Marilyn Mansonにハマる
──1stシングル「DEAD or A LiME」はどんな曲でしょうか?
ネオ 歌詞は渡辺さん曰く意味がないらしいんです。でも何か意味ありげな歌詞で。最初に聴いたときにアルバムに入っていた曲とはまた違うハードでロックな曲調で、めちゃくちゃカッコいいと思いました。歌えるのがうれしいなという気持ちです。
イトー あとこの曲では初めてラップに挑戦しました。
ネオ アルバムのときはキレイに歌わないといけないと思ってしまってたんです。今回はライブさながらの歌い方と勢いで熱く感情を込めて歌っていて、新しいBiSの一面が出せていると思います。
──確かにスタジオ録音ながらライブのような生々しさ、勢いがありますね。
イトー ライブと同じ勢いで感情をぶつける感じでレコーディングしました。
トギー 1stアルバムのレコーディングはまだお披露目前だったし、「ライブとは?」って感じだったから。
ネオ アルバムの歌を録っていたときに、松隈さんから「ライブで目の前に3000人ぐらいお客さんがいる気待ちで歌って」と言われたことがあったんですけど、全員わからなくて(笑)。
チャント そうそう。だから今回はアルバムのときよりも感情を込めて歌えました。あと「怒りの感情をもっと出して」と言われて、歌詞にメモで怒りマークを書いたりしました。私が最初に歌録りをしたんですけど、怒りのイメージがうまくできてなくて。松隈さんからはマリリン・マンソンさんの「The Fight Song」とか何曲かミュージックビデオを観ながら「こんな感じにしたい」と言われました。で、ネオが歌ってるときに怒りの感情というか、強い気持ちをぶつける感じが出ていたので「これだ!」とイメージできました(笑)。
──確かにMarilyn Mansonのようなゴリゴリのインダストリアル系のロックサウンドです。
イトー 楽器の音が激しくてめちゃカッコいいです。
トギー 特にギターの音がすごいと思いました。
──例えばチャントさんはGalileo Galilei、クリープハイプ、チャットモンチーといったバンドサウンドが好きで、イトーさんはBABYMETALが好きということで、メタル系も好きですよね。
チャント 音が激しい曲は好きだけど、どちらかと言うとキャッチーな曲が好きです。
イトー 私はメタルも聴いてます。Marilyn Mansonもそうだし、Metallicaとかメタル、ハードロックが好きでした。なので「DEAD or A LiME」も超好きです(笑)。
トギー うちも好きです(笑)。マリリン・マンソンさんにハマりました。
ネオ うん。私もめっちゃ聴いてます。
イトー ネオは私より先に何曲か覚えてました。一緒にイヤフォンしてメタル系の音楽を聴いてたんですけど、イントロを聴いた瞬間に、「これMarilyn Mansonでしょ」みたいな。
ネオ 好き。それまで知らなかったけど、めちゃくちゃカッコいいなって。
トギー あと「DEAD or A LiME」はどう弾いてるのかわからないけど、キーンって鳴ってるギターの音がカッコよかったな。
チャント シングルの2曲とも音の切れ目を大事にして、楽器を目立たせたい曲だと松隈さんが言ってました。「DEAD or A LiME」の最後の「いっそ死むか」のあとのジャンジャラジャランの音を聴いてほしいから、ここは絶対ボーカルを残さないみたいな。とにかく音の切れ目を大切にして後ろで鳴ってる楽器の音をしっかり聴きながら歌いました。
ヤジを飛ばしながらまとわりつく
──「DEAD or A LiME」の振り付けはどんなイメージで考えたんですか?
ネオ まとわりつく感じで、歌ってる人にゾンビみたいに手を伸ばして絡みつくような振り付けです。
イトー サビが掛け合いになってるので、ファンの人が盛り上がりやすいようにけっこうシンプルな振りにしてます。絡みつくような動きがあるとは言え、振り付け自体は今までにないぐらいさっぱりした感じ。
チャント うん。さっぱりしてる。
トギー 「意味ない 意味ない」って歌いながら、腕を振ったり、体をクネクネさせたり。
チャント キックを入れたり、つかまれた腕を振りほどいたりとか。
──演劇っぽい要素もある?
