- パーソナリティ
- Tom-H@ck
ZAQの原動力
──そうそう、ライブについても聞きたかったんだけど、ライブはもっとやっていきたいんだね。
やっていきたい! どんだけ会場が小さくても、平日だろうがフェスだろうが、とにかく出ていきたいし……ライブは答え合わせをする場所だと思うんですよ。
──答え合わせ。いい言葉だね。
自分が生み出してきたものが間違いじゃないかどうか、私が生み出した音楽がちゃんと届いているかどうかの答え合わせをする場所。それがもっと欲しいなと思うんです。じゃないと音楽を作っていくモチベーションが上がらないし、私はライブとクリエイトは常に並行していたいんです。
──ライブで答えを確信して、新しい種を拾える。
そうですね。特にワンマンライブだと、私のことを嫌いな人はおそらく1人もいないから「お邪魔します」みたいな気持ちにはならないし、勉強になることが多いんですよね。必ず何か答えを見つけて帰って来られる。ライブの直後って、すごく曲が作りやすくなりません?
──どうだろう……僕は休むかな(笑)。
あっはっは(笑)。ウソでしょ!
──でも作りやすいエネルギーは吸収してると思う。確かに。
Tomさんは何が原動力なんですか?
──昔から嘘偽りなくこう言ってるけど、僕は人の幸せを見るのが大好きなんだよね。
あー、Tomさんはホントそうですよね。大石(昌良)さんとかも言ってるけど、「なんでTom-H@ckという人はこう掛け値なしに人の幸せを喜べるんだろう」って。私は私利私欲のために生きている人間なので(笑)、自分が幸せになりたいから人も幸せにしたいんですよ。それを歌にするのもシンガーソングライターだと思っているので。自分の欲望や願い、悲しさ、痛み……全部を歌にして、それを説得力のあるものとして届けられたら本物だなと思うんです。
──原動力について、今の話を聞いて思ったのは、周りから言われる自分の姿って、自分が思っている自分と違ったりするじゃない? いわゆる反逆心……負の感情による反逆心ではない、“プラスの負”というのかな。
プラスの負……難しいですね。
──前向きな反逆心、と言うのかな。それは人間にとって一番の原動力になると思っていて。ZAQちゃんは「シンガーソングライターでありたい」「外に出て人とのコミュニケーションを取りたい」と考えているけど、作曲家としてのほうが向いているという声もある。でも、もしZAQちゃんが100%作家業にシフトしたら、ものすごい売れっ子になると思うんですよ。すぐにビルが建つくらい儲かるから。
えー?
──なると思う。でも、もしもそうなった場合、きっとエネルギーの減りが早くなる。ZAQちゃんの「歌う作曲家になりたくない」という反逆心は、多彩な楽曲を生み出す才能の原動力になってると思うんだよね。もしかしたら、反逆心がなくなった瞬間にそうじゃなくなるかもしれないから、今のあり方が一番いいんじゃないかなと思った。
そうだなあ。たまに楽曲提供をしたときに「私ならこう歌うな」という気持ちがニョキッと出てきてしまうわけですよ(笑)。「こう伝えればよかった」「こんなふうにディレクションすればよかった」と思うとき、「ああ、私ってやっぱり歌いたいんだな」と思うんです。
5年でシングル16枚
──ZAQちゃんは今デビューして何年目だっけ?
