ベリーグッドマン10周年特集|Micro、ミルクボーイ駒場、ギャロップ林、川崎鷹也、綾小路 翔が祝福 (3/3)

トミーズ雅が「10回聴いて10回泣いた」

──ここからはベストアルバム「GOOD GOOD GOOD」についてお伺いします。自主レーベル・TEPPAN MUSIC発足以後の曲が中心のベストですが、どんな基準で選曲されましたか?

Rover 結成から10年間、僕たちのことを支えてくれた15曲というイメージですね。活動の分岐点になっている曲とか、自分を助けてくれた曲とか……思い返せば何かのきっかけになった曲を選んだ気がします。例えば「Hello」はデビュー5周年記念の大阪城ホールワンマンという、当時の僕らには大きすぎた夢に向かってがむしゃらにがんばっていたときのエールソングですし、「おかん~yet~」は、別に何も狙わずにただただおかんに対する思いを歌ったけど、結果的にいろんな人に認知してもらえた曲ですし。「Dreamer」はコロナ禍で高校野球が開催できなかったとき、球児たちに贈った曲で、甲子園で無観客配信ライブをさせてもらった思い出があったりとか。

Rover

Rover

──キャリアのポイントポイントでテーマソング的な曲を出していて、そこに託した思いをファンと共有されてきたことがよくわかります。

Rover ライブアーティストとしての選曲という意味もあると思います。メジャーな音楽番組に出演することを目標とするチームではないので、どちらかというと、僕らの音楽を初めて手に取ってくれる方にも刺さってほしい曲。感謝したい曲ばかりです。

──新曲「これからもよろしくな」はトミーズ雅さんにインスピレーションを受けて作ったそうですね。

Rover 雅さんと飲んだときに奥さんへの思いを涙ながらに話してくれて、カッコいいなと思ったのをきっかけに作ったんです。雅さんから奥さんへのメッセージをご本人に成り代わって歌ったような感じですね。勝手に「MVに出てもらおう」と決めて制作しました。

──ベリーグッドマンからファンへの気持ちも重ねている?

Rover タイトルにはそういう思いも含めてますし、ファンに対して“お前”と言ってるわけではないんですけど、それぐらい近しい関係でありたいという思いは込められているかなと。メンバーやスタッフに対する愛情表現も含めて、いろんな気持ちが雅さんの奥様に対する思いを軸に展開しています。

──雅さんは「ベリーグッドマン含め、僕に関わった人間はみんな売れろ!と思ってます(笑)」とコメントされています(参照:ベリーグッドマン新曲MVにトミーズ雅が出演、タイトルは「これからもよろしくな」)。

Rover うれしいですね。冗談っぽく書いてますけど、ホンマに思ってくれているはずですし、これ言われた後輩たちも「絶対売れなあかん」と奮起すると思うんですよ。雅さんは僕らみたいな最近知り合った畑違いの後輩のことも「あんまり聴いたことないけど、お前らオモロいな」と気にかけてくださって、ありがたいんですよね。実際、この曲の音源をお送りしたら「10回聴いて10回泣いた」っていうぐらい聴いてくださってますし、今や出囃子にも使ってくださっているし。雅さんのマネージャーさんが、出番前に雅さんが「これ聴き終わるまで出たくない」と言ってる様子を撮って送ってくださったり。めっちゃ素敵な人だなと思います。

HiDEX 僕は雅さんと飲みに行ったことがないので、2人から聞く話しか知らなかったんです。でも僕が1歳のときに亡くなった父親のことを、おかんの友達から聞いたことがあるんですよ。今も生きていたらおかんのことを大切にしていたんだろうな、と涙が出そうになる話がたくさんあって……自分の奥さんに対してこういう気持ちだろうな、みたいなことを想像して書きました。

HiDEX

HiDEX

──そのお話を聞いているだけで、ちょっとウルッときますね。

MOCA 雅さんは「奥さんがおったから今の自分がいる」と。言葉にするとどこかで聞いたことのある感じになるかもしれないですけど、「ホンマに言うてんな」感がすごかったんです。目の前で、なんの照れもなく真剣勝負で、泣きながら言い切ってらっしゃって。大病されて死を覚悟されたときに、気丈に振る舞ってくれた奥さんへの感謝の思いもあったと思います。チュートリアル徳井(義実)さんのYouTubeに出演されたときも、「生まれ変わったら、もっかい芸人やります?」と聞かれて「やります。これに勝ることはないです」と話していて。それを聞きながら僕もそう思えたので、こういうお父さん、おじいちゃんになっていきたいなとも思ったし。そこからインスピレーションをいただいて、自分の奥さんに向けて書いた感じですね。

Rover 僕はおっちゃんになったらナレーションの仕事をやりたいなと思っているんです。雅さんもナレーションをされていた時期があって、それは学校で習った技術じゃなくて人間味一本でやってらっしゃったと思うんですよ。そういうところも尊敬していますし、今も漫才の舞台に立ってることにも憧れます。お笑いに賭けてる心意気がすごくカッコええなと思いますね。

甲子園ワンマンはとにかく楽しむ!

