B.O.L.Tが1st EP「Weather」をリリースした。
メロディックパンク系のアーティストなどが提供するロック色の強いポップソングを持ち味にしているB.O.L.T。今年7月に結成3周年を迎えた彼女たちは、その音楽性を最大限に生かしたアグレッシブなライブパフォーマンスに磨きをかけ、グループとして順調にステップアップしている。
B.O.L.Tにとって初めてのEPである「Weather」には、織田(POT)、Hold Out Hope、どついたるねん、KNOCK OUT MONKEY、BACK LIFT、開花俊介が楽曲を提供。全6曲を通して天気や環境の変化によって移り変わるさまざまな感情が表現されている。音楽ナタリーではこの作品の発売に合わせ、メンバーによるセルフライナーノーツ企画を実施。現在実施中の初のリリースイベントツアーの感想や、結成3周年を迎えた心境も語ってもらった。
取材・文 / 近藤隼人撮影 / 前田立
「Weather」セルフライナーノーツ
1. One Life
[作詞・作曲・編曲:織田]
高井千帆 「One Life」はEPの1曲目にぴったりな疾走感あふれる楽曲で、私はこの曲を聴いたとき、最初にファンの方の顔が浮かびました。長いことアイドルをやってきたというのもあって、「今までの経験や思い出が胸にあれば大丈夫!」という気持ちになれるんです。私はもう9年くらいアイドルとして活動していて、るんぱん(内藤るな)はさらに歴が長くて。特にサビの「忘れないで、逸れないように 繋いだこれまでの日々を」という歌詞は感じ入るものがありますね。普通の日でも、あまりいいことのなかった日でも、とにかく明日を笑える1日にしようよというメッセージが込められていたり、振付でグッジョブのポーズを掲げていたり、とにかく前向きな気持ちになれる曲だと思います。
内藤るな 「One Life」はテンポが速い楽曲で、このEPの中でも個人的に特に苦戦しているパートがありまして……。「何回だって最低だって 泣きそうに折れそうになって」とひと息で一気に歌うパートがあるんですけど、音程を外さず、心拍数を整えながらも感情を入れて歌っているんです。私はライブ中、自然とテンションが上がっちゃうタイプなんですけど、この曲は心拍数が上がりすぎたら歌いきれないので、「One Life」の披露前はいつも自分を落ち着かせています。そのおかげで、歌っている間も歌詞に集中できますし、いろんな思い出がフラッシュバックするんです。
白浜あや 「忘れないで、逸れないように 繋いだこれまでの日々を 呆れるほど強く願っている 今よりもほら、また明日を笑う」と歌っているサビの歌詞が曲の最初と最後でちょっと違う感じに聞こえるんですよ。曲が進むにつれてどんどん盛り上がっていくんです。特に「また明日を笑う」の部分はテンション高く歌っています!
2. BY MY SIDE
[作詞:haruka / 作曲・編曲:Hold Out Hope]
高井 「BY MY SIDE」はEPのリード曲ということで、聴いた瞬間からサビのメロディが耳から離れないキャッチーな1曲になっています。今までのB.O.L.Tの楽曲の中でも特に強めのロック感が出ていて、Aメロは低めの音程で始まるんですけど、いつも以上にカッコつけて歌っています。大人に媚びない感じというか(笑)、葛藤した怒りみたいな、レコーディングで今までやってこなかった歌の表現に挑戦できたのは楽しかったです。
白浜 歌詞を追っていくと、1人の女の子と“あんた”の関係性や性格が伝わってくるんです。サビでは「あんたのためのおめかしじゃないわ! もういっそこのまま 金輪際顔見せないでよ!」という強い拒否の言葉が並んでいるんですけど、「急に話しかけたりなんてしないで 胸の鼓動が音を立てちゃうから」とドキドキしている描写もあって、実は女の子が“あんた”のことを受け入れていることがわかってきて。ライブではその女の子になりきって歌っています。
青山菜花 歌詞から季節も感じられるんですよ。「春は来ないまま」という言葉で失恋を表していますし、それ以外の季節である夏、秋、冬をイメージした振付も特徴です。
