ナタリー PowerPush - bloodthirsty butchers

吉村秀樹にこの思い届け!トリビュートライブ4公演完全レポ

2014年5月27日(火)東京都 新代田FEVER公演

MONOBRIGHT

MONOBRIGHT

亡き吉村秀樹もたびたびライブを行っていた新代田FEVERのステージに立ったのは、the band apart、COCOBAT、MONOBRIGHT、perfectlifeの4組。トップバッターの大役を務めたのは吉村と同じ北海道出身のMONOBRIGHTで、彼らはのっけから「サラバ世界君主」をカバーし、集まったオーディエンスの心をわしづかみにする。桃野陽介(Vo, G)は「僕らはこのライブにどういう“親交”で出ているかと言うと、シンプルにブッチャーズのファンとして来ました!」と宣言。自らのオリジナル曲も織り交ぜつつ、2011年に吉村と田渕ひさ子とともに新代田FEVERで作った思い出の曲「ソシアル」、「bloodthirsty butchersに憧れて、憧れて作った」というその名も「youth」を全身全霊で鳴らした。

MONOBRIGHTから寄せられた直筆メッセージ。
セットリスト
  1. サラバ世界君主
  2. 旅立ちと少年2
  3. 紅色ver.2
  4. 踊る脳
  5. ソシアル
  6. youth

perfectlife

perfectlife

perfectlifeはサウンドチェックから流れるようにライブを開始。彼らはライブの翌日にリリースされる1stアルバム「マラディーズ」の楽曲を中心に、メロディアスなナンバーを丁寧に奏でていく。そして彼らは「襟がゆれてる。」のカバーを最後に披露。板垣周平(Vo, G)にあわせて他のメンバーもシンガロングし、情感豊かなナンバーを心を込めて歌い上げる。曲が終わると、観客の何人かは吉村とperfectlifeに賞賛を送るように手に持っていたビールを掲げた。

perfectlifeから寄せられた直筆メッセージ。
セットリスト
  1. パスミーバイ
  2. おためごかし
  3. 八月の光
  4. 分身
  5. トランスフォーマー(サウザンドタイム)
  6. スプリングハズカム
  7. 襟がゆれてる。

COCOBAT

COCOBAT

3番手は、この日の会場でもっともストイックかつハードなライブで観客を圧倒したCOCOBAT。まずは中央にマイクスタンドを立てたままSEIKI(G)、TAKE-SHIT(B)、KIM(Dr)がタイトなアンサンブルをフロアに叩き付ける。HIDEKI(Vo)が加わってからはさらにギアが入り、4人は猛々しいパフォーマンスを間髪入れずに繰り広げていく。場内の空気が変わったのは「ROOM」のイントロが鳴った瞬間。轟音のバンドサウンドとメランコリックなメロディ、HIDEKIの低くしゃがれた声が溶け合い会場を満たしていった。

COCOBATから寄せられた直筆メッセージ。
セットリスト
  1. nails
  2. spaghetti
  3. arana
  4. ROOM
  5. cheated
  6. chova

the band apart

the band apart

トリを務めたthe band apartは、軽やかでギミックに富んだアンサンブルを響かせ、COCOBATが作り出した緊迫したムードを和らげていく。荒井岳史(Vo, G)は甘く清涼感のある歌声でフロアを踊らせ、十分会場が温まった頃を見計らって「2月/february」をプレイ。轟音が鳴る中で、情感豊かな歌声を響きわたらせる。フロアには共演者の姿も見られ、バンアパ流の「2月/february」に見入っている様子だった。またMCでは原昌和(B)と荒井が吉村との思い出を語る場面も。原は亡くなる直前に吉村からLINEで「俺、ソロやるからベースやれ」と言われたエピソードを明かし、「あれから1年音沙汰がないんですよね」「ホント、僕と遊んでくれたときは、優しいおじさんでした。『2月』ていい曲だよね。ちょっと寂しくなるけど……」としみじみ口にした。荒井はトンカツソースを一気飲みさせられた強烈な経験談などを交え、“先輩”吉村の横顔を紹介した。

トリビュートライブ初日の新代田FEVERの締めくくりは、バンアパの魅力を凝縮した「When You Wish Upon A Star」のカバー。軽やかで楽しい余韻を残して終わるかと思いきや、最後はギターのハウリングノイズがステージに刻まれる。その音はどこかbloodthirsty butchersへの敬意を示すように響き続けていた。

the band apartから寄せられた直筆メッセージ。
セットリスト
  1. coral reef
  2. photograph
  3. 2月/February
  4. The Base
  5. I love you Wasted Junks & Greens
  6. 夜の向こうへ

<アンコール>

  1. When You Wish Upon A Star
bloodthirsty butchers
(ブラッドサースティブッチャーズ)

bloodthirsty butchers

1986年に札幌で結成されたロックバンドで、メンバーは吉村秀樹(Vo, G)、射守矢雄(B)、小松正宏(Dr)、そして2003年に加入した田渕ひさ子(G)の4人。1991年にFugaziの来日公演に出演したことを機に上京し、2度のアメリカツアーや、オリンピアで行われたフェス「YO YO A GO GO Fes.」への出演などでUSインディーシーンにも名を知らしめる。1994年にはメジャーデビューアルバム「LUKEWARM WIND」をリリース。その後「kocorono」「未完成」といったアルバムが各方面で絶賛され、90年代のオルタナシーンで確固たる地位を築く。結成20年目となった2007年には自主レーベル・391toneを設立。2011年には彼らの姿を追った長編ドキュメンタリー映画「kocorono」が全国各地で劇場公開される。2013年5月、吉村が急性心不全のため逝去。すでにマスタリングを済ませていたアルバム「youth(青春)」と、写真集「bloodthirsty butchers『青春』」が同年11月に発売される。そして念願だった「kocorono」のアナログ盤を完全限定発売。2014年にはトリビュートアルバムを数カ月にわたって複数枚リリースする「Yes, We Love butchers ~Tribute to bloodthirsty butchers~」シリーズが企画されている。