- パーソナリティ
- ピエール中野
同世代のバンドの音を聴いて感動する
──THE PINBALLSは音楽の出し方1つで一気に世の中に広がっていく可能性を秘めたバンドだなと感じていて。表に出ていくためにやってみたいことって何かありますか?
素晴らしいミュージシャンの音楽を肌で感じて、いろんなことを吸収したいです。
──フェスに出たことはあるんですか?
インディーズでデビューしたての頃はフェスに出させていただきましたけど、最近は大きいものにはほとんど……。
──観に行くこともない?
ないですね。ただのファンとしてほかのバンドを観に行きたくないという悔しい気持ちもあって。やっぱり自分たちも出て競演したいです。
──じゃあ、自主イベントを企画してほかのバンドを呼ぶとか。
それはやりたいですね!
──やるとしたらどのバンドを呼びたいですか?
Large House Satisfaction、The cold tommy、ビレッジマンズストアなど、同世代のバンドたちですね。みんなすさまじくカッコよくて。よく対バンもやっているのでイベントとして目新しいものはないかもしれないですけど、彼らの音源を聴いて感動するんですよね。こんな素晴らしい人たちと自分はライバルなんだなと。
──同世代のバンドってすごく大事で。凛として時雨は9mm Parabellum Bulletやthe telephones、ミドリが同世代なんですよ。音楽性は近くないけど、凛として時雨のファンはその3組も好きな人が多くて、同世代というくくりは大切なものだと思っていて。THE PINBALLSも同世代のメンツで固まってイベントをやっていったらシーンが盛り上がっていくんじゃないかな。
一番近いところにある目標がそこかもしれないですね。
──ゲストで大御所を呼んでもいいと思うし。憧れのミュージシャンって誰ですか?
BLANKEY JET CITYですね。あとはL'Arc-en-Ciel、the pillows、Theピーズ、THE HIGH-LOWSとか。夏木マリさんやピチカート・ファイヴも好きだし、ポップな音楽も聴くんですよ。
──BLANKEY JET CITYはいかにもって感じですけど、曲を聴いただけではわからないルーツもけっこう持ってるんですね。
僕としてはわりと前面に押し出してきたつもりではあったんですけど、もしかしたらTHE PINBALLSの裏テーマはそこにあるかもしれないですね。サウンドは攻撃的ですけど、歌詞はロマンチックなものが好きで。
謎を散りばめたメジャーデビュー作
──「NUMBER SEVEN」はどういう作品にしようと思って作りました?
通算7枚目の作品で、7曲入りにしていることもあって「NUMBER SEVEN」というタイトルを付けました。作品を作るときは毎回テーマを決めているんですけど、今回は7にまつわる曲を収録して、全体を通して聴いたときにも7という数字を感じられるような謎を散りばめました。聴く人にはそれを解いてもらうのではなく、理解できないものがあるという気持ちをプレゼントしたいんですよ。自己満足かもしれないですけど、わからないことがあるっていいことだよねって。砂漠のどこかに井戸が隠されてるから砂漠は美しいと言うか。
──答えが見つからないことの楽しさや魅力ってありますからね。
10年以上続けてるバンドだからファンの方との関係が深くて。そんな愛し合ってる我々でもわかり合えないことがあって、でもそれはいいことなんだと伝えたいんです。
──古川さんはファンと積極的に交流を図ってますよね。Twitterでは丁寧にリプライを返していて。
全部にリプライを返しているんです。でも、それはよくないことなのかなとも思っていて。浅井健一さんはSNSをやってないですし、僕らみたいな音楽性のミュージシャンはSNSをやらないほうがいいのかなと。
──僕は積極的にSNSを活用しているほうですけど、アーティストはSNSをやらないほうが神秘的でいいという意見も世の中にはありますよね。SNSは人間性が見えちゃうから。古川さんは猫好きなんだなあとか(笑)。
よく見ていただいて、ありがとうございます!(笑)
練習は沼
──来年2月には東名阪ワンマンツアーがありますね。どういったツアーにしていきたいですか?
今バンドのコンディションがとてもいいんですが、ツアーまでライブをやらない期間が続いちゃうので、さらにいい状態にしてすさまじいものを見せたいですね。
──じゃあ、来年は攻めまくったほうがいいんじゃないですか?
どうやって攻めたらいいですかね?
──フェスに出まくるとか。出たいフェスはないんですか?