内藤 「BY MY SIDE」は曲調も強気な歌詞も大好きで。私は学生の頃、女性アーティストの方が歌うポップパンクの曲をたくさん聴いていたんですよ。もし学生の頃、「BY MY SIDE」に出会っていたら毎日エンリピしていたと思います(笑)。曲を聴いていると青春を思い浮かべるような感覚があって、どの年代の方にもそのさわやかさ、熱さは感じてもらえるんじゃないかなと。
高井 あと、MVでは私たちのロックな面を出しつつ、全力のスマイルショットも撮ったので、キメキメな私たちと素の私たち、両方を楽しんでいただけるとうれしいです。私はなぜかショッピングカートのかごに座りながら、年下のあやちゃんに押してもらっていて(笑)。カートを押してくれた代わりに、この夏、あやちゃんにアイスをおごるという約束をしました。
白浜 それ忘れてた(笑)。撮影ではみんなでジャンプしたり動き回ったりして、カメラマンさんも走りながら私たちのことを撮ってくれました。あやなの(白浜と青山)の2人で遊具に登ってカッコつけたりと、ハアハア言いつつもとにかく楽しい撮影だったので、その楽しさがみんなの表情に出ていると思います。
高井 あやなのちゃんは遊具を使いこなしてましたね。私も遊具で撮影したんですけど、すべり台の上でるんぱんに対して超能力を使っているみたいな謎のシーンでした(笑)。下からの煽りとか、逆さまとか、今まで撮られたことのないような角度で撮っていただいたので迫力満点のMVになっていますし、3D映像なんじゃないかと思うくらいB.O.L.Tの迫力を感じてもらえると思います。
青山 真顔でカッコつけているシーンもあって。前回のMV(3rdシングル「More Fantastic」)では終始笑顔だったので、新しい私を見ていただけると思います。
内藤 ポップパンクの雰囲気とアイドルっぽい感じのいいとこ取りのMVですね。
3. New Day Rising
[作詞・作曲・編曲:どついたるねん]
高井 どついたるねんさんの提供ということでどんな曲になるんだろうと思っていたら、歌詞を見て納得しました(笑)。振付も含めて遊び心が満載です。レコーディングでは「最後のアウトロで好きなことしゃべって」とスタッフさんから言われて、「どういう意味だろう?」と不思議に思いつつも、とりあえず近況をマイクに向かってしゃべったんですよ。そしたらレコーディング前にもらっていた音源よりもアウトロが短くなっていて。尺の中に話が入り切らず、思わず声に出た「入らなかったー」という言葉も実際の音源に使われてしまいました(笑)。素の自分の声が曲に収められているので恥ずかしいです。
内藤 完成した音源のアウトロを初めて聴いたときはびっくりしました。「え、何が起きてるの? 誰の声?」って(笑)。
高井 アウトロのトークは2回録ったんですけど、その音源が重ねて使われているんです。
白浜 「New Day Rising」は「あーメンドクセぇー」「あーかったりぃー」という心の中の葛藤を表した歌詞も印象的です! ライブで盛り上がる曲で、普通は落ち着いた曲を披露したあとは気持ちの切り替えが難しいんですけど、この曲では一気にテンションを上げることができます。気持ちを全開にして歌っているし、真似しやすい振付も多くて、ファンの方も含めてみんなでライブを作れるのが「New Day Rising」のいいところだと思います。
青山 共感しやすい曲でもあると思います。個人的に注目してほしいポイントは「ラーダマーシー」と裏声で歌っているところです!
内藤 この曲は「やりたくないことは先延ばしにして、やりたいことやろう!」というメッセージが込められていて、「SLEEPY BUSTERS」に似た“がんばらせない応援歌”だと思っています。レコーディングにもそういういい意味で軽い気持ちで臨んだんですけど、どついたるねんさんがスタジオにいらっしゃっていたからすごく緊張しちゃって……。レコーディングのときの記憶が曲に刻まれ続けることが多いので、ライブでも緊張しちゃうかなと思っていたのですが、実際ステージで歌ってみたらすごく楽しかったです(笑)。
高井 レコーディングで緊張してたと言うわりに、るんぱんが歌ってる「楽しい方がいいもんね」のパートは楽しさがにじみ出てるよね。ダンスの先生に「あのパート聴くとなんだかムカつくんだけど(笑)」って言われてました(笑)。
