ナタリー PowerPush - caroline rocks

五味岳久との共同作業で生まれた会心作「parallel.」

caroline rocksが2ndミニアルバム「parallel.」をリリースする。1stミニアルバム「白い空気とカーディガンと頭痛」が耳の早いロックファンから支持を集め、着実にステップアップしてきた成果が凝縮された作品だ。また今作はLOSTAGEの五味岳久がプロデュースを担当。バンドの持つ可能性を最大限に引き出している。

今回ナタリーでは、メンバーの渡辺僚啓(Vo, G)と砂川一黄(G)、そして五味岳久にインタビューを実施。プロデュースを手がけたことがなかった五味に話を持ちかけた理由から、お互いの印象、制作で気付けたことなどを熱く語ってもらった。

取材・文/高橋美穂 インタビュー撮影/中西求

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元々、LOSTAGEがすごく好きだった

──まずは、五味くんにプロデューサーをお願いした経緯は?

渡辺僚啓(Vo, G) 元々、LOSTAGEがすごく好きだったんですよ。それで、今回2ndを録るにあたってどういう作品にするかをメンバー内で話し合ったら、第三者の方に入ってもらって自分らの持ってるものを、より鋭くできないかという意見が挙がって。そこから誰がいいかって話をしてたら、五味さんの名前が挙がって。五味さんは今までプロデュースをやられてなかったから、ダメもとで話をしたんですけど、ちょうど五味さんも新しいことをやってみようと思ってたタイミングだったみたいで。まず、ライブを観てもらうことになって、去年の「MINAMI WHEEL」に来てくれてたんです。その後にフレッシュネスバーガーに移動して話をしたんですけど、むちゃくちゃ緊張して。

五味岳久 僕、酔っぱらってたんで覚えてないんですけど(笑)。

インタビュー風景

──以前は面識は?

渡辺 なかったですね。

──五味くんは、プロデュースの依頼が来てどう思いました?

五味 やったことがなかったので、やったことがある中尾(憲太郎)さんに、何やったらいいんですかって聞きつつ、自分たちのバンドは、やったことがないことはやってみたいっていうスタンスで活動してるし、プロデュースしてって言ってくれてるならやりたいし、あかんかったらそのとき考えようかなって。

──初めて観たライブではどういう印象でした?

五味 ほんま酔っぱらってたんですけど(笑)、まじめな人たちっていう印象を受けましたね。

──フレッシュネスバーガーでは、どんな話をしたんですか?

渡辺 LOSTAGEのライブを観にいったことはあったので、憧れの存在で、粗相のないように。

五味 気の使われ方が半端じゃなくて(笑)。

渡辺 ファーストコンタクトだし、なんで五味さんがいいと思ったのかとか、どういう作品を作ろうと思ってるかを、しっかり伝えたいと思って……。

五味 渡辺は話が長いんです。メールとかも。要約してさ。

渡辺 はい(笑)。

5人目のメンバーみたいな感じでかかわれたらいいなぁと

──作業自体はどうでした?

五味 レコーディング前、候補曲を絞るところからスタジオにいたんですけど、僕の意見は採用されたり、されなかったり(笑)。プロデューサーって結局、バンドがどうしたいかを助ける役目だと思ってるから。最終的な判断はバンドに任せるけれども、僕はこう思いますよって言う人。5人目のメンバーみたいな感じでかかわれたらいいなぁって思ってました。

砂川一黄(G) 僕たちとしても、プロデュースをやったことがない人と一緒に作り上げていきたい気持ちがあったので。あと、人間的に尊敬できるような人とやりたいと。そこで、五味さんしかいないでしょうっていう話になって。プロデュースっていろいろやり方があって、Aメロ削れとか、歌詞変えろとか、完全に固められるタイプもあると思うんですけど、それを僕たちはやりたくなかった。五味さんもバンドマンなので、よく「俺にプロデューサーがついて、ここを書き直せとか言われたらめっちゃ嫌やから、もう1人のメンバーみたいに作りたい」って言ってて。それを聞いて、五味さんにお願いして良かったと思いました。

アルバムのテーマは「街」

──アルバム自体のビジョンは事前にあったんですか?

インタビュー風景

五味 長いっすよ。きゅっとまとめて。

渡辺 一言で言うと「街」。

五味 短いな!(笑)

渡辺 街っていろんな要素を含んでると思って。まず、情報が多い。便利。だけど、相反するようないいものも悪いものもごちゃごちゃにあって。そこで人間が生きてるっていうことを、アルバムのテーマにしようっていう軸があったんで、選曲もテーマありきで考えたんです。

砂川 1stのテーマが「夢の中の世界」だったんですよ。それとの対比も打ち出したかった。今作はサウンドもソリッドだし。

渡辺 街が持ってるような、コンクリートや鉄のイメージとかを出したくて。

ミニアルバム「parallel.」 / 2011年4月20日発売 / 1500円(税込) / CRUX / ROOFTOP  RTC-017

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CD収録曲
  1. パラレル
  2. pigrim
  3. period
  4. 漂流
  5. Tokyo ice age
caroline rocks(きゃろらいんろっくす)

渡辺僚啓(Vo, G)、砂川一黄(G)、和田日出海(B)、平沼喜多郎(Dr)による4ピースバンド。2005年に結成され、下北沢、渋谷、新宿のライブハウスを中心に精力的なライブ活動を展開している。2009年12月に1stミニアルバム「白い空気とカーディガンと頭痛」をリリース。エモーショナルなメロディと轟音サウンド、渡辺のハイトーンボイスで、繊細な世界観を紡ぎ出し、着実に支持を集める。2011年4月には、五味岳久(LOSTAGE)をプロデューサーに迎えた2ndミニアルバム「parallel.」を発表。