CHRONICLE|3つの才能が紡ぐ「歌と声」の物語

さまざまな物語にリンクする歌詞

──歌詞にはアニメ映像の一樹が夜の学校に侵入するシーンを彷彿させる箇所など、映像とのリンクを感じさせる部分がありつつ、広大な宇宙で出会うことの奇跡を願うような内容になっていますね。

「宇宙」予告編アニメ映像より。

loundraw まず曲を聴いて、男の子が夜の学校に行くシチュエーションが浮かびました。それがなぜかエモーショナルだなと思って。そこから考えて、サビの「何度 何度でも生きるよ 見上げた宇宙で君を見つけるまで どんな星座でも結べない 今日を探していた」というフレーズのイメージがパッと出ました。この言葉は壮大にも見えるけど、普通に誰かのことを話しているだけかもしれないし、夢かもしれないし、恋なのかもしれない。そういう何通りにも捉えられる歌詞だなと思って。そのフレーズが引き立つ歌詞をAメロ、Bメロの順で考えて、自然の流れで作っていきました。ただ、KOJIMAくんの書くメロディラインがトリッキーなので、言葉のハメ方は相当トライ&エラーを繰り返しました(笑)。

KOJIMA ハハハ(笑)。Dメロの大サビの部分とかは特にね。でも、ローくんは飲み込みがすごく早いんですよ。最初は苦戦してましたが、詞だけで読んでも面白いし、メロディやリズムに乗せたときの響きのよさという部分にも応えてくれました。

──T.B.Aさんの澄んだ歌声も素晴らしいですね。発音がよいので言葉を聴き取りやすいですし、歌で物語を紡ぐことにおいては、まさに適任者だと思いました。

KOJIMA T.B.Aは感情表現の幅が広い人で、Aメロの静かに語りかけるような歌い方から、サビの勢いのあるハイトーンボイスまで、すごく表現豊かなんです。1曲の中で起伏を作れますし、詞の内容を伝える意味でも歌の表現力が高くて、ストーリーを作る意味でも上手く表現してくれますね。それは生まれ持った才能だなと思います。

人と人が交わること

──あと個人的に、この曲を含めloundrawさんの生み出す作品や物語には、ある種の「ボーイ・ミーツ・ガール」感を感じることが多いのですが、それはご自身の表現の重要なテーマとしてあるのでしょうか?

loundraw かなり大きなテーマとしてあると思います。単純に自分があまりリア充な学生時代を送っていなかったこともあると思いますが(笑)、クリエイターというのはそういうものに執心してものを作る部分があると思うんです。ただ、それとは別に、僕の中には「出会い」は「別れ」の始まりという意識がありまして。出会うということはいつか別れるということじゃないですか。僕は喪失感というものに強い執着があって、いずれ死にゆく人生の中で、人と出会うのはすごく特別なことだというポリシーがあるので、そこを描きたいというのはありますね。なので「ボーイ・ミーツ・ガール」というよりは、「人と人が交わる」というニュアンスが強いんだと思います。

──そのポリシーは、この「宇宙」という楽曲に感じられる死生観や出会いの奇跡ともリンクしているように感じられます。

loundraw そうですね。やっぱり「生きる」ということに対しては思うことがすごくあるので。「どうして生きてるのか?」とか「何のために生きてるのか?」とか。この「何度 何度でも生きるよ」という歌詞も、別にリアルな生き死にだけを意味しているわけではなくて、気持ち的に死んだり生き返るという意味も含まれているんです。なので、総じて人生の一生を過ごすことに対して問いかけている歌詞でもあります。

体験を届けたい

──先ほど、今回の「宇宙」はCHRONICLEの物語における「現代編」のプロローグとおっしゃっていましたが、ということはここから物語がさらに展開したり、あるいは「過去編」や「未来編」が紡がれたりもするのでしょうか?

loundraw そこは楽しみにしていただきたいですね(笑)。

──なるほど。この「宇宙」という楽曲から、CHRONICLEという物語の壮大な宇宙が始まることになりそうですね。ここからどう発展していくのか、予測や考察をする楽しみもありそうです。

loundraw そうですね。そのスタートとしてセンセーショナルな曲にしたかったので、僕もKOJIMAくんも相当悩みながら作りました。映像に関しても、看板やヒロインが使っていたUIといった資料のコンセプトボードをホームページにどんどん追加していくので、そこからもいろいろ想像していただけるとうれしいです。

──いよいよ本格始動したCHRONICLEですが、最後に、今後はどのような活動を行っていく予定なのかお聞かせください。

KOJIMA 今はCHRONICLEの楽曲や作品を1つでも多く形にしていきたいです。それと、このメンバーが集まったからこそ、普通の音楽ライブではできないような面白いことができると思うので、ライブに関しても積極的に構想を進めているところです。

loundraw CHRONICLEが届けるものは、音楽単体でも映像単体でもなく、ある種の体験だと思うんです。音楽に物語が紐付き、物語に音楽が紐付いて、それを実際に歌ったり演奏したりする人たちがリアルにここにいるという。そのメディアや媒体、二次元、三次元というのが全部同軸で存在しているのが、CHRONICLEの特殊な配置なのかなと思っていて。そこに対する違和感と楽しさを採り入れていけたらと思いますし、それをどうやって最大限の形に実現できるのかを考えて、先鋭化させていきたいです。