BAND-MAID|名プロデューサーとのコラボで勢いが増すメイドの世界征服

BAND-MAIDが12月11日にニューアルバム「CONQUEROR」をリリースした。

“征服者”を意味する「CONQUEROR」は1年以上の制作期間を経て完成した作品。デヴィッド・ボウイやT. Rexらを手がけたイギリスのプロデューサー、トニー・ヴィスコンティがプロデュースした「The Dragon Cries」など全15曲が収められている。

音楽ナタリーでは海外での活躍もめざましいBAND-MAIDに本作のレコーディング秘話、トニーとコラボレーションに至った経緯、彼女たちの活動の軸となっているお給仕(ライブ)への思いについてじっくり話を聞いた。

取材・文 / 阿刀“DA”大志 撮影 / 映美

彼女たちのハードロック魂は死んでなかった!

──アルバムリリースに先駆けて公開された「輪廻」のミュージックビデオを観ると、コメント欄の英語率の高さが尋常じゃないですね。

小鳩ミク(G, Vo) そうですっぽね。いつものことなんですけど、今回は海外のファンの書き込みがいつもの倍ぐらいに感じますっぽ。

──それはなぜだと思いますか。

小鳩 8月に「endless Story」という落ち着いた曲のMVを公開したとき、「彼女たちはこっちの路線に方向転換したのか」というコメントが多かったんですね。そのあと激しめの「輪廻」のMVを公開したので、「やっぱり、彼女たちのハードロック魂は死んでなかった!」と盛り上がっていただけたのかなと思いますっぽ。ありがたいかぎりですっぽ。

──(笑)。YouTubeやSNSでのファンの意見ってどれぐらいバンドに影響を与えていますか。

小鳩 私たちはけっこうエゴサしたり、自分たちについて書かれていることに関して話し合ったりしてますっぽ。

KANAMI(G) 叩かれてたら少なからず落ち込みます(笑)。

小鳩 そういうときは「大丈夫だっぽ!」ってみんなで励まし合ったり(笑)。

KANAMI 「start over」のときが一番落ち込んだ! けっこう叩かれてたから(笑)。

MISA(B) そうだったね。

小鳩 あの曲を出す前までは激しい曲が中心だったのに、急に方向転換したようなものを出したので。

SAIKI(Vo) さまざまなコメントを目にして影響を受けるというより、“刺激をもらってる”って感じですね。

小鳩ミク(G, Vo)

小鳩 そうですっぽね。「あ、そういう意見もあるんだね」って。でも、それだけ反応があるのはすごく幸せだなと思いますっぽ。反応がないのが一番悲しいので。

──じゃあ、それで方向性がブレることはないんですね。

小鳩 BAND-MAIDがやりたいことは自分たちの中にしっかりあるので。

AKANE(Dr) 皆さんのコメントの中で「輪廻」のドラムについてブラストビートって書いている人が多くて。ブラストじゃないけどそう聞こえるんだなと気付きました。

KANAMI みんなブラストビートを欲してるってことだね。

AKANE じゃあ、次のアルバムは……。

小鳩 あれ? 今、あーちゃん(AKANE)、自分でハードル上げようとしたっぽ!

AKANE あ、今のはカットしてください!

──いやいや(笑)。

AKANE レベルアップですね! ブラストまでいかないと今回のアルバムを超えていけないから。

──今の自分たちが思う、BAND-MAIDのあるべき姿ってなんだと思いますか? そういうことって意識しますか?

小鳩 お給仕(ライブ)でこう見せなきゃいけないというのはありますけど、自分たちの目標としては、世界征服するにはどうしたらいいか、1年後、2年後、3年後のビジョンに向かって走っている状態ですっぽ。

SAIKI あと、若いご主人様、お嬢様(BAND-MAIDファンの呼称)の割合が増えてきて、その方々にどう見せるかを固めていますね。

──なるほど。

SAIKI もともと自分たちがやりたいことをやったらいろんな方に受け入れてもらえたし、世界観を作り込まないのがよかったんだという実感があるので、その軸はブレないようにしています。今、世界の価値観がジェンダーレスになってきてますけど、BAND-MAIDの曲もそこに通ずるものがあると思うので、性別も人種も何もかも超える曲を作って、自分たちの音楽で世界にいい影響を与えられたらと考えるようになりました。

BAND-MAID

1年間の思い出をすべて曲に

──それでは今作「CONQUEROR」についてお聞きしたいんですが、最初に聴いたとき、いきなりバラードから始まる展開に驚きました。「輪廻」のハードなサウンドが頭にあったので余計にびっくりしましたよ。

小鳩 ああ、そうかもしれないですっぽねえ。

──なので、まずはこの曲順の狙いからお聞きしたいんですが。

小鳩 「PAGE」は今までにない感じの曲で、ということでかなみんちょ(KANAMI)が作ってくれたんですけど、曲順をさいちゃん(SAIKI)と2人で決めていたときに、「PAGE」の入れどころをどこにしようという話になったんですっぽ。そうしたらさいちゃんが、「いっそのこと1曲目でいいと思う」って。

SAIKI 「むしろ、そこしかない!」って(笑)。

小鳩 確かにこれまでのアルバムは激しい曲で始まっていたので、1曲目に「PAGE」を入れることで変化を楽しんでもらえるねって話になったんですっぽ。

KANAMI(G)

KANAMI それに今回は長期間にわたって曲を作ったり録ったりしたので、いい意味で統一感がないアルバムになっていると思います。

小鳩 今まではアルバムを作ることが決まってから曲作りしていたんですけど、それを続けすぎると体が壊れてしまうという話になったので、昨年ぐらいから「じゃあアルバムとか関係なく、コンスタントに制作していきましょう」ということになったんですっぽ。なので、制作期間に1年以上かけたのは今回が初めてですっぽ。

KANAMI 期間中に聴いていた音楽の影響を受けて「お給仕でこういう曲をやりたい」と思った曲を作っていったので、私たちの1年間の……思い出? 記憶?

小鳩 1年間の集合体みたいな、「濃い思い出を全部曲にしました!」って感じですっぽね。

SAIKI 今はこれまで以上にお給仕を中心に考えるようになっているので、大きなお給仕が決まってから、「じゃあ、その前にアルバム出したほうがいいね」って。まさに「CONQUEROR」がそうで、来年2月にLINE CUBE SHIBUYAでの2DAYSが決まってから、「じゃあ、アルバムをここで出そう」という話になったので、それまでに録り溜めていたものを集める感じになりました。2年前ぐらいからそういう考え方になって、周りからお題を出されてからそれに応えるんじゃなくて、その前から準備しておこうと。

小鳩 そのほうが自分たち的にもよりよい音楽が作れるし。

KANAMI そのおかげで気持ちに余裕がすごくできました。

──ONE OK ROCKもワールドツアーのスケジュールを組んでから、「じゃあ、その前にアルバムを出そう」という考え方で制作をしているという話を聞いたことがあります。

小鳩 自分たちも海外ツアーのスケジュールを基準にして考えてますっぽ。日本と違って、海外に行くとできることが限られてしまうので。