Cinemaglam デビューアルバム「LOVE AVANT-GARDE」6/29リリース！

Mが「LOVE」というキーワードを導いてくれた

──まずお伺いしたいんですが、Cinemaglamはどのようにして始まったんですか？

僕がMっていう“素材”に出会ったのがCinemaglamの始まりです。Mが作ったオリジナルのデモテープを聴いたときに、ジャンルを超えたグラマラスな香りを感じたんですね。どこか中性的で、非常にカテゴライズしづらい何かがそこにあった。それを一言で言うなら「愛」です。「こいつもしかしたら……愛の使者になるかもしれない」って思ったんです。

──具体的にはMさんの何がKさんの琴線に触れたんですか？

まずはそのひたむきさですね。歌声や仕草から愛があふれだしていた。あふれすぎて制御が効かなくなるくらい。

──それで愛をテーマにしたアルバム「LOVE AVANT-GARDE」ができたと。

いや、そこは違うんですよ。歌詞はOが書いてるんですが、僕とOの間で「キーワードはLOVEにしよう」とか「Mを愛の使者にしよう」といった打ち合わせは一切してないんです。Oも、Mの存在に触発されて、自然と愛をテーマにした歌詞を書いてきたんです。

──意外な偶然ですね。

やっぱりMっていう原石が、愛というキーワードを導き出してくれたんですね。極めて偶発的に。でもそれが最終的には必然になっている。僕に言わせれば、こういう偶然が起こることこそがポップミュージックの醍醐味なんです。

──じゃあ緻密に計算されたプロジェクトというより、偶然の出会いや奇跡的なシンクロニシティが生み出す要素のほうが強い？

どちらかというと、そこがすべてみたいな感じですね。

コンセプトは“近未来グラムロック”

──トラックメイキングとアレンジはKさんの担当だそうですが、Cinemaglamのサウンドコンセプトについて教えてください。

僕は“近未来グラムロック”というイメージで作ってますね。

──それはどういうものですか？

Mの強烈な印象をどういうサウンドで世の中に伝えるべきか、ということを考えたとき、これはたぶんグラムだろうと思ったんです。しかもT.REXやデヴィッド・ボウイに代表されるような過去のグラムロックのエッセンスを懐古的に引っ張ってくるんじゃなくて、近未来のグラムロックを僕らなりに解釈して、トラックを作っていくべきだと。サウンド的にはいろんな選択肢があったと思うんですが、でもMと出会った瞬間に近未来グラムでいこうと思った。そこに迷いはありませんでしたね。

──Mさんが「グラムロックをやりたい」と言ったわけではないんですね。

そもそもMはグラムロック世代じゃないですからね。本人は椎名林檎とTHE YELLOW MONKEYが好きだって言ってました（笑）。でも例えば「サディスティックラブ」のイントロのギターのフレーズは、Mから出てきたものなんです。グラムロックを知らないはずなのに、あのグラマラスなフレーズが自然と出てくる。これは本当に偶然の一致です。

──楽曲からは近未来的な新しさと同時に、どこか懐かしい印象も受けたんですが。

近未来的っていうのは僕の中で、エバーグリーンとかスタンダードっていうものに通じる部分で。要するに今の時代の流行りのエッセンスで構築しているものではないんです。むしろ未来永劫残っていくような、そういうイメージで作っています。レコーディングがスタートしたのはもう2年も前なんですが、今2011年になって人々の価値観が一夜にして変わるような震災が起きたりしたにもかかわらず、それによってなんら左右されない音楽になっていると思うんですよね。

──1年後に出ても、10年前に出ていてもおかしくないような。

そうですね。いつの時代に聴かれても大丈夫な鉄壁のポップネス。そこに関してはすごくこだわりました。

──なるほど。

で、Oが書いた歌詞もそうなんです。いわゆる、時代を象徴するようなキャッチは1個も入ってない。人間の温かい部分や、愛や欲といった部分を引き出してくるんですよね。だからこれは消費されて消耗してしまうタイプの音楽ではないと思っています。