として落とし込むことができるようになったなって。劣等感よりも「これが私っぽい」という納得ができるようになってからは、自分の音楽に自信が持てるようになりました。深みが増した、というのはそういうところかもしれないです。
──大事なことだよね。
今回のアルバムは、それを証明する1枚にしたかったんです。「ZAQというジャンルの音楽をやっていきますよ」という提示になったかなと思います。
“歌う作曲家”だとは思われたくない
──音楽ってそれが細かい積み重ねで音に全部出るから、僕が感じた深みと説得力はその自信から出てるんだと思う。インタビューとかで簡単に口にすることはできると思うんだけど、今回アルバムを通して音楽から如実にそれを感じました。本当にすごいことだと思うし、昔からZAQちゃんのことを知っている身としてはうれしくなりました。
あはは(笑)。「成長したなー」って。
──「ここまで来たかー」と(笑)。純粋に感動したし、今日僕が言おうとしたことをもう先に言われちゃったけど、ZAQちゃんはトレンドを吸収する触覚、嗅覚がものすごく敏感なんだよね。だから時代ごとに違うよね、“ZAQ色”って。
そうなんですよ。ムーブメントがやっぱりあるんでしょうね、自分の中で。
──だから「ZAQって何者なんだ」という感覚がみんないまだにあると思うの。アーティストは何年もやってると「この人ってこうだよね」と印象が確立されるよさもある。でもZAQちゃんは、いまだによくわからない。それがZAQちゃんのよさとして花開いてるのかなと。そこらへん、自分はどう思ってるんだろう。ZAQとは何者であると思ってる?
私は……マルチなシンガーソングライターだと思います。やっぱシンガーソングライターではありたいんですよ。
──そこはデビューした頃からブレてないよね。
ブレないですね。楽曲提供では自分を消す瞬間ももちろんあるけど、自分で歌うときはちゃんと説得力のある歌詞とメロディと、私ならではの音楽をやり続けていくんだという確固たる思いを持った、シンガーソングライターであり続けたいと思ってます。
──なるほどね。ソロアーティストのZAQちゃんと、いろんな人や作品の音楽を手がける作家としてのZAQちゃん、本人の中ではどっちの比重が大きいのかなとずっと思っていて。
そこは自分でも考えているところなんです。自分ではもっとシンガーソングライターとしてバリバリやって、ライブもバリバリやっていきたいんですけど、今求められているのは楽曲提供の部分が大きいと感じていて。「精度の高いアニソン、キャラソンを作る作曲家だ」というイメージが強いと思うんですけど、“歌う作曲家”だとは思われたくないんですよ。「もっと曲だけ作っていろ」と思われるかもしれないけど、例えば椎名林檎さんならそんなふうには言われないですよね。だからこそ、ちゃんと足を使ったシンガーソングライターとしての活動がしたくて、ライブは今以上にやっていきたいと思ってるんです。
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ZAQの原動力
- ZAQ「Z-ONE」
- 2018年5月16日発売 / Lantis
- CD収録曲
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- Zone
- カーストルーム
- 未開トオン
- Last Proof
- ロストグロウ
- -interlude-
- JOURNEY
- BRAVER
- SPEED JUNKY
- ordinary it
- Serendipity
- こころのなまえ
- 初回限定盤Blu-ray収録内容
-
ZAQ LIVE TOUR 2016「NO RULE MY RULE」
2016年10月22日(土)東京・新木場STUDIO COAST- NO RULE MY RULE
- Sparkling Daydream
- ヴィヴァーチェ!
- KURUIZAQ
- hopeness
Music Video
- Zone
- Serendipity
- Last Proof
- カーストルーム
- BRAVER
- JOURNEY