4. D.T.F.
[作詞:w-shun / 作曲・編曲:KNOCK OUT MONKEY]
高井 「D.T.F.」は忙しくて頭がいっぱいになっちゃったときに、何もかも忘れて気持ちを上げることができる曲だと思います。「余計なことは考えず、みんなでどこまでも行っちゃおう!」というイメージですね。
白浜 この曲を聴いていると、自由に楽しそうにしている女の子が頭に浮かんできます。私が担当している「デジタルの中の世界に埋もれて 頭の中で『Bug』が生まれてる」という歌い出しではネガティブな気持ちが表現されているんですけど、そのあとは「どこまでも 飛んでいく」「のらりくらり どこまでも行ける」とかハッピーな歌詞が続いていて、レコーディングでもノリノリで歌いました。
青山 落ちサビ前には嵐が来たことを表すような激しいサウンドの間奏があるんですけど、人生は悪いこともあればいいこともあるし、その逆もあるというメッセージが込められているように感じました。
内藤 一聴するとさわやかで楽しそうな曲という印象を受けるかもしれませんが、「Don't Think Feel」を意味する「D.T.F.」というタイトル、軽い雰囲気の歌詞が重みを持ってしっかり伝わってくるし、すごく心に刺さる曲だと思います。ぜひ歌詞を見ながら曲を聴いてほしいですね。
5. 夜を抜け出して
[作詞・作曲:小林辰也 / 編曲:BACK LIFT]
高井 「心の声も聴こえなくなった」「あなたの声も届かないんだ」というシリアスな言葉が並んでいるんですけど、曲調は重たいわけではないので、歌い方にちょっと悩みました。曲を通して心情の変化が表れていて、私が歌っている「それでも自分のことをもっと 愛してやると決めたんだ」という歌詞に込められているマインドや、「La la la la la la la」と歌って明るく終わるという曲全体のストーリー性がとても素敵だなと思いました。徐々に視野が広がっていくようなイメージがあって、ファンの方がライブで声を出せる状況になったら「La la la la la la la」の部分をぜひ一緒に歌ってほしいです。
青山 自分に自信が持てるようになって、ハッピーエンドで終わるという展開に励まされました。「BAD GIRL」「SAD GIRL」という歌詞が「GLAD GIRL」と変わっていったり、歌やオケに強弱が付いていたりするところにも注目してほしいです。
内藤 最後の「たまには躓いて それでも許して 嫌なことは投げ捨てて 明日もよろしくね」という部分はメンバーが1人ずつ歌いつないでいて。ファンの方に語りかけながらメッセージを届けているイメージです。
白浜 ダンスの話で言うと、この曲は休みがないというか、メンバーみんな歌いながらずっと動き続けているんです。そんな中で感情を込めながら歌うのが難しかったんですけど、ツアーなどを通してだんだんとうまくできるようになってきたと思います。
6. 雨のち晴れ
[作詞・作曲・編曲:開花俊介]
高井 「雨のち晴れ」は、ドラマ「ちょい釣りダンディ」のエンディングテーマに使用していただいているバラードソングです。エモロックな感じで、イントロもちょっと切ない雰囲気になっています。「雨のち晴れ」というタイトル通り、この曲も心情が変化していく様子を感じられる歌詞になっていると思います。傘を開く振りで始まって、最後に傘を閉じて晴れ空を見上げるという構成の振付も注目ポイントです。
青山 長い道のりをかけて晴れにたどり着くというストーリーが描かれていて。私たちB.O.L.Tも同じように光に向かって進んでいきたいという思いが込められています。
白浜 私は1番のサビが終わったあとのパートを担当しているんですけど、オケが急に静かになって落ち着いた感じになるんですよ。ライブだと自分の声がよく聞こえるし、このパートを経験させていただいたことで歌に対する意識が変わったなと感じています。どういう歌い方をしたら曲がよりよく聞こえるのか、ということが少しずつわかってきました。
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B.O.L.Tインタビュー 自信が付いた3年間