ナタリー PowerPush - BUMP OF CHICKEN
前に進むためのベストアルバム
BUMP OF CHICKEN I [1999-2004]
収録曲
- ガラスのブルース
- くだらない唄
- ランプ
- K
- ダイヤモンド
- 天体観測
- ハルジオン
- Stage of the ground
- スノースマイル
- ロストマン
- sailing day
- アルエ
- オンリー ロンリー グローリー
- 車輪の唄
※初回限定仕様[ハードカバータイプブックレット付き]
(初回限定仕様がなくなり次第、通常仕様に切り替わります)
BUMP OF CHICKEN II [2005-2010]
収録曲
- プラネタリウム
- カルマ
- supernova
- ギルド
- 涙のふるさと
- 花の名
- メーデー
- R.I.P.
- Merry Christmas
- HAPPY
- 魔法の料理 ~君から君へ~
- モーターサイクル
- 宇宙飛行士への手紙
※初回限定仕様[ハードカバータイプブックレット付き]
(初回限定仕様がなくなり次第、通常仕様に切り替わります)
BUMP OF CHICKENが結成17年、メジャーデビュー13年目にして初のベストアルバム「BUMP OF CHICKEN I [1999-2004]」「BUMP OF CHICKEN II [2005-2010]」を2枚同時リリースする。本作は彼らのキャリアを2つに分け、シングル曲を中心にバンドにとってキーとなる楽曲をほぼ年代順に収めたもの。彼らがこれまでに刻んできた年輪を一望できる、日本の音楽シーンにおいても記念碑的なアイテムだ。
「今のバンドの状況を、もっと1人ひとりにわかってもらうにはどうしたらいいか。今までやってきたことを大切にして、守りつつ伝えていくにはどうしたらいいか。バンドが前に進むために、もっと創造的に活動していくために、1人でも多くの人に聴いてもらうために、今必要なものは何かっていったときに、自然にベストアルバムが出てくる。ほかにもう方法がなかった。自然にそうなった。今、僕たちに必要なことは、ベストアルバムを出すことなんです。これをみんなに聴いてもらう必要がある。そんで次のアルバムを出す。必然的なことなんです」(藤原基央 / Vo, G) ──オフィシャルインタビューより抜粋
このタイミングでベストアルバムを発表することについて藤原は上のように語っている。区切りのいい時期にあわせた単なるアニバーサリー盤としてではなく、「バンドが前に進むため」の選択肢として自分たちの歴史を総括するベストアルバムに行き着いたという事実からは、次のフェーズへ踏み込もうとする彼らの強い意志が感じられる。
「『ガラスのブルース』から今まで、変わった / 変わってないの話をすれば、どっちでも言えると思うんです。僕らは新しいことをずっとやってきてるんですよ。でも、じゃあこの曲新しいねって言われると、別にそういうことでもなかったりするんです。だって、いつも通りだもん。いつも僕たちは曲が望んでる姿を探してきただけですからね。曲が生まれ持った姿に対して僕たちは常に誠実だったんです。あるべき形で鳴らしてあげたい、その曲が求める姿で鳴らしてあげたい、表現してあげたい。そうなった姿を見たい。それに対してほんとに、周りのスタッフが困るぐらいの情熱があって、興味があって。音楽をやる上で、ほかのことはそんなになくてね」(藤原) ──オフィシャルインタビューより抜粋
BUMP OF CHICKENは結成当初から現在に至るまで、サウンド面の大きな方向転換をせず、また発するメッセージの軸も変えず、常に「その曲の最良な状態を導き出す」という根本的な姿勢を保っている。ドラムの多重録音やマンドリンの導入、ゴスペルを思わせる分厚いコーラスワークといった表現方法の多様化はあるにせよ、これまで4人は長期的な戦略を持たずに、貪欲な「情熱」と「興味」でそのときそのときの楽曲に入魂してきた。そうして妥協せずにクオリティの高い楽曲を発表し続けたことで、BUMPとファンの間に信頼関係が生まれ、多くの人々に愛される結果となった。
ベストアルバムはそんな彼らの道のりを示すのにうってつけの作品だ。過去作品を額縁に入れ、これまでの軌跡を視覚化して見せたCDジャケットもそれを象徴している。シングル1枚1枚に丁寧に息吹を吹き込んできた彼らが、それらをベストアルバムというひとつの集合体に仕立て上げるという決断を下したことは潔い。これまで積み上げてきたものの骨組みを外して並列にパッケージングすることは、BUMP OF CHICKENの芯を改めて提示できるという側面もあるが、それまでの自分たちをひとつの完成形として完結させるという意味合いも含まれるからだ。そしてその中には萌芽から発展までの12年間が凝縮されている。ここにひとつの時代が集約されたのである。
