ナタリー PowerPush - Cinemaglam

初の本人インタビュー実現 音楽的キーパーソン、Kが真相語る

既存のどのJ-POPとも似ていないJ-POP

──サウンドにはJ-POP的なエッセンスも色濃く出ていますよね。

J-POP的な要素は僕から自然に出てくる部分なんです。でも基本的にはJ-POPの良さを無難になぞるんじゃなく、既存のJ-POPと似ている部分をチェックしてはじいていくっていう作業を徹底してやっていきました。

──確かに、いわゆるJ-POPサウンドでありつつ、じゃあ何か特定のアーティストに似ているかというと、何にも似ていない。

そう感じてもらえたら狙いどおりですね。どんなにカッコいいものができたとしても、このラインを超えると何かに似てくるな、と感じたら、歌い回しでもアレンジでも、いさぎよく変えてその要素を排除するように努力していました。目指していたのはJ-POPフィールドで受け入れられるもの。要するに新しすぎない、でも古くない、とっつきやすいもの。それが近未来ということです。そこは僕なりのバランス感覚ですね。

──最先端を行くのではなく、もっと幅広く受け入れられるような。

わかりやすい部分とアバンギャルドな部分のバランスですよね。思わず覗き見したくなるようなものが“ポップ”だと思うし、例えば僕個人の趣味としても、あんまり過激なものや、度が過ぎるエロスを見せつけられても、ドン引きしてしまうタイプなので。そのさじ加減には気を付けました。

Mの未成熟さがCinemaglamの魅力

──テーマは「LOVE」だとおっしゃいましたけど、実際にCinemaglamの楽曲を聴いてみて、子供が甘えてるような印象を受けたんです。ちゃんとした大人の愛じゃなく、未成熟な部分を残しているというか。「愛してほしい」という欲求ばかりが前面に出ている気がして。

ああ、そのとおりでしょうね。「愛は惜しみなく奪う」という言葉もありますけど、Cinemaglamの場合は、嫉妬とかに到達する以前のわがままな人間の本質みたいなものも表現しているというか。

──Mさんの歌声がさらにそれを強調しているようにも思います。

要するに、Mって全然完全無欠じゃない。隙だらけなんです。完璧になれないが故の不器用さが、結果として力強い表現になっている。このMの未完成な魅力が、Cinemaglamっていうもの自体を引っ張ってるんだと思いますね。

Cinemaglamが誰なのかはどうでもいい

──Cinemaglamは現時点では顔を隠していることもあって、多くの人にはちょっと謎めいた、トリッキーなプロジェクトのように受け取られていると思います。でも音楽的には決して奇をてらったものではないですよね。

そうなんです。そこを届けたいんですよね。音に関しては2年かけてコツコツと、本当に丁寧に作っているし、僕もMもOも相当な熱量の愛をこのアルバムにぶち込んでいるので。

──手塩にかけて作りあげたそんなアルバムがついに世に出るわけですが、今の心境は?

とにかく作品として羽ばたいてほしいです。誰がやっているか、Cinemaglamとはなんなのか。そんなことよりも、作品自体が愛されればいいと思ってます。音楽ってそういうものじゃないですか。特にこのCinemaglamに関しては、得体の知れない部分にフォーカスを当てるんじゃなくて、得体の知れない分だけ音楽そのものに注目してほしいんです。

──なるほど。

「LOVE AVANT-GARDE」という扇情的なタイトルは付いていますが、基本にあるのはグッドミュージックと、非常に大きな解釈での「LOVE」なんです。歴代のポップミュージックが何十年間も担ってきた使命を、僕はCinemaglamっていう記号に託したい。この作品が届いて愛されてほしいと思ってるんです。

──Cinemaglamが誰であるかはどうでもいい。この音が届くべきところに届けばそれでいいということですよね。

はい。MもKもOも、演者としてやりきっていますから。規準は、自分たちが愛せる音楽かどうかということだけ。それこそマーケットリサーチみたいなものもしてないし。見せ方の部分で、確信犯的な“FAKE”が仕掛けられているような雰囲気はあるかもしれないけど、このアルバムの中に詰め込まれているものは、計算ずくでは語れない人間の“REAL”なんです。音楽に注ぎ込まれた僕らの「LOVE」の熱量を感じてほしいですね。

TOWER RECORDS限定 デビューアルバム「LOVE AVANT-GARDE」 / 2011年6月29日発売 / muddy water records / 初回プレス分:980円(税込)/ AMWR-1001 / 通常盤:1470円(税込)/ AMWR-1002

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CD収録曲
  1. LOVEコレクション
  2. サディスティックラブ
  3. I've no name
  4. 君に愛された理由が分からない
  5. 愛ヲ持テ進メ
  6. 愛の罪人
ライブ情報

7月7日(木)に開催される一度きりのプレミアムライブ 「REAL? or FAKE!?」が、LISMO WAVE「SPACE SHOWER LIVE Channel」で生中継決定!

Cinemaglam(しねまぐらむ)

M(Vocal, Performance)、K(Trackmaking, Arrangement)、O(Lyric, Visual)の3人からなるアーティスト集団。A-Sketchが立ち上げた新レーベル「muddy water records」の第1弾アーティストとして、2011年6月29日にミニアルバム「LOVE AVANT-GARDE」をタワーレコード限定でリリース。