chay|青春時代を彩るチャレンジングな春ソング

chayが4月24日にニューシングル「大切な色彩」をリリースした。

富士フィルムのキャンペーン「#教室アルバム」のタイアップソングとして書き下ろされた表題曲は、かけがえのない青春時代を振り返りつつ、一瞬一瞬を大切に生きていくことの素晴らしさを伝えるアッパーチューン。カップリングには坂詰美紗子が作詞、作曲を手がけた温かなナンバー「With」と、松任谷由実「最後の春休み」のカバーも収録されている。

デビュー7年目を迎え、より柔軟により視野を広げたクリエイトができているというchayは、本作においてもさまざまなトライを楽曲に盛り込み、新たな表情をリスナーに提示している。その充実した制作過程について本人に話を聞いた。

取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 前田立

初めてのコライトで自分の視野がすごく広がった

──新曲「大切な色彩」は、卒業を迎える学生をターゲットにした富士フィルムのキャンペーン「#教室アルバム」のタイアップソングです。

chay

はい。そのキャンペーンを意識しながら、自分自身の青春時代を思い出して作った1曲です。学生時代を思い返すと本当にキラキラしていて眩しかったなと思うんですよ。歌詞の中には「理由(わけ)もなくはしゃいだ帰り道」というフレーズがありますが、本当に些細なことでお腹がよじれるほど笑ってましたからね。もちろん夢をがむしゃらに追い求めていたし、今思えば小さなことにすごく悩んだりもしていて。そういうすべてが愛おしいなと思うんです。ただ、当時の自分はそれが青春であることは知らなかったんですよね。

──確かに「今、青春だな」と噛みしめたりはしないものですもんね。

そうなんですよね。学生である時間がどれだけかけがえのないもので、青春がどれだけ一瞬で儚いものかということは知らないままで過ごしていたなとすごく思ったんです。なので28歳になった今の自分の目線で、過ぎていく一瞬一瞬の時間の大切さを曲として伝えることができればと思いながら作っていきました。

──歌詞はchayさんを含めた4名でのコライトになっていますね。

クリエイターの方々と細かくお話しながら作っていきました。思い付いたことがあれば都度連絡させてもらいましたし、レコーディングの直前まで「ここはこうしたいんです」みたいなやり取りをさせていただいて。コライトするのは初めてだったんですけど、ほかの作家の方と密なコミュニケーションを取りつつ、自分の実体験を散りばめながらの作詞作業は新鮮で楽しかったです。

──1人での作詞とはまったく違ったアプローチになるわけですからね。出てくる言葉やフレーズにも変化が生まれそうです。

自作曲のやり方とはまったく違うので、かなり刺激的で勉強になりました。例えば2コーラス目のAメロの歌詞なんかは、リスナーの方に受け取り方をゆだねる感じになっていて。私が今まで作ってきた曲はわりと具体的な表現をすることが多かったんですよ。でも今回はほかの作家の方の提案でそういうパートを盛り込んだことで、より素敵な歌詞になったなと思います。1人では生まれなかった歌詞になったと思うし、自分の視野もすごく広がった気がします。

chay

思い出に色が付いていくような感覚

──歌詞に関して、特に気に入っているフレーズはどこですか?

サビの「『一瞬』止めて」「『青春』止めて」のところはすごく気に入ってますね。パッと聴くと、「え、止めるの?」と違和感を感じるかもしれないんですけど(笑)、深みのある表現になったと思います。

──タイアップ的には大切な“青春”の“一瞬”をカメラに収めて“止める”という意味にも取れますよね。同時に流れていくかけがえのない瞬間をしっかり記憶に止めて生きていってほしいというchayさんの願いもそこには現れている気がしました。

まさにその通りです。プリントした写真で思い出を残すというキャンペーンでもあったので、そういう意味合いもしっかり感じてもらえるようにしたかったんです。この曲は今、青春真っただ中の方々に聴いていただきたいのはもちろんなんですけど、学生時代を終えた大人の方にも聴いていただけたらうれしいです。

──「一瞬一瞬を大切に生きる」というテーマは年齢関係なくあてはまるものですからね。

chay

そうですね。それに大切な思い出を振り返るきっかけにもなってほしいなと思います。私は自分の中高校生の頃を思い出しながらこの曲を作っていったんですけど、記憶をさかのぼっていくと、「あー、あのときすごく寒かったな」とか「あのときはあんな匂いがしたな」「緑がいっぱいある場所だったな」みたいな感じで具体的なことがどんどん出てくるんですよね。思い出に色が付いていくような感覚があったというか。だから、学生さんはもちろん、大人の方々もこの曲をきっかけにして、ご自身の大切な思い出にどんどん色を付けていってもらえたらと思います。

──自分のたどってきた思い出を鮮やかに抱くことは未来に向けた力にもなるでしょうし。

本当にそうなんですよね。私自身、昔の写真をたまに見返すと、すごく元気が出てくるんです。過去の記憶には自分を前向きにさせてくれる不思議な力があるなと思いますね。また明日からもがんばろうという気持ちにさせてくれるものだと思うので、そういう記憶と向き合うきっかけになったらうれしいです。