枠の外にいる人も振り向かせたい

──さて、ニューシングル「ハレンチ学＆祭」の話題に移りましょう。この曲はタイトルのインパクトもすごいですけど、実際曲のほうもかなりパンチの利いた楽曲ですね。メロディもサウンドも親しみやすくて、本当に一度聴き始めると何度も再生したくなる中毒性がありますよ。

チカラ　そう言っていただけると確信しておりました（笑）。

──タイトルの “ハレンチ”って、皆さんの世代ではそんなに使う言葉ではないですよね？

ジュンタ　そうですね。この曲はシライシ紗トリさんとの共作なんですけど、最初に学園祭というコンセプトがあって、いろいろ話し合ってるうちにこのタイトルが出てきて（笑）。

マーサー（B）　みんな「えっ？」って驚いて。

チカラ　学園祭よりもハレンチのほうのインパクトが強くて、びっくりしましたね。

──サウンドもバンドサウンドとエレクトロサウンドの融合で、今までのシベスカのイメージとは一線を画するものです。

チカラ　やっぱり、常に枠から飛び出したいんですよ。Civilian Skunkを好きな人が入ってる枠をずっと守り続けることもアーティストとして大事だと思うんですけど、枠の外にいる人も振り向かせたい。だから枠を突き破ったらファンのみんなは最初びっくりするけど、最終的にはきっと俺たちについてきてくれると信じてます。今回の「ハレンチ学＆祭」はそういう1曲になると思うんです。

ジュンタ　やっぱり3枚目っていうことで、ほかのアーティストとは全然違うんだけどいろんな人に刺さる勝負曲を出さなきゃいけないと考えてたんで。今回はこういうぶっ飛んだ曲に仕上がりました（笑）。

──メジャーデビュー後のシングル2枚（「DRAGON BOY」「ひまわり / JET」）もそれぞれ方向性が違いましたし、そういう意味では「シベスカってこういうバンドだよね」っていう固定観念をあえて作らないようにしてきた印象もあります。

チカラ　そうですね。シベスカの中でずっと言ってるのは、「ジャンルにこだわらず、自分たちが今やりたい音楽を体現していこう」っていうことで。それは今までのシングル3枚でちゃんと体現できたなと思ってます。

マーサー　それにしても、シングルでここまでいろいろできてるのは我ながらすごいね。

──しかも今回のシングルに収録されているオリジナル曲は3曲ともタイプがバラバラですし。

チカラ　俺たち欲張りですからね。「ハレンチ学＆祭」で学園祭を狙いつつ、「絶叫教室」ではハロウィンも狙ってるっていう。欲張り極まりない。10月は大忙しみたいな（笑）。

若いときにしかできない爆発力のある曲をやりたい

──「ハレンチ学＆祭」は歌詞における言葉遊びも面白いです。ハレンチみたいな前時代的な言葉がタイトルに使われてるけど、歌詞は現代的な表現が満載で。

チカラ　しかも沖縄の言葉もさりげなく入ってますし。サビの「アッチャメ」っていうのは沖縄の方言なんですよ。

──あ、そうなんですね。

ユウイチ（Dr）　でも「アッチャメ」って、僕らくらいの世代でちゃんと意味がわかる人はあまりいないみたいで。

チカラ　「アッチャメ」の「アッチャ」は“歩きながら”みたいな意味で、「メ」が“舞い”のこと。「アッチャメ」は歩きながら踊るってことで、カチャーシー（沖縄民謡にあわせて踊ること）で「アッチャメダンシン」するっていう（笑）。

──なるほど。すごく耳馴染みのいい、キャッチーな言葉ですよね。

チカラ　みんな「ハレンチ学＆祭」っていうタイトルを差し置いて、「アッチャメ」って覚えるんですよ（笑）。この曲、どこまでパンチかましてくんねんみたいな。

──サウンドもメロディも、そして歌詞も頭に残る要素が多いし、何も考えずに楽しめる1曲だと思いました。

チカラ　そうですね。カッコいい曲も好きですけど、ありふれてる気がして。もちろん素晴らしいメッセージを持つ曲もたくさんあるんですけど、そういう曲はこの先もやれるし。俺たちが今何をしたいのかと言ったら、「バカなことしたい」って言ってしまえばそれまでなんですけど、若いときにしかできない爆発力のある曲をやりたいんです。俺たちがバカをやって笑顔が生まれるんだったら、今はそれが一番素敵なメッセージになると思うし。そういうところで迷いを持たずにガンガン攻めていきたいんです。

──カッコよさの部分はデビューシングル「DRAGON BOY」で表現したし、メッセージは前作の「ひまわり」で伝えてますし。そういったこともちゃんとやれると証明した上で、今回みたいなパーティソングをやるからこそ強い意味を持つんだと思いますよ。

マーサー　ありがとうございます。まあ、自分たちがまだやってないようなカッコいいことは、同世代のバンドや年上の方々がたくさんやっているので、自分たちはこういう方向で人を笑顔にさせるのが一番いいのかなと。