東京力車「唯我独尊SOUL」
2019年6月5日発売 / 徳間ジャパンコミュニケーションズ
いなせな江戸前パフォーマー
文 / 真保みゆき
サッ!サッ!サッ!サッ! 上がれ日本!!(よいしょ!!)
(中略)
サッ!サッ!サッ!サッ! 踊れ日本!!(よいしょ!!)
そう言っちゃうと語弊はあるけど、この2行で“キモ”は言い尽くされていると思う。東京力車の最新シングル曲「唯我独尊SOUL」、そのどアタマから登場する、5人のメンバー全員によるキラーフレーズである。
もう少し意味に即して解説するなら、「武士(もののふ)の血」や「火の国の息子達」といった“和”のイメージをちりばめた歌詞内容にも触れるべきかもしれない。けど、歌っているのは現役の“俥夫”5人。先立っての超大型連休中も、拠点とする東京・浅草で、人力車を牽いての観光案内にいそしんでいた人たちなのだ。EDM調のバックトラックに乗って、観光客ならぬ聴き手を「上げて上げて盛り上げていく」路上発信型の勢いを、まずは素直に受け止めておきたい。
2017年には、パリでの「Japan Expo」とロンドンでの「HYPER JAPAN」、海外2カ所でのお披露目を経験。その後新メンバー3名を迎えて、現在の布陣を整えた彼ら。来年開催される東京オリンピックを見据えて、やんちゃさと折り目正しさとが同居する“いなせな江戸前パフォーマー”たるべく、歌と踊りに磨きをかけている最中なのだろう。路上の先輩格とも言える一世風靡セピアの「前略、道の上より」をカバーしているのも、そんな彼ららしいマニフェストにしてトリビュート。あくまで前のめりに、はっちゃけております。
という一方で、もう1つのオリジナル曲「ARIGATOU」には、しばし俥を止めて見上げた“都会の空”を思わせるような、気持ちのいい感傷性が。こちらの可能性にも、あわせて期待したくなる。
[CD] 1300円
TKCA-74802
- 収録曲
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- 唯我独尊SOUL
- 前略、道の上より
- ARIGATOU
- 唯我独尊SOUL(Instrumental)
- 前略、道の上より(Instrumental)
- ARIGATOU(Instrumental)
- 各サブスクリプションサービスで、東京力車「唯我独尊SOUL」を聴く
- 東京力車(トウキョウリキシャ)
- 東京力車は2020年開催の東京オリンピックに向け、日本の伝統文化である人力車を世界へアピールするために現役俥夫で結成されたユニット。2015年11月にテイチクエンタテインメントよりメジャーデビューし、“和”を基調としたサウンドと男気あふれるアクロバティックなパフォーマンスで話題となる。その後第1期メンバーの全員卒業を受け、2017年1月に行われたオーディションで石橋拓也、7月の追加オーディションで渡邉善央が新プロジェクトメンバーに加入する。2017年7月にはフランス・パリで開催された「Japan Expo」、イギリス・ロンドンで開催された「HYPER JAPAN」に出演し、海外で新体制初ライブを披露した。2018年3月に再び追加オーディションが行われ、白上一成、山田和則、田井裕一の3名が加入して現体制となる。2019年6月に徳間ジャパンコミュニケーションズからニューシングル「唯我独尊SOUL」をリリース。
2019年6月21日更新