Lucky Kilimanjaro「風になる」 PR

Coming Next Artists シーズン2

Lucky Kilimanjaro「風になる」

2019年6月5日発売 / ドリーミュージック

余計な呼称の要らない、堂々たる“ポップバンド”

文 / 金子厚武

この国の“バンドによるダンスミュージック”を牽引し続けるサカナクションが、実に6年ぶりとなるアルバム「834.194」を遂にリリースしたことは、2019年の音楽シーンを語るうえで外せないトピックだ。そして、それは2010年代の総括であると同時に、新たな時代への号砲であり、そのバトンを受け継いで、次の主役となる可能性を秘めているのが、Lucky Kilimanjaroなのではないかと思う。

2014年の結成と、「Next Artists」と呼ぶのが少々はばかられるキャリアの持ち主であり、2000年代のフレンチエレクトロと、2010年代のエレクトロハウスを通過して、現在のロンドンやアトランタへの目配せも感じられるサウンドを手に入れた彼らは、もはや“エレクトロ”や“シンセ”といった余計な呼称の要らない、堂々たる“ポップバンド”として立っている。

4カ月連続リリースの第1弾シングルである「風になる」は、印象的なストリングスのループを基調とした、BPM120の軽快なダンストラック。音数を絞ったシンプルで立体的な作りだが、要所のアレンジからは緻密なこだわりが感じられ、中盤にロングブレイクを挟むいかにもダンスミュージック的な構成ながら、それを3分間のポップソングとしてスッキリ聴かせる中心人物・熊木幸丸の手腕は実に冴えている。

また、アクセントとなるのはサンバ風のトライアングルで、THE BOOMの「風になりたい」を連想させる曲タイトルや、ブラジルの国旗を連想させる緑と黄色の配色によるアートワークはおそらく確信犯。初期のLucky Kilimanjaroは“パーカッションを含む6人編成”という特異性を音源においては生かし切れていない印象もあったが、昨年発表された「HUG」からトライバルな要素を強め、この編成ならではの強みを打ち出している。

2曲目の「君が踊り出すのを待ってる」は、「踊れー!」という煽りが定型となった2010年代のロックフェスに対するアンチテーゼのように受け取ることもでき、江戸アケミ(JAGATARA)の名フレーズ「やっぱ自分の踊り方でおどればいいんだよ」に通じるカウンター精神を感じさせると同時に、“1人ひとりが主体的に考え、行動する”という未来志向の提示でもあると言えよう。

すでに聴くことのできる「風になる」以降のシングル、「HOUSE」と「Do Do Do」も手応え十分の仕上がりで、10月に予定されている新作「FRESH」は、彼らをもう一段高いステージへと導く作品になるはずだ。

Lucky Kilimanjaro「風になる」

Lucky Kilimanjaro「風になる」

[CD] 1080円
MUCD-5353

Amazon.co.jp

収録曲
  1. 風になる
  2. 君が踊り出すのを待ってる
各サブスクリプションサービスで、Lucky Kilimanjaro「風になる」を聴く
Lucky Kilimanjaro(ラッキーキリマンジャロ)
Lucky Kilimanjaro
熊木幸丸(Vo)、大瀧真央(Syn)、松崎浩二(G)、山浦聖司(B)、柴田昌輝(Dr)、奥真人(Per)の6人からなるエレクトロポップバンド。“世界中の毎日をおどらせる”をコンセプトに2014年に活動を開始し、2015年7月に1stミニアルバム「FULLCOLOR」をリリースする。2018年11月に「HUG」でメジャーデビュー。2019年6月から4カ月連続でシングルをリリースし、第1弾「風になる」、第2弾「HOUSE」が現在販売中。8月には第3弾「Do Do Do」、9月には第4弾「初恋」が発売される。そして10月にはこれらのシングル曲をまとめたメジャー2ndCD「FRESH」をリリース。11月には東京・WWWで初のワンマンライブを開催する。