──この記事が公開される頃には、甲子園球場100周年記念事業応援ソング「CLASSIC」もリリースされますね。

Rover 甲子園球場が来年100周年を迎えるにあたってのアンバサダーアーティストであるベリーグッドマンからのテーマソングですね。100周年のテーマソングとして、いろんな場面で聴いていただけたらいいなと思ってます。

──MOCAさんが牽引しているような曲ですね。

MOCA 自分の個性が出やすいトラックをHiDEXが作ってくれてるんで。僕はちょっと静かなパートは苦手というか、音圧に負けない感じで乗せていくのが得意なので、アツくて泥臭いところを出せたらなと思っていました。あとは甲子園の場所としての偉大さというか、建物的な素晴らしさ、そこで生まれるドラマの感動とか、スタジアムの定番、“クラシック”はこれだ、みたいな迫力を出したいという思いで作らせてもらいました。

MOCA

MOCA

HiDEX そうそう。作ってる段階で「ここはMOCAしか歌われへんやろな」と思っていました。

──47都道府県ツアーもいよいよ最終盤ですね(取材は8月末に実施)。長丁場でしたが、振り返ってみていかがですか?

MOCA あんまり覚えてないんですよ。ひさびさに必死というか、その日ライブできるかできないかみたいな喉の調子との戦いでした。特にゴールデンウィークはまったく思い出せないですね。

HiDEX 確かに。

MOCA 高校野球の練習を思い出すような、毎日必死で戦いの中みたいな感覚が、特に最初のほうはありましたね。3人でよかったと思いました。1人だったらもう15本ぐらい飛ばしてるはずなんで(笑)。

──短期間であっちこっちに行って、その先々で濃い経験をして……きっと頭の中で整理がつく前に次に行っちゃう感じでしたよね。

MOCA ヒデ言うてたもんな。「今、どこ?」って。

HiDEX 1回だけありました。新幹線で寝てて、ぱっと起きたら家に帰ってるのかライブに向かってるのかわからなくなって。

──そんな中、いよいよ2カ月後には甲子園ライブです。

Rover たぶん徐々に自分らしさが失われていくと思うんですよ、緊張で。そんな経験もなかなかできないので、楽しみます。とにかくしっかりと睡眠をとっていくという、それだけですね。甲子園には魔物がいるんで、翻弄されないことが大事やなと。

ベリーグッドマン

ベリーグッドマン

ベリーグッドマン

ベリーグッドマン

MOCA 僕は5周年の大阪城ホールのときはめちゃめちゃ緊張して、前日は寝れなかったし、終わったあとも抜け殻になっちゃったんですけど、今回は楽しみでしかないです。自分が今できることを100%出せるんじゃないかと思っています。城ホールのときは20%の力しかないのに120%出そうとして10%ぐらいしか出なかった、みたいな感覚だったので。甲子園はとにかく楽しむぞ!と。

HiDEX 僕は大阪城ホール公演のときもそんなに緊張はしなくて、いつも6時間睡眠やのに8時間寝られたぐらいでした(笑)。でもそれは2人が全部背負ってくれてるからやと思うんです。だから僕は今回も一生懸命、やれることをやろうと思っています。11月18日は僕の誕生日ですし、楽しんで笑顔で終われるライブにしたいですね。

ライブ情報

ベリーグッドマン結成10周年 × 阪神甲子園球場100周年記念事業 ベリーグッドマン ~甲子園 LIVE 2023~

  • 2023年11月18日(土)兵庫県 阪神甲子園球場

プロフィール

ベリーグッドマン

Rover、MOCA、HiDEXの3人により2013年11月に大阪で結成されたボーカルユニット。2014年3月に配信シングル「コンパス」でデビューし、同年4月に初のアルバム「SING SING SING」をリリースした。その後も精力的にライブや楽曲リリースを続け、2016年3月にシングル「ありがとう~旅立ちの声~」でメジャーデビューを果たす。2018年10月に結成5周年を記念した初のベストアルバム「BEST BEST BEST」を発表。2020年8月にはレーベル・TEPPAN MUSICを設立し、同年10月に第1弾作品となるアルバム「TEPPAN」をリリースした。2022年9月に通算10枚目のオリジナルアルバム「すごいかもしれん」をリリース。2023年8月に結成10周年を記念したベストアルバム「GOOD GOOD GOOD」を発表し、9月に阪神甲子園球場100周年記念事業の応援ソング「CLASSIC」を配信した。同年4月から9月にかけて全国47都道府県ツアーを行い、11月には念願の兵庫・阪神甲子園球場でのワンマンライブを行う。