どんなジャンルも自由自在、唯一無二の魅力が凝縮された1枚

文 / 日笠麗奈

「よしもと発！めっちゃオモロいアイドルユニット」
つぼみのコンセプトは、よくも悪くも想像が膨らみすぎる。漫才とかするのかな？ 身体を張った笑いはあんまりやめてほしいな、女の子だし……
と、ついつい歌以外の部分ばかり気になってしまうのは、私だけではないはず。

でも、今回のアルバム「9」は、そんな勝手なイメージを裏切る……のではなく、イメージのその先をゆく、唯一無二の魅力が凝縮された1枚。

まず1曲目「All tag need」では、「売れたいねん 売れたいねん」とストレートすぎる歌詞をあまりにも伸びやかに歌い上げるもんだから、思わず笑ってしまう。ポップな電波サウンドも手伝って、切実なのに痛々しさはまったくなし。自虐を売りにするアイドルは少なくないけれど、これほど引き込まれて、心傷めず楽しめるのは稀。さすがよしもと発、ツカミが完璧です。

そのあとは王道アイドルチューンから、わちゃわちゃ自己紹介ソングまで、繰り出される楽曲がとにかく多彩で器用。最初は“オモロい”のほうに気を取られがちですが、どんなジャンルも自由自在に歌いこなす彼女たちは、聴き進めるほどに紛れもなく“アイドル”。いや、超実力派アイドル。
収録された14曲を通して聴くことで、「めっちゃオモロいアイドル」としての説得力がいかんなく発揮される構成になっています。

活動8年目でようやくリリースとなった1stアルバム「9」ですが、これだけ濃い1枚を世に放てるのなら、絶対に意味のある時間だったはず。
アイドルの魅力が“フレッシュさだけ”だった時代はもう遠い昔。これからはつぼみが積み重ねたキャリアを武器に、彼女たちにしかできないやり方で、快進撃を展開してくれることでしょう。

ちなみにライブでは、漫才ではなくコントをやっているんですよ。しかも、こちらもかなり本気です。8年じっくり磨き上げたポテンシャル、ハンパない！