ナタリー PowerPush - caroline rocks

五味岳久との共同作業で生まれた会心作「parallel.」

メンバーそれぞれのパーソナリティに面白味がある

──五味くんから見て、caroline rocksの良さって?

インタビュー風景

五味 僕が一番強く思ったのは、メンバーそれぞれのパーソナリティに面白味があるなって。僕は、それぞれのキャラが立ってるバンドが好きだし、自分もそうありたい。それが、ライブを観ただけじゃわからなかったんですけど、レコーディングで見えてきたときに、いいバンドだなって思いましたね。こいつらが集まって一緒に音楽作ってたら、これからもいい音楽ができるなって、中に入ってみて思いました。

──五味くんなりに、メンバーのキャラクターを紹介してもらえますか?

五味 渡辺くんは、屈折してるっていうか、気持ち悪い。

渡辺 (笑)。

五味 ライブではそれがあんまり出てないから、もっと出したほうがいいと思う。抱えているものがあるみたいな。わかんないですけど。で、砂川はめんどくさい、くどい。

砂川 (笑)。

五味 和田(日出海 / B)くんは、男前でスポーツマンタイプ。(平沼)喜多郎(Dr)は弟っぽいというか、全体を見渡してる感じはあったけど、マイペースで、ドラマーっぽい性格。パワーバランスがいいんですよ。世の中にはワンマンバンドもいっぱいいると思うし、caroline rocksがそうだったら僕もうーんってなってたと思うけど、そうじゃなかったし。だから作業もやりやすかった。“いい”と思うもんも近いなって。

──じゃあ、意見も存分に言い合えた?

五味 メンバーは僕に気を使ってたかもしれないけど、どうですかね?(笑)

渡辺 僕はやりやすかったですよ。僕は歌録りまで一緒で、僕と五味さんとエンジニアの上條さんと3人で、和気藹藹とやれたんで。

五味 歌のジャッジは自分でやってくれって言ったんですよ。何か気になったら言うけど、歌がどうとかっていうより、どう録るとか考え方の部分で力になりたいと思って。だから、一般的にみんなが思っているプロデューサーって感じじゃないんですよね。(資料の「LOSTAGE 五味岳久 初プロデュース!」という見出しに)こういうふうに書かれると恥ずかしいですけどね。僕推しみたいの、いらんと思う。ありがたいですけどね。

五味さんがいることで安心感があった

──メンバーが持ってた五味くんに対する最初の印象は、接していくうちに変わりましたか?

渡辺 そうですね。最初はLOSTAGEの音楽を聴いて、男らしくて、ちょっと冷たいっていうか、フランクに話せないイメージがあったんです。

砂川 そこはメンバー共通で感じてました。LOSTAGEを聴いてて思うのは、メンバー1人ひとりの気持ちや熱が作品に入ってるというか。ただカッコいいと思う曲の先を行っていて、思わず胸にこみ上げるものがある。そこに、僕たちは惹かれてて。

渡辺 でも、一緒にやっていって、僕らが作ろうとしている音楽を、一緒に真剣になって考えてくれて、それでいて、面白おかしいことも言って和ませてくれるところもあって。いい兄貴分になってくれましたね。だから、こっちもレコーディングをやっていく上で、変に気を使うことがなくなっていきました。

砂川 五味さんがいることで安心感があって。1本太い筋がバンドに通ったような心強さがありました。

五味 メンバーがそう言ってくれたのは良かったなって。これからアルバムが発売になって、ライブをして、その過程でもそう思ってくれればうれしいけど、現時点でそう思ってくれてるのもうれしいです。

砂川 楽しかったし、学ぶべきこともたくさんあったし、いい経験になったなって。

五味 マジか。

砂川 (笑)。一言で言えば楽しかった。

五味 今、ぐっときた。

砂川 なんすか急に(笑)。

五味 やっぱ、僕らも売れてるバンドじゃないけど、プロデュースをやったらこういうふうになるなっていうのはわかってたんですよ。僕の名前を使いたい、それが1人でも多く聴いてもらえるキッカケになればっていう、音楽的じゃないところの意図もあるんだろうなって。

砂川 プロモーション的な。

五味 そうそう。だけど、なんのために自分がいるかっていうと、メンバーがやりたいと思ってることを形にするためだと思ってたし、それ以外のこと、自分がいることでセールスが伸びるとか減るとか、そういうことはあんまり考えないようにしようと思ってた。だから、今こうやって、メンバーが「良かったです」って言ってくれたのはうれしいですね。あとは、お客さんにも喜んでもらえたらうれしいけど、そこまで介入することじゃないというか。作ってる人が喜んでくれたことは、自分がいた意味があったなって。

五味さんにかかわってもらったことで僕らの音に熱が入った

──五味くんにとっても、初のプロデューサー業は、ためになったし、楽しかった?

五味 同じように楽しかったし、自分のバンドじゃないスタジオやレコーディングにいることはそんなにないから新鮮やったし、メンバーの人間関係を外から見ることってないから、もしこれが俺だったらって考えると、自分のバンドをやっていく上で参考になった。今、自分のレコーディングをやってるんだけど、それにも生かされると思います。

砂川 それは、バンド側からしたら、めちゃめちゃうれしいことですね。僕たちに対して、冷たいとか、無機質っていう印象を持ってる人が多いと思いますけど、今回、五味さんにかかわってもらって、熱が入ったと思って。そこが劇的に変わったところというか。僕たちが開けかけてた引き出しを五味さんが開けてくれたのかなって。

五味 珍しくうまいこと言ったな(笑)。

インタビュー風景

砂川 僕たちが開けようとしていた引き出しを閉じて、違う引き出しを開けるんじゃなく、僕たちがやろうとしてることを、最大限に引き出してくれた。

五味 それ太字で(笑)。今日いい仕事した!

砂川 珍しくほめてくれた(笑)。

五味 あとはみんなに聴いてもらいたいね。ワンマンもここ(下北沢SHELTER)でやるんだよね。観にきますよ。

砂川 まじすか!

五味 でも、ツアーになんで奈良入ってないの!?

砂川 いつか奈良で、LOSTAGEとガチンコでやりたいです。

五味 叩き潰してやる!(笑)

砂川 そこは僕らも、叩き潰すつもりでいくんで! ……この後、なんて言われるか……今震えてますけど(笑)。

ミニアルバム「parallel.」 / 2011年4月20日発売 / 1500円(税込) / CRUX / ROOFTOP  RTC-017

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CD収録曲
  1. パラレル
  2. pigrim
  3. period
  4. 漂流
  5. Tokyo ice age
caroline rocks(きゃろらいんろっくす)

渡辺僚啓(Vo, G)、砂川一黄(G)、和田日出海(B)、平沼喜多郎(Dr)による4ピースバンド。2005年に結成され、下北沢、渋谷、新宿のライブハウスを中心に精力的なライブ活動を展開している。2009年12月に1stミニアルバム「白い空気とカーディガンと頭痛」をリリース。エモーショナルなメロディと轟音サウンド、渡辺のハイトーンボイスで、繊細な世界観を紡ぎ出し、着実に支持を集める。2011年4月には、五味岳久(LOSTAGE)をプロデューサーに迎えた2ndミニアルバム「parallel.」を発表。