BAND-MAID「Unleash」インタビュー|世界征服第2章の幕開け、“解放”を掲げた新作EP完成 (2/3)

「Balance」に込めたそれぞれのこだわり

──そこから2曲目「Balance」へと続くわけですが、この曲はビートの強さがえげつないですよね(笑)。

AKANE リズムも3連と16分、8分という3段階のセクションごとに分かれていて、クセが強いんですよ(笑)。

SAIKI クセが強くて、みんな苦戦した1曲です。これはリズムの跳ねた曲が欲しいという要望を出して、KANAMIに作ってもらいました。

SAIKI(Vo)

SAIKI(Vo)

KANAMI 自分的にもただの跳ね曲という感じではなく、少し近未来的な曲にしたいなというテーマをもとに作りました。

──歌詞もビートのパワフルさに負けない仕上がりですね。

小鳩 このサウンドの強さに負けないように強い言葉で、なるべくリズム感が出せるようにと英語中心で書きましたっぽ。

──「More More More」や「段々」「Run lala run lala」みたいに、リズミカルに反復されるフレーズが随所にちりばめられているのも、耳馴染みのよさにつながっている気がします。

小鳩 短くはっきりということは意識していましたっぽね。

SAIKI あと、サビ頭は日本語にしてとお願いして。

小鳩 そうだっぽね。SAIKIからそう言われたので、じゃあサビ頭は日本語で、母音が歌いやすい「あ」とかのほうがいいのかなってことで母音が「あ」が多めの「大胆」とか「大体」を選びましたっぽ。

──全体を通して英詞が多いですが、そのあたりはどこまで意識していました?

小鳩 単に英語で歌ったほうがリズム的にカッコいいかなとか、それくらいの意識ですっぽね。

SAIKI でも、同時に歌詞を書いた曲で「日本語が多いから英語を増やして」というのはあったよね。

小鳩 そうそう。ほかが英語少なめだったので、「Balance」だけにバランスを見てこうなりましたっぽ(笑)。

SAIKI うまいこと言ってる(笑)。

──(笑)。「from now on」「Balance」の2曲は序盤のいい流れを作っていますよね。

小鳩 そうですっぽね。ただ、出だしから怖いなって(笑)。

SAIKI 本当に強い女性像が表れた曲になりましたね(笑)。

──この2曲だけでも、「Unseen World」からしっかりアップデートされている感が伝わると思います。

小鳩 「Unseen World」とはまたちょっと違った、新しいところに到達できていることはしっかり伝わるんじゃないかと思いますっぽね。

小鳩ミク(Vo, G)

小鳩ミク(Vo, G)

BAND-MAIDの世界観がわかる「Unleash!!!!!」MV

──3曲目はミュージックビデオも制作されたリードトラック「Unleash!!!!!」です。

SAIKI MVで2次元化しました(笑)。

小鳩 2次元化はずっとやりたかったことだったんですけど、なかなかね。

SAIKI グッズとかでは実現できていたんですけど、私たちは2次元で動きたいんだと(笑)。なので実現できて本当にうれしかったと同時に、「Unleash!!!!!」がこんなにアニメーションにハマる曲だとは思わなかったので驚きました。

──演奏シーンもしっかりフィーチャーされてますね。

小鳩 再現度が高すぎて、自分たちも興奮したっぽね。

SAIKI メンバー1人ひとりの特徴が反映されていて、本当に細部にまでこだわって作っていただきました。「Unleash!!!!!」という曲自体はこのEPの中でも最後に作った曲になるんですけど、いろんなピースがハマってできあがった印象があります。

小鳩 「EPの表題になるようなメインの楽曲を1つはめ込みたいね」という話から「Unleash!!!!!」ができたので、作ってくれたKANAMIにしっかりと感謝しないと。

SAIKI (KANAMIに向かって)ありがとうございました!

KANAMI えっ、えっ?(笑)

──KANAMIさん、この曲はどういうイメージをもとに制作したものですか?