「FUJI ROCK FESTIVAL」の「ROOKIE A GO-GO」に出たいです。
──もう「ROOKIE A GO-GO」じゃなくていいんじゃないですか?(笑)
昔から「ROOKIE A GO-GO」への憧れが強いんですよね(笑)。
──意外とアンダーグラウンド志向があるんですかね。
客が少ないライブハウスでライブを観て感動した経験があるんですよね。「お客さんがいなくても俺はめちゃくちゃ感動してる!」みたいな。
──フェスに行って大きなステージでライブを観て、刺激を受けるのもいいと思いますよ。大きいライブならではのよさもあって。僕もこの間B'zを観て衝撃を受けました。大御所の人たちは、さらによりよい曲を多くの人に提供したいという音楽への執着心がすごいんですよ。
ディズニーランドと同じで、いつも来てくれてる人がいつも満足できるってすごいことですよね。僕らはそこの難しさをすごく感じていて。中野さんって今どれくらい楽器の練習をされてます?
──僕の場合はほぼほぼしてないです。レコーディングやサポートに向けて曲を叩けるようにはしますが、それ以外では練習しないですね。そのときに必要な技術を磨く練習はしますけど。
そうなんですね。基礎のトレーニングって必要だと思いますか?
──基本的には必要ですが、人それぞれだと思いますよ。基礎を意識しなくてもできちゃう人だっているし。逆にそれが魅力になったりする。僕も昔はとにかく練習していて、今は昔からの基礎の蓄積があるので必要になったらやる感じです。練習って沼みたいなもので、いくらでもできちゃって、必要以上の練習をすると逆に足枷になったり、練習することによる満足で満たされちゃうと思っていて。僕はちょっとヨレたり人間味あふれた温度のあるドラマーのほうが好きだし。新曲を披露するときの緊張感が好きで、うまくなりすぎるとそれが減る気がするんですよね。
なるほど……練習は沼ってすごくわかります。僕は今まさに練習をしまくる時期にいると思うんです。中野さんの話は次元が1つ上の話で、僕もそこにいけるようにがんばります!
- THE PINBALLS「NUMBER SEVEN」
- 2017年12月6日発売 / 日本コロムビア
- 収録曲
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- 蝙蝠と聖レオンハルト
- 七転八倒のブルース
- that girl
- ひとりぼっちのジョージ
- 神は天にいまし
- 重さのない虹
- ワンダーソング
ツアー情報
THE PINBALLS「NUMBER SEVEN tour 2018」
- 2018年2月10日(土)愛知県 CLUB UPSET
- 2018年2月11日(日・祝)大阪府 Shangri-La
- 2018年2月23日(金)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
- THE PINBALLS(ザ・ピンボールズ)
- 2006年に結成された、古川貴之(Vo)、中屋智裕(G)、森下拓貴(B)、石原天(Dr)からなる埼玉県出身の4人組ロックバンド。2010年11月にタワーレコードのオーディション「Knockin'on TOWER's Door」で1位を獲得し、2011年3月にタワーレコードのレーベル・Knock up!より初のシングル「アンテナ」を発表した。同年8月に初の全国流通版「ten bear(s)」、2014年9月に初のフルアルバム「THE PINBALLS」をリリース。2015年4月には楽曲「劇場支配人のテーマ」がアニメ「ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン」第3話のエンディングテーマに使用された。2017年12月にミニアルバム「NUMBER SEVEN」を日本コロムビアよりリリースし、メジャーデビューを果たした。2018年2月に東名阪ワンマンライブツアー「NUMBER SEVEN tour 2018」を行う。
- ピエール中野(ピエールナカノ)
- 凛として時雨のドラマー。高度なテクニックに裏打ちされたドラムプレイやステージで見せる独自のマイクパフォーマンスで多くの音楽ファンの支持を獲得している。カオティック・スピードキング、玉筋クールJ太郎のメンバーとしても活躍するほか、DJやコラム連載でもその才能を発揮。2011年より自主イベント「ピエールナイト」を開催している。2011年9月にドラム教則DVD+BOOK「Chaotic Vibes Drumming 入門編」「Chaotic Vibes Drumming 実践編」をリリース。2014年6月にさまざまなアーティストとのセッションを収録したミニアルバム「Chaotic Vibes Orchestra」を発表した。2017年7月には主催イベント「ピエールフェス 2017」を開催した。