ナタリー PowerPush - バロック
激動経てたどり着いた、確かな“今” 怜ソロインタビュー
復活時のルール「ヴィジュアル系をやろう」
──音楽的な方向性についてはどう考えていました?
バロックを結成したときに話してたのは、「俺らが情熱を注げる、夢を持てるような曲をやろう」ということだけでしたね。どんなジャンルをやるか?ということよりも、カッコいいと思える曲を本気でやるっていう。好きな音楽の話をすると、みんなバラバラなんですよ。一番音楽に詳しいのが圭で、「こういうバンドがあるよ」って教えてもらうことはありますけどね。最近だと「BLOC PARTYの新作、カッコいいよね」とか。俺は元々女性アーティストをよく聴いてたんです。クラムボンとか、Charaさんとか、(椎名)林檎さんとか、個性的な歌声が好きで。
──かなり意外なルーツですね。ヴィジュアル系については?
好きですよ。復活するにあたっても「ヴィジュアル系をやろう。メイクはしましょう」というルールを決めてたし。自分自身がバロックになるためにも、そこはハッキリさせておかないと、どうしたらいいかわからないですからね。昔はヴィジュアル系って言われるのが息苦しい時期もあったんですけどね。反抗期(笑)。
──はっきりと「ヴィジュアル系をやろう」と言えるのは、逆に解き放たれている気がしますけどね。パブリックイメージに惑わされることもなく、何があっても進んでいけるという自信の表れというか。
うーん……。もちろん自信は持ち続けなくちゃいけないし、それがないとやっていけないとは思いますけどね。とにかく良いことも悪いこともあったから、そこはもっと強くなったかもしれない。自信に磨きをかけた1年というか。まあ、うちの場合は晃くんがまさにヴィジュアル系なんで(笑)。その分、俺が自由にやれるっていうこともあるだろうし。
「今どんなことを書きたいか?」と言われたら、恋だなって
──では、最新シングル「たとえば君と僕」についても聞かせてもらえますか?
これもね、面白い話なんですよ。まず「3人でやっていくためにはどうしたらいいか?」という葛藤があって、「キズナ」のリリースを経て、ワーナーとやっていくことを含めて、ここから新しいスタートかもしれないという気持ちの中で6曲くらい作ったんですけど、どれをシングルにするかなかなか決まらなかったんです。そんなときに圭が、朝方のスタジオでいきなりこの曲を流したんですよね。「これ、今なら合うかもね」って。実はこの曲って、圭が3年くらい前に原曲を作ってたんですよ。その2日前くらいに俺もたまたま聴いていて、「歌いてえな」って思っていて。で、そこからすぐにレコーディングを始めたっていう。歌録りの当日まで歌詞を書いてました。
──純度の高いラブソングだと思いますが、ここにも「キズナ」からのつながりが反映されてるんでしょうか?
そこはかなり迷ったんですよね。いろいろ考えたんですけど、「今どんなことを書きたいか?」と言われたら、恋だなって。バロックとしての意思やメッセージ性というより、今やりたいことをやるっていう。あとはもう、受け取ってくれた人が考えてくれればいいと思います。
──フラットになったというか、復活当初の「やりたいことをやる」というモチベーションに戻ったのかもしれないですね。
うん、そうですね。その前に6曲作って、その中からシングルを選べたっていうのも大きいと思うけど。
俺は好きな奴らとバンドがやりたいだけ
──それにしてもいろいろとドラマがあるバンドですよね……。
勘弁してほしいですね(笑)。俺は好きな奴らとバンドがやりたいだけなんで。お騒がせなイメージもあると思うけど……まあ、別にイヤじゃないんですけど、もっと良い驚かせ方があると思うんで。もうちょっと良いニュースを届けられるようにがんばります(笑)。
──この先のビジョンも見えてますか?
もっと考える時間が必要だと思いますね。3人になったことで、それぞれの責任だったり、バンドに向かう気持ちも確認しなくちゃいけないし。まあ、基本的にはすごくシンプルに考えてるんですけどね。さっき言ったみたいに「このバンドが好き」っていうところで動いてるし、あとどれくらいできるかわからないけど、とにかく全力で面白いと思うことをやろうっていう。今までのことにしがみつくつもりもないし、「これからどうなるだろう?」っていう予想もしなくていいと思うんですよ。やりたいことだけやればいいっていう……。この前、坊主にしちゃおうかと思ったんだけど、優しい美容師さんに止められました。「それはマズイでしょ、ヴィジュアル系なんだから」って(笑)。
──(笑)。新生バロックのニューアルバムも楽しみにしてます。
ありがとうございます。気付いたらシングルが7曲もあるし、どうするか考えてるんですけどね。インストアイベントでファンに相談してます(笑)。
- ニューシングル「たとえば君と僕」 / 2013年1月23日発売 Warner Music Japan
- 初回限定盤A[CD+DVD] 1000円 WPZL-30547/8
- 初回限定盤B[CD+DVD] 1000円 WPZL-30549/50
- 通常盤[CD] 500円 WPCL-11268
CD収録曲
- たとえば君と僕
初回限定盤A DVD収録内容
- 「たとえば君と僕」ミュージック・ビデオ
初回限定盤B DVD収録内容
- 「メロウホロウ」ミュージック・ビデオ
バロック
怜(Vo)、圭(G)、晃(G)からなるヴィジュアル系ロックバンド。2001年に結成。瞬く間に人気を獲得して2003年にシングル「我伐道」でメジャーデビューし、同年8月に初の日本武道館ライブを成功させるも、2004年12月25日にZepp Tokyoでのライブをもって解散する。その後、怜と圭はkannivalism、晃はboogiemanのメンバーとして活動。2011年7月に横浜赤レンガ倉庫野外特設ステージでフリーライブを行い、本格的な活動再開を発表。2012年からは、1月に完全復活第1弾シングル3タイトルを同時発売するなど、精力的なリリースやライブ活動を続けている。なお2012年6月にメンバーの万作(B)が行方不明になり、その後代理人を通じて体調不良による契約解除の申し出があったため、現在は3人で活動中。
2013年1月31日更新