KANAMI 「世界征服第2章」という今回のテーマのもと、過去に制作した「DOMINATION」や海外で人気の「Choose me」につながる曲が欲しいとずっと言われていたので……。

SAIKI BAND-MAIDにとって新しい代表曲が欲しいという意味でね。

KANAMI そう。なので私的にはそこにつながる1曲を作ろうというイメージでした。

KANAMI(G)

KANAMI(G)

小鳩 しかも、「次のEPのリード曲でアニメーションMVを作ろうか」というお話が出て、すべてのピースがそろったわけですっぽ。

──きっと海外のご主人様・お嬢様はもちろん、まだBAND-MAIDのことをよく知らない方々にもバンドのことをしっかり理解してもらえる内容じゃないかと思いました。

小鳩 そうですっぽね。私たちの特徴や性格がすごく事細かに描かれていて、海外のまだお会いしてない方、お給仕を観たことない方にもきっと雰囲気や空気感が伝わると思うので。

AKANE 自己紹介というか、第2章の始まりにふさわしいMVかなと思います。

ツインボーカルを生かした「I'll」

──「Sense」もこのEPの流れで聴くと、かっちりハマっている印象を受けました。

小鳩 どっしりとした安心感を与えてくれる曲なので、よかったですっぽ。

──激しさの中にクラシカルなテイストが含まれることで、ちょっとだけ優しい気持ちになれるというか。

SAIKI 強いけどちょっと優しさが見える的な、私たちにとって大人な曲ですね。

──そこから「I'll」でまた強さが増していくという。

小鳩 またダークサイドに戻っていくんですけど(笑)。

SAIKI このEPの中では一番ダークな曲ですからね。

──この曲はリズム隊のゴリゴリしたアンサンブルがすごく気持ちいいですよね。

SAIKI 低音が気持ちいい曲ですよね。

AKANE ほかは16分系のアップテンポの曲が多かったから、「I'll」はできるだけ音の長さにこだわってサステイン長めにして、下に下に支えようっていうことに徹した曲です。

AKANE(Dr)

AKANE(Dr)

MISA ベースもドラムのバスドラに合わせた感じで、フレーズ的にはあまり大きく動いているわけではないんですけど、とにかく重たく聞こえるように意識してプレイしました。

──シンプルなんだけど、ドラムとベースの存在感が強いんですよね。

MISA この曲はドンシャリでレコーディングも進めたので、それも大きいんだと思います。

MISA(B)

MISA(B)

──そういうリズムセクションに乗せるギターに関して、意識したポイントは?

KANAMI デモの段階から「重めにしたい」とリズム隊の2人に伝えていて。ただ、すべてが重すぎると聴いていて苦しくなってしまうので、煌びやかさを加えるためにテンションコードを入れたり、ちょっときれいなコードを入れたりしてバランスを取りました。

SAIKI だから、ただ押し潰しているだけではないという感じで、上モノは上モノとして煌びやかさは残しているんです。歌もツインボーカルを生かしたかけ合いを入れているので、昔からBAND-MAIDを知ってくれているご主人様・お嬢様には「お待たせ!」という曲になったんじゃないでしょうか。

KANAMI この曲は最初のデモを送ったあとに、小鳩とSAIKIから「もうちょっとツインボーカル感を足してほしいんだよね」と要望をもらって、いろいろプラスしてこの形になりました。

──お二人の歌い方もあるのかもしれませんが、どんどん似てきていますよね?

SAIKI 小鳩が私のモノマネ、めちゃくちゃ上手になっているんですよ(笑)。

小鳩 それ、すごく言われるっぽ(笑)。

SAIKI コーラスワークにおいて「私を真似てくれ」とはずっと言っているんですけど、小鳩の声ってめちゃくちゃ抜けがいいんですよね。なので、「もうちょっと寄ってこい?」みたいなことをよく話していて(笑)。

小鳩 そうしたら、すごく似てるって言われるようになりましたっぽ。

SAIKI 特に今回のEPはめっちゃ似てると思いました。

小鳩 聴いていてもたまに「これSAIKIの声じゃない?」「え、小鳩だよ?」ってこともありますし。ボーカルディレクションの方にも「これ、小鳩かSAIKIか、どっちかわからないね」と言われることもあるので、意外とわからないご主人様・お嬢様もいそうだなと思いますっぽ(笑)。

SAIKI 声が違ってキャラが違ってというよさもあると思うんですけど、重たい曲を歌うときに似た声が重なった気持ちよさに「Unseen World」で気付いたんです。それも取り入れたうえでやっているので、曲自体もまとまりがよくなったと思っています。