「きっと昔から応援してくれてる人たちは、戸惑ってる人もいると思うんですけど。興味がなかったらそれでもいいです。だって(過去の作品は)持ってるでしょ、昔から応援してくれた人たちは。安心して、『ふーん』って見ててくれればいい。僕たちにとって非常に必要なことなんです、これは。バンドは今そういうところに来てる。あなたが応援してきてくれたおかげで、ここまで来れた、ってことですね」(藤原) ──オフィシャルインタビューより抜粋
藤原はベストアルバムを出すことについてこう話す。これはまだ届ききっていない層との信頼関係を築いていくためのものであり、昔からのファンへ自分たちの現在地を示すものであり、同時にバンドの節目を自らつけ、さらなる地平を目指すための重要な通過儀礼なのではないだろうか。彼らは今大きな転換期を迎えようとしている。
もっともっと多くの人に音楽を届けたいという確固たる思いのもと、一度過去の自分たちを見つめ直す方向へ舵を切ったBUMP OF CHICKEN。彼らに影響を受けたと明言するアーティストが第一線で活躍する昨今、バンドの強度を高めてより開けた場所に進もうとする4人の姿はすべての音楽ファンに頼もしく映るだろう。彼らがこのベストアルバムを経て新たな景色を見据えたとき、日本の音楽史はまた大きく更新されていく。
文 / 伊藤実菜子
- ベストアルバム発売記念ライブ
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- 2013年8月9日(金)千葉県 QVCマリンフィールド
OPEN 16:30 / START 18:30
料金:2500円(税込み)
※チケットの一般発売はございません。
※約1時間ほどの公演を予定しております。
問い合わせ:BOC TICKET INFO.(24時間テープ案内)0180-99-3602 - 2013年8月9日(金)千葉県 QVCマリンフィールド
- BUMP OF CHICKEN 2013 TOUR "WILLPOLIS"
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- 2013年9月9日(月)
愛知県 日本ガイシホール - 2013年9月10日(火)
愛知県 日本ガイシホール - 2013年9月16日(月・祝)
福岡県 マリンメッセ福岡 - 2013年9月25日(水)
神奈川県 横浜アリーナ - 2013年9月26日(木)
神奈川県 横浜アリーナ - 2013年10月12日(土)
宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ21) - 2013年10月16日(水)
大阪府 大阪城ホール - 2013年10月17日(木)
大阪府 大阪城ホール - 2013年10月24日(木)
北海道 北海道立総合体育センター 北海きたえーる - 2013年10月28日(月)
東京都 日本武道館 - 2013年10月29日(火)
東京都 日本武道館
チケット一般発売日:8月18日
- 2013年9月9日(月)
BUMP OF CHICKEN(ばんぷおぶちきん)
藤原基央(Vo, G)、増川弘明(G)、直井由文(B)、升秀夫(Dr)の幼なじみ4人によって1994年に結成。地元・千葉や下北沢を中心に精力的なライブ活動を展開し、1999年に1stアルバム「FLAME VEIN」、2000年に2ndアルバム「THE LIVING DEAD」をリリースする。これが大きな話題を呼び、同年9月にシングル「ダイヤモンド」でメジャーデビュー。2001年にはシングル「天体観測」が大ヒットを記録し、ロックファンを中心に熱狂的な支持を集める。その後も人気を拡大させ、2008年には22万人を動員する大規模なツアーを成功に収めた。2010年に6thアルバム「COSMONAUT」をリリースし、2011年2月には「映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ天使たち~」の主題歌に「友達の唄」を提供。2012年1月に映画「ALWAYS三丁目の夕日'64」の主題歌「グッドラック」を発表したのち、同年12月から2012年7月にかけて約3年半ぶりのライブハウス&アリーナツアーを開催した。2013年3月、この全国ツアーより東京公演の模様を収録した初ライブ映像作品「BUMP OF CHICKEN GOLD GLIDER TOUR 2012」をリリース。同年7月3日、キャリア初のベストアルバム「BUMP OF CHICKEN I [1999-2004]」「BUMP OF CHICKEN II [2005-2010]」を2作同時に発表する。藤原の書く情景描写に優れた文学的な歌詞、緻密に練られたバンドアンサンブルが大きな魅力。