この間5周年で今は6年目ですね。
──えっ、まだそんななんだ。10年ぐらいやってる気がしてた。
そんななんですよ。自分でも信じらんないんですけど、5年でシングル16枚出てるんですよ(笑)。意味わかんないですよね。
──しかもほとんどタイアップでしょ? すごいなあ。それだけ凝縮してるってことだよね。
確かに。5年間の中でいろんなムーブメントがあり、人生もいろいろあって変わってきたし。最初の頃は「人に音楽を渡すなんて信じられない」と思って編曲も全部自分でやって……それが最近、「人の手を借りるってこんなに楽しいんだ、自分の音楽が広がるんだ」ってようやく気付いたんです。
──ついに。
そう、ついに。「絶対にこのアレンジは私からは出てこないわ」って。人によっては、私が自分でアレンジできるからと言って、すごく気を使って私のデモに沿ってアレンジしてくださる人もいるんですけど、「これが俺だぜ!」とドカンと出してくる人もいて、今はそれが超楽しいんですよ。
──わかる。発注する側の喜びが感じられるようになるんだよね。わかるわー(笑)。
そうそう(笑)。「こうきたかー」「コードこうやっていじるんだ」みたいな。私のコードってけっこう複雑だから遊びがないってよく言われるんですけど、大胆に音をぶつけてくれる人もいて。だったら私もメロディをこうしようかなとか、歌い方を変えてみたりもできるので、イマジネーションが広がりますね。「Zone」はコライト方式(作・編曲の分業化)をとってるんですよ。ZiNGさん(凜として時雨のピエール中野、9mm Parabellum Bulletの滝善充、MY FIRST STORYのNob、ANCHORによる音楽クリエイターユニット)に参加してもらって。作曲はANCHORさんとの共作で、アレンジは全員に入ってもらいました。
──なんでそうしたの?
やっぱり人と一緒に何かがしたかったんですよね。もっと音楽の幅を広げたくて。アニソンというジャンルに固執しすぎない、アメリカのハーフタイムショーで使われるぐらいの大きいアレンジにみんなでしようぜっていう。
アニソンというものをアウトプットしたい
──昔ZAQちゃんは「アニソンを作りたい」って言ってたよね。そのあたりの考え方も進化してるのかな。
進化してますね。「何をやってもアニメのタイアップであればアニソンになる」と思ったから私はアニソンをやりたいと思っていたんだけど、最近は“アニソン”というジャンルが固まってきた気がしていて。「これはアニソンっぽい」とか「アニソンらしい」とか。発注を受けるときも「アニソンらしいアニソンを作ってください」と言われることもあって、私が考えていたアニソンはそういうものじゃないなと。もっとアニソンを大きくしたいんですよね。今までは「いろんなジャンルの要素をアニソンにインプットする」という考え方だったんだけど、最近は「アニソンというものをアウトプットしたい」と言うか。
──それは面白い考え方だね。今日イチの発言。勉強になりました。
「いろんなジャンルがあるからアニソン」じゃなくて「アニソンがあるからいろんなジャンルに行ける」みたいな……わかりにくいですか?
──いや、いいと思います。ZAQちゃんも考えてるかもしれないけど……今、音楽業界は大変じゃない? そうなってくるとさ、「日本は鎖国だ」「なんで海外ほど考えないんだ」とかずっと言われていたことについて、ついにみんな本気で考えなくちゃいけないようになってきた。もしかしたらZAQちゃんも、これから海外に目を向けるのもいいんじゃないかなって。海外のアニメやゲームに楽曲提供するとか。
やりたいですねー。あと私あれやりたいんですよ。逆ミスド。
──逆ミスド?
MYTH & ROID(Tom-H@ckを中心としたクリエイティブユニット)みたいに、私がTomさん側になって男性アーティストや男性声優さんをプロデュースしたい。
──男性ボーカルを立てて。それ面白いじゃん! やろうよ!
Tomさんボーカル探してくださいよ。
──そこまでは時間割けないかな(笑)。
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明るく泣かせるのがZAQの真髄
- ZAQ「Z-ONE」
- 2018年5月16日発売 / Lantis
- CD収録曲
-
- Zone
- カーストルーム
- 未開トオン
- Last Proof
- ロストグロウ
- -interlude-
- JOURNEY
- BRAVER
- SPEED JUNKY
- ordinary it
- Serendipity
- こころのなまえ
- 初回限定盤Blu-ray収録内容
-
ZAQ LIVE TOUR 2016「NO RULE MY RULE」
2016年10月22日(土)東京・新木場STUDIO COAST- NO RULE MY RULE
- Sparkling Daydream
- ヴィヴァーチェ!
- KURUIZAQ
- hopeness
Music Video
- Zone
- Serendipity
- Last Proof
- カーストルーム
- BRAVER
- JOURNEY