イトー そうですね。全体的に抑揚を付けているので、ゆっくりしたところと激しいところの差が激しいです。
トギー この曲はBiSで初めてサビを全部ネオ1人で歌ってます。ネオが歌ってる周りで私たちは「意味ない 意味ない 意味ない 意味ない」とヤジを飛ばすみたいな掛け合いがあって。
イトー 3人がヤジを飛ばしながらネオにまとわり付くっていう。
チャント あと、ラップは疾走感があるのでめちゃくちゃ難しくて、超苦戦しました。
イトー モンちゃんが振り付けを考えてくれて、「めちゃカッコいい!イケる! このダンスカッコいいよ」って思って練習したら、思ったように体が動かなかった(笑)。なので今も練習をがんばってます。ライブでカッコよく見せられるようにしないと。
──ラップパートが複数回出てきますけど、歌割りがそれぞれ違うし、ラップなのに高音と低音でハーモニーが成立してるという。けっこう難しいことにも挑戦してるなと思いました。
トギー 自然とそういうふうになったんですよ。
イトー レコーディング中、歌い方に関しては「細かく音を切る感じで」みたいに指示があったんです。でも音程に関してはメンバーそれぞれ歌いやすいキーで歌ったら、ちょうど低めと高めで歌った声が組み合わさっている感じになりました。ラップは初めてだったから、本当に注目してほしいです。
内臓が出てきたらそれは“ネオ節”
──シングルの2曲目「テレフォン」は、ネオさんが作詞をしたんですね。
イトー ネオの歌詞が採用されるのは3曲目です。
トギー ほかの3人は1曲ずつしか採用されてないからすごいなって思いました。
──どういうイメージの歌詞になっているんですか?
ネオ アルバムに入っている「1,2,3!!!」と同じで特に歌詞に意味はないんですけど、カッコよくしたくて書きました。今までずっと何も意識してないで歌詞を書いていたつもりなんですけど、実際は自分がライブで楽しく歌えることが大事なんだと気付きました。私は歌詞の内容よりも音楽を聴かせたいということを重視していて、歌詞はただの言葉として添えている感じです。言葉の意味よりも歌っていて楽しい、感情を込めやすい言葉を当てはめて書いてます。
トギー うん。確かに歌ってて楽しい。
イトー ネオの思うカッコいいフレーズは臓器、内臓系とか体にまつわるものが多いんです。前回は血とか心臓とか脳内があって、今回また「脳内」が出てきて(笑)。
──確かに「テレフォン」の歌詞には「髄」「ノド」「声帯」も出てきますね。
イトー そうです。それがもう“ネオ節”になってる。「脳内」が何度出てきたとしても、ネオの歌詞だからいいと思うようになりました(笑)。
トギー もう私たちはネオだなってわかるもんね。
ネオ 内臓系のフレーズを入れた歌詞が採用されてますけど、ほかのは採用されない(笑)。
イトー ネオは漢字が苦手なタイプなんですけど、歌詞を見るとボキャブラリーが豊富で驚きます。
ネオ 実際、めっちゃ頭悪いんですけどね。
トギー 「“ご満悦”って言葉も知ってるんや」って、歌詞を見て思ったもん。
ネオ そう思われるのは、ある意味ラッキーだなって思います(笑)。
──作詞するときに大切にしていることは?
ネオ 1行1行に凝ります。1行ずつ文字数で音をはめていって、「絶対カッコいい!」と思えるフレーズが決まったら「もうこの行は確定」という進め方で書いていくんです。
トギー 作詞の仕方からしてなんかすごい。ネオのやり方って珍しくない? 意味を無視して響きで考えてるから。
──松隈さんは作曲がメインなので「歌詞より曲をしっかり聴かせたい」と別のインタビューで話してました(参照:BiSH「KiND PEOPLE / リズム」アイナ・ジ・エンド&松隈ケンタインタビュー)。
ネオ そうなんですよ。松隈さんに「歌詞に意味ないといけないんですか?」って質問したら、「歌詞に意味はなくていい」と言ってました。「いいんだよ。メロディを聴いてほしいけん、こっちは」みたいに(笑)。松隈さんと同じで私もメロディ、曲そのものを聴いてほしいので、自分は好きなように歌詞の内容よりは音の響きを意識して歌詞を書いてます。
イトー アイドルが書いた歌詞という意味でも面白い曲ですよね(笑)。
──ライブ映えしそうな疾走感のある曲ですが、ロングトーンで叫んでいるのはトギーさん?
イトー そうです。ほかの曲でもライブでもシャウトがあるとお客さんが盛り上がりますね。
トギー お客さんにも一緒に叫んでほしいです。
──トギーさんはシャウト担当?
トギー どうだろう? ほかの曲でも叫ぶパートが多くて、よく叫ばせてもらってます。
イトー 「STUPiD」「SURRENDER」「strawberry girl」にもシャウトがあって、いいアクセントになるんですよね、トギーの声が。
ネオ うまいもん。声高いし。
トギー ありがとう。
──チャントさんはこの曲のどの部分が好きですか?
チャント 私は「ご満悦」ってフレーズが好きです。歌ってて本当に気持ちいい。
ネオ そう思ってくれてよかった。でも、そうだろうなと思って書いてた。
イトー 私は「ご満悦」の手前の「エンドレス良き残像とは」の部分にハマってしばらくずっと歌ってた。
ネオ (笑)。ここのフレーズもめっちゃカッコいいよね。
イトー カッコいい! 音にぴったりハマってるから見習